EVERYDAY
NOTES - archive - 2011 june
6月30日(木)
午前中、メールなどの雑務と電話対応。昼、日大船橋校にてベーシック建築デザインの授業。二点透視図法を教えて、正確なパースの描き方を勉強してもらう。篠原一男設計「直方体の森」をトレース。
夜、テキスタイルデザイナーの安東陽子さんと打ち合わせ。「凱風館」のカーテンやロールスクリーンについて話し合う。面白いものになりそうだ。独立してからの話などを伺い、これからもあれこれご一緒したい。
6月29日(水)
連日の夏日。三日連続して「凱風館」の現場。山本画伯と内田先生の三人で「老松」の打ち合わせ。凱風館の道場には、能の敷き舞台があり、その背景の老松を山本画伯が描く。道場の壁に実際に描かれる老松の大きさをテーピングし、画伯の過去の作品を見せながらのプレゼンテーションを聞く。老松を描くことに対する研究とエスキースを見せてもらう。絵を依頼したクライアントと渾身の制作をする画伯。こんな幸福な仕事はほかにあるだろうか。今から完成が楽しみになる。わくわく。昼、「凱風館」近くのカフェ・ニュートラルにて美味しいチキンカレーを頂く。内田先生のバイクに乗せてもらい、甲南麻雀連盟定例会へ。
奥さまとキッチンなどの打ち合わせをし、それから麻雀を打つ。日曜日のパーティーの話を中心に、美味しい餃子と肉まんも頂き、楽しくじゃらじゃら。成績は二戦一勝。夜の新幹線で帰京。車中、集中して「ほぼ日」の原稿を進める。
深夜、打ち合わせのおさらいとこれからのポイント整理。たまったメールなどの雑務を程々に寝る。明日で2011年が折り返し。僕にとってのジェットコースターイヤーは続く。
6月28日(火)
午前中、メールなどの雑務と打ち合わせの準備。奈良はすっかり夏日。近鉄電車で「凱風館」へ。断熱工事を終え、すっかりひんやり静かな現場。掃除も行き届いていて綺麗。加藤現場監督と建具やガラス、壁と床の取り合いなどディテールの打ち合わせ。仕上げや工事の進行についてもみっちり打ち合わせ。あっという間に6時間。明日の打ち合わせの準備も話し合う。
夜、打ち合わせの整理と議事録を作成。それから原稿を書き進めるも、なかなか流れに乗らないので読書して、少し早めに寝る。
6月27日(月)
奈良は曇り。電車で御影へ。「凱風館」現場にて進行状況をチェック。吹き付け断熱材の工事を終え、内壁がしっかりと留められていて、いよいよ天井の仕上げ工事。昼過ぎ、内田先生が現場に来られて設計の打ち合わせ。SECOMから天井仕上げ、階段照明などについて話し合う。それからは、中島社長の「電気不要論」について意見交換。夕方、現場監督の加藤さんとも細かいところを話し合って、ディテールなどの確認。工期のコントロールもしっかり確認。
夜、『エリックを探して』(監督:ケン・ローチ、2009)のDVDを観る。当然ながらブリティッシュ・アクセント満載で、ウィットに富んだユーモアがブランドされたヒューマンドラマ。僕は95年からマンチェスターに住んでいたので、伝説の選手、エリック・カントナの最盛期を実体験した。彼が唯一無二の存在であることが染み付いているので、この映画を深く楽しめた。サッカーが文化であること、パブの風景など、多くのシンパシーを感じた。しかし、イギリスか階級社会であることを露呈していて、ヤンキースの試合の観客が白人上流階級であることも思い出し、海の向こうでも同じことが起きているように思う。日本もそうなってしまうのか。二極化社会。
深夜、母校の小学校までゆっくり半時間程のランニング。読書も程々に原稿を少し進める。
6月26日(日)
午前中、ゆっくり寝る。近鉄電車に揺られて三宮へ。
平尾剛さんと菜々子さんの結婚パーティに参加。メンバーは甲南麻雀連盟会員のみなさん。内田先生(総長)の挨拶から素敵な宴が始まる。20名ほどのハートウォーミングな会は、おいしい料理を食べながら、ポエムの朗読あり、漫才あり、ジュリーの歌あり、コントありの幸せたっぷりな時間。二次会はRESETにて。ここでもみんなが声を大にして話しまくりの大盛り上がり。なんなんでしょう、この雰囲気。みんなの笑顔が絶えない素晴らしいパーティーであった。次は、晩秋の凱風館完成の時だろうか、こうした時間の蓄積が豊かな人生となるのだろう。本当に感謝の気持ちで一杯になる。多種多様な人たちで形成された共同体がそれぞれ最高のパスを出して、たくさんの物語が生まれて育まれる。物質的幸福より圧倒的に確かなものがここにはあり、みなで共有しているという喜び。
山本画伯と喫茶店で「老松」について話し合う。じっくりとリトグラフの新作を観せてもらう。生命観あふれる線に、深みある豊かな色合いが強い質感をもって迫ってくる。青も、赤も、緑も、黄も、すべて美しかった。
夜、奈良に帰宅。ゆっくりお風呂に入った後、『生態学的視覚論』を読み進める。いよいよ来週の日曜日はLATs読書会。
6月25日(土)
午前中、メールなどの雑務と電話対応。「凱風館」の打ち合わせ資料をまとめる。模型写真のレイアウトと階段照明のアイデアをまとめて、資料をプリントアウト。
出張の準備をして夕方の新幹線で奈良に帰る。車内、『生物から見た世界』(ヤーコプ・フォン ユクスキュル、ゲオルク・クリサート、新思索社、1995)を読み終わる。続けてギブソンを再読。夜、奈良で美味しいうなぎを食す。深夜も読書を進める。
6月24日(金)
午前中、メールなどの雑務。昼、独立前からいつもお世話になっている方と合流し、参議院会館にて小熊議員とお会いする。福島県の復興計画についてお話を伺い、あれこれ意見交換。東日本大震災の被災状況はそれぞれの地域によって違った問題を含み、ニーズも違うので、きめ細かい計画をどのようにつくっていくかを考える。実に示唆に富んだ話が多く、具体的に展開できることを少しでも協力できたらやっていきたい。「世界発信」という言葉が心に残る。
午後、有楽町で更新したパスポートを受け取る。続けて新宿で大事な打ち合わせを一本。本屋を物色し、三冊ほど買って帰る。夕方、「凱風館」の打ち合わせ準備を進める。電話で現場の状況確認。
深夜、目黒川沿いを走る。時計をつけてタイムを計るも全然のラップ。走るのももっと本腰を入れねばな。銅版画などを整理して出張の準備をして寝る。
6月23日(木)
午前中、メールなどの雑務と電話対応。郵便局にてコンペの提出。
昼、日大船橋校にてベーシック建築デザインの授業。学生たちにとっての人生初めての模型の採点。丁寧に作り込んでいたり、素材を工夫していたり、よく頑張っていた。何より正確に、綺麗につくることを目指してほしいが、建築模型というのは色んなことが表現できるということを知ってほしい。
夜、事務所に戻って、「ほぼ日」の乗組員さんたちとアルテスの鈴木さんが来所。来月からスタート予定の連載についてあれこれ話し合う。書き進めている原稿のことや画像について、自己紹介ページのポートレート撮影をする。この連載を通して、建築の面白さを広く情報発信できるように精進したい。
深夜、ロンドン五輪の予選、日本対クウェート戦を見る。幸先よく先制するも後半に2点入れられてヒヤヒヤするも予選突破を決める。気温39度という環境で選手たちはよく頑張っていた。数年後にはA代表のコアメンバーに育ってほしい。
6月22日(水)
2011年、夏至。午前中、メールなどの雑務と電話対応。ひたすら「凱風館」のプレゼン資料を進めていく。模型写真を撮ったりし、コンテンツを作り込んで、夜、無事完成する。プリントアウトして終わり。久々の達成感。あとは、郵送して吉報を待つのみ。
深夜、目黒川沿いをランニング。明日の打ち合わせの準備も程々にさすがに疲れたので寝る。しかし、今日は一日中蒸し蒸しする真夏日だった。汗を良くかいてたくさん水を飲んだ。
6月21日(火)
午前中、メールなどの雑務と電話対応。JIAのイベントの申し込みについてあれこれ調整する。「凱風館」の1/30模型を進める。内部空間を仕上げていくと、いつも行ってる現場のスケール感も頭に入っているのためリアルに迫ってくる。
午後、プレゼンテーション資料を進める。写真の加工とレイアウト。ドローイングにも手を加えてブラッシュアップ。作業は無事折り返し地点と言ったところか。
夜、『サヨナライツカ』(監督:イ・ジェハン、2010)のDVDを観る。一人の男と二人の女。韓国人映画監督らしいと言ってよいのか、ロマンチックな展開の連続にどことなく『私の頭の中の消しゴム』を思い出す(後になって同じ監督だと知る)。しかし、何よりタイという場所と高度成長期という時代設定が絶妙で、実に美しい描写が印象的。
深夜、「凱風館」の原稿に手を入れる。しかし、塩漬けしたことでまたフレッシュな気持ちと新しいアイデアを汲み取りたい。これの連続で本が生まれると思うとわくわくする。週に三回を目標に走ることにして、今日は半身浴でたっぷり汗をかく。『大津波と原発』を読み進める。面白い。
6月20日(月)
午前中、メールなどの雑務と電話対応。昼、1/30模型のオペレーション。玄関周りの作り込みが進み、完成する。実物のようだ。次は内部空間の作り込む。
午後、「凱風館」のプレゼン資料をまとめる。コンセプトドローイングからもろもろの資料をレイアウトしていく。たたき台がまとまり、一安心。図面のブラッシュアップ作業も続く。
夜、ロゴデザインのラフから一気にロゴを描き上げる。納得のいくモノが出来上がる。深夜、目黒川沿いをランニング。チェンジオブペースで効率よくトレーニング。気持ちよく汗びっしょり。読書して寝る。
6月19日(日)
朝一の電車で神戸へ。「凱風館」の現場は日曜日とあって一人もいない現場。吹き付けられたばかりの断熱材の効果もあり、綺麗に掃除された現場はさっそくひんやりとしていた。早速、内田先生の奥さまと和室とキッチンについて打ち合わせ。昼から山田脩二さんが現場に登場。上棟式以来なので、工事の進み具合を案内しながらの報告。玄関の瓦タイルと外構の考え方について話し合う。「建築に入ってからでなく、玄関から緊張感漂う空間にしたい」との言葉を受け、身が引き締まる。
午後、武庫之荘にて山本画伯と「老松」について打ち合わせ。制作のスケジュールについて、そして何よりエスキースの進行状況について伺い、完成が楽しみになる。夕方、梅田で所用を済ませて新幹線で帰京。車中、『生物から見た世界』と『みっともない人体』と『JA82』を廻し読み。夜、打ち合わせのおさらいとメールなどの雑務。
深夜、目黒川沿いをランニング。やっといつもの距離を少しずつ走れるようになったのでそろそろ時計をつけて、ラップタイムを計っても良さそう。しっかり走った後は眠くなくなり、今週の仕事の組み立てを考えて進める。来月にはドイツのシンポジウムもあるし、しっかり準備せねば。
6月18日(土)
午前中、メールなどの雑務と出張の準備。昼前の新幹線に乗って大阪へ。車中爆睡。淀屋橋の大阪クラブにて森永一衣&斉藤言子による『ドゥエ・ステッレ(2つの星)』と題されたリサイタルへ。ソプラノ歌手二人による素敵な音楽の時間。実に綺麗な声で会場を包み込み、声そのものが楽器であるように思わせる。天まで上るしなやかなソプラノと一気に囲い込むような豪快なソプラノの共演。イタリアと日本の曲を交互に歌い、途中には軽快なイタリア話のMCも交えた楽しいリサイタルだった。
山本画伯に誘われ、二次会にも参加させてもらう。実に愉快な仲間がたくさんいて、自己紹介から大いに盛り上がる。初対面とは思えない。写真家の方や音楽家、合気道の方まで話は尽きない上に、料理が美味しい。夜、雨の中、奈良の実家に帰る。リサイタルの余韻に浸りながら、深い眠りにつく。今日は生の音楽の素晴らしい演奏で、とっても元気をもらった。
6月17日(金)
今週もあっという間に金曜日。午前中、メールなどの雑務と電話対応。共同通信の楡金女史が来所。「凱風館」の設計や建築家として働くことについてあれこれ話す。こうした取材を通してまた自分自身の考え方を人と共有するいい機会なので、どのようなアウトプットになるにせよ、声が届くことでまた新しいご縁が生まれることに感謝したい。
午後から「凱風館」の内部の設計とプレゼンテーション資料の準備を進める。模型と図面のチェック。夕方、日大の学生が来所。夏のインターンシップについての打ち合わせ。建築家になりたいとのことで、強い意志をもってどん欲に色んなことにチャレンジし勉強を楽しんでほしい。
夜も引き続きプレゼン資料の作成。コンセプトを整理し、ビジュアルデータをブラッシュアップ。たたき台のたたき台といったところか。明日からの出張の準備と整理。項目をチェックし、荷づくり。深夜、塩漬けしていた「凱風館」の原稿も一通り読み返す。文章を書いた時の自分との時差を楽しみながら全体構成についても考える。外の雨も止んだし、走りに行こうと思うもあまりに眠いので断念。やはり、近々断食して体を一気に絞った上でランニングのエンジンもギアチェンジせねば。
6月16日(木)
午前中、メールなどの雑務と議事録を作成し、送信。昼、日大船橋校へ。ベーシック建築デザインの授業で、住吉の長屋の模型づくりを指導。学生たちにとって人生初めての模型。考えながら、丁寧に作ってほしい。建築を好きになってもらえたらと思いながら3コマ。
夜、事務所に戻って仕事。「凱風館」の項目をリストアップ。新しいアイデアを検討し、スケッチ。深夜、プレゼンテーション資料のドローイングを集中して完成させる。スキャンして取り込む作業は明日に回して、読書して寝る。始まったばかりのはずの6月の既に折り返し。
6月15日(水)
午前中、メールなどの雑務を済ませて、新橋へ。パナソニックにてpanasonicVRのプレゼンを受け、サイバードームを体験。実にオープンで素晴らしいツールなので、これを最大限に利用してクライアントなどとの精度あるコミュニケーションの実現を図りたい。そのためにもイマジネーションとクリエーションとしての想像/創造のインプットが大切になってくる。ぜひとも一緒に活用してみたい。その後参議院会館でランチミーティング。
午後、上野・入谷の美容サロンへ。無事竣工し、オープンする。内外の境界線を曖昧にするデザインで、コールテン鋼を使った壁と内部の白い空間が対比していて綺麗だった。オーナーの久我さんに早速髪を切ってもらう。写真撮影をし、あれこれ話し込む。これからの繁盛を期待したい。続けて、有楽町にてパスポートの更新。それから表参道ヒルズにてROSES代表の渕上さんと打ち合わせ。夏のチャリティーイベントの会場構成を依頼されて、意見交換。限られた予算の中で何ができるかについて話す。時間もないけど、面白いものができるようにしたい。スパイラルにて平田暁夫氏の帽子の展示を覗いて事務所に戻る。
ホームページの「WORKS」をアップデート。続けてメールなどの雑務。夜、「凱風館」の打ち合わせの整理。議事録をつくっていく。深夜、目黒川沿いをランニング。
6月14日(火)
午前中、「凱風館」の現場にてアイシネンの吹き付け作業を確認。モコモコと鍾乳洞のように壁の間を断熱材が膨張していく。既に外よりも建築内がひんやりとしてくる。昼、内田先生宅にて空調機の点検や家具の採寸。午後、電気設備とエレベーターの打ち合わせ。続けて、床や天井についてあれこれと打ち合わせ。夕方、新潮社の足立女史が現場に来て頂いて、案内。養老孟司先生に贈呈して頂いた丸太を見て頂き、喜んでもらった。
夕方の新幹線で帰京。帰りの電車は、ずっと寝ていた。相当深い2時間半睡眠。神戸/東京行ったり来たり生活は続くが充実の疲労感。
6月13日(月)
朝、一番の新幹線で神戸へ。「凱風館」の現場にて打ち合わせ。昼過ぎ、美山町の小林直人さん家族が訪れる。GWの山菜天ぷらの会以来だが、直人さんの手塩に掛けた杉が丸太から柱まで使われているのを興味深く見学していただいた。こうして、小林家のみなさんに現場に来てもらえて嬉しい。内田先生も登場し、みんなで団欒。思えば美山町にて初めてお会いして一年以上が経過し、製材、乾燥を経て、今、現場でしっかりと「あの」杉材が組みあがっている。こうして物語がひとつ一つ紡がれて建築が出来上がっていくのを実感し、感動する。
18時まで7時間たっぷり打ち合わせの後、奈良の実家へ帰宅。夜、メールなどの雑務を。打ち合わせのおさらいと明日の打ち合わせの準備を進める。さすがに疲れているのか、読書もほどほどに寝る。
6月12日(日)
朝から曇り。午前中、メールなどの雑務とデスクワーク。「凱風館」の1/30模型のオペレーション。内部空間の仕上げをつくりこんでいく。コンペの準備も進める。
昼、模型チェックをしながら、コンペのスケッチを試行錯誤。夕方、石川女史が来所し、来月のJIAのレクチャーについて打ち合わせ。夜、出張の準備を終えて、打ち合わせ資料を完成させる。日曜日らしくない日曜日であったが、着実に仕事を進めることができた。
6月11日(土)
午前中、メールなどの雑務。昼、桑沢の学生有志が事務所見学。8人。皆それぞれに目的意識をもっていて、いきいきした眼をしていた。「凱風館」について模型やスケッチを交えてミニレクチャー。僕の学生時代のポートフォリオも見せる。
午後、中学時代の友人が今、建ててる建設現場チェックに同行。夕方、コンペの構成をスケッチ。あれこれと作業を進める。夜、『生物から見た世界』を読み進めて、今朝届いたばかりの雑誌『思想』も読み進める。「生態学的」という切り口をいかに建築に近づけるかを考える。
深夜、目黒川沿いをランニングして半身浴。デトックス。更に読書して寝る。今日で東日本大震災から三ヶ月が経過した。あの日からこの国は変わった。しかし、報道される映像に麻痺されて直接被災しなかった人たちが少しずつ普通の生活に戻ることで無関心がはびこることへの危機感を覚える。眼に見えるコミットメントと無意識の賛同が村上春樹氏のいう「システム」への加担を少しずつでも意識することで時間がかかっても本質的に変化していくことに突き進みたい。
6月10日(金)
午前中、メールなどの雑務とホームページのアーカイビング。
午後、「凱風館」の書斎のベンチをスケッチ。平面図と展開図でチェック。来週の打ち合わせ資料を準備。現場レポートと旅の報告書をまとめる。
夜、来週の打ち合わせ項目を整理して、コンペについてもあれこれ準備を進める。デスクワークを済ませて、読書。雨が降っててランニングを断念。今夜の各種ニュースで村上春樹氏のスペインでのスピーチが放送されていた。カタルーニャ国際賞授賞式でのこと。原発のことと原爆と同じ「核」というくくりで強く批判し、やはり集団としての責任について話されていた。それは、エルサレムでのスピーチ『壁と卵』やはたまた95年の地下鉄サリン事件のインタビュー集『アンダーグラウンド』の長いあとがきと同じ文脈にあると感じた。さて、我々は「非現実的夢想家」であり続けることで突破口が個人から社会へと繋がると信じたい。しかし、テレビなので動いてる村上春樹氏を見て、彼の声を聴いたのは初めてで不思議な感覚だった。
6月9日(木)
午前中、メールなどの雑務と電話対応。昼から日大船橋校舎へ。ベーシック建築デザインの授業を3コマ。学生たちもトレースになったので、集中力が出てきた模様。安藤忠雄氏設計の「住吉の長屋」の断面図と立面図をトレース。断面線を理解しながら図面の強弱をつけるように指導。
夜、友人宅で食事。おいしい料理とお酒を頂き、楽しい宴はあっという間に終電。時間を忘れるように盛り上がり、こうしたご縁を大切に日々邁進したい。
6月8日(水)
何だか加子母から帰ってきて、月曜日な気分だが、ほんとはもう水曜日。曇り空で始まる一日。メールなどの雑務と電話対応。来週の打ち合わせをあれこれ調整。来週、ついに美山町から小林直人さんが「凱風館」の現場に来てくれることになったし、山田脩二さんも来週末には現場で打ち合わせができることになった。さて、頑張っていかねば、まだまだエンジン全開。
午後も和室や書斎のデザイン検討が続く。放射冷暖房のPSについてもあれこれと設置箇所を細かく検討。こうしたことの積み重ねが大事になってくるので取りこぼしがないようにせねば。夕方、友人が目黒に来たので近況報告と新しい案件の話。夜、引き続き「凱風館」のもろもろ図面チェック。
深夜、目黒川沿いをランニング。気持ちよく走れたけど、まだまだペースが上がらないので、コンスタントに習慣化を目指そう。その後、デスクワークに読書。『生物から見た世界』を読み進める。昨日、歩いた神宮美林の世界を思い浮かべて読み進める。
6月7日(火)
朝、宿のご主人が釣られたばかりのイワナを頂き、一同渡合(どあい)温泉旅館を後にする。自然と共生した素晴らしい場所で、今度またのんびり滞在したいと思った。そこから細い旧森林鉄道の道を進み、樹齢300~400年の檜がある神宮美林へ。柔らかい地面を歩きながら、平成25年の伊勢神宮の遷宮のために伐採された御神木の切り株を見にいく。完全にパワースポット。ぎっしりと刻み込まれた年輪を見て、そこに積み重ねられた圧倒的時間を感じる。この国の豊かな土壌と多様な生態系について考える。
昼、加子母村に帰ってきてみんなで郷土料理の鶏ちゃんを頂く。その後産直市場や樹齢千年の杉の木、プレカット工場などを見学し、すべての工程を終える。実に充実した濃厚な旅となった。こうした加子母村の物語を「凱風館」の魅力として建築に取り込めるようにしっかり頑張りたい。数値化できない価値観の豊かさを目指して。生命力とでもいうか、エネルギーをたっぷりもらう。
夜、東京に戻ってくるも、何だか自然と都市の生活のギャップに驚きつつ、えらく長い間東京を離れていたように感じる。たっぷりたまっているメールを返信し、原稿に取りかかる。いよいよ、連載の動き出しに向けて文章をまとめていく。深夜、明日からの作業の準備も程々にベットに倒れ込むように寝る。
6月6日(月)
朝、千里中央まで行って中島工務店の加藤さんと合流し、加子母村までドライブ。東京から来た新潮社チームとAプロジェクトの大島さんも中津川で合流し、みんなで美味しい蕎麦を食す。雨の予報だったが、しっかり晴れてくれた。中島工務店が施工した和菓子屋の「すや」の新しい店舗を見学。栗の木を使った壮大な空間。続けて白井晟一設計の「すや」の本店を見学。S字のカウンターが映える落ち着きのある空間。朴葉餅が美味しかった。
午後、加子母村に到着し、中島社長に大黒柱の森、原木市場から皮むき/製材工場を案内してもらう。山の檜が伐られて、どのように製材されて建築に使われていくかを見学。社長の豪快なお人柄もあり、人口3300人ちょっとの街に中島工務店は活気を与え続けていることが分かる。みんなが知り合い、みんなが助け合うという関係。ここに物質的豊かさを超える、生活の価値観があるように感じる。続けて造作工場を案内してもらう。寺子屋机のプロトタイプ第二弾を確認しながら、興奮していたら東京から遅れて内田先生も合流。檜の机だが、軽量化も進み、横揺れも解消された。面白い机になった。あとは、塗装などの細かい所をフィックスしたら完成だ。これで多くの人が「凱風館」に来て勉強してもらいたい。
夕方、中島工務店の施工した住宅を見学し、一同、山の中へ。途中、車窓からの素晴らしい風景に驚嘆する。(行ったことないが)ブータンのような秘境の地にある、渡合(どあい)旅館に到着。電気も自家発電で限定的。夜はランプ。風情のある空間に落ち着く。温泉に入って、みんなで食事。中島社長の挨拶と内田先生の乾杯で美味しい山菜料理を頂く。イワナが美味しかった。中島社長の「これからは電気なんていらない生活をしないといけない」という発言で一気に盛り上がる。裏面交流という行動に出るタイプの人間について話を聴く。最後に僕も感謝の気持ちを挨拶し、お開き。その後、内田先生らと火打石を使ってランプを付ける方法を旅館主に教えてもらう。楽しかった。知恵の輪まで出てきて酔いがさめる。深夜は、中島工務店のみんなとAプロの大島さんと晩酌。しかし、昨年9月のシンポジウムがこのようなご縁を生むことになったとは想像もつかなかった。本当に感謝の気持ちで一杯、大いに楽しい酒を飲み、寝る。
6月5日(日)
午前中、メールなどの雑務。昼すぎ、大阪万博記念公園へ。国立民族博物館にて「ウメサオタダオ」展を観に行く。実際のフィールドワークノートやスケッチ、カードを見ることができ、膨大な資料に圧倒されると共に、知の巨人とはこういうことかと素直に感動する。会場では、新潮社の足立女史とばったり遭遇。あれこれと話し込む。たっぷり三時間、ウメサオワールドを堪能。会期も残りわずか、まだ見てない人には強くお勧めする展覧会です。その後、万博公園をぶらぶらし、太陽の塔のスピードスケッチを一枚。
夜は、帰宅し原稿を読み通す。NHKの原発シリーズを観たり、指揮者の佐渡裕氏のベルリンフィルのドキュメンタリーを観たり、伊集院静氏の情熱大陸を観たりするテレビっ子状態。深夜、アルテスの鈴木さんと電話で打ち合わせ。その後、連日のランニング。昨日よりは走れたけど、まだまだ身体が重くて困ったもんだ。
6月4日(土)
午前中、メールなどの雑務。昼すぎ、阪神甲子園球場へ。ソフトバンク対タイガースの試合を観戦。席はバックネット裏。杉内と能見によるエース対決はやはり投手戦となり緊迫した試合運びとなる。問題は、七回の裏に二死満塁のチャンスで好投していた能見を諦めきれずに打席にたたせて三振。九回に打たれて万事休す。しかし、阪神の弱さは重症。何だか選手たちから覇気を感じないのも心配。虎よ目覚めてくれ!
夕方、難波をぶらぶら。書店で二冊ほど本を買って帰宅。夜、読書してのんびり過ごす。「凱風館」の原稿をチェック。推敲に推敲を重ねる。深夜、近所を小学校までランニングして往復。20年ぶりの通学路を走るといつも臭覚が刺激され、一瞬にして昔の記憶がよみがえる。しかし、走り込みが全然足りなくて息が上がる。全く本腰を入れてトレーニングせねば、大阪マラソンの完走も危うい。
6月3日(金)
午前中、メールなどの雑務と「凱風館」の原稿を書き続ける。ほぼ日での連載スタートに向けてしっかりとまとめたい。昼、近鉄電車に乗って阪神御影へ。「凱風館」の現場へ。ガラス工事が進む。一枚100キロ以上もするガラスも無事設置。それから壁や天井のディテールについて話し合う。まだまだ決定していかないといけないポイントは多いが、しっかりと共通認識に立って進めたい。
夜、DVDで『オーケストラ』(監督:ラデュ・ミヘイレアニュ、2009)を見る。シンプルな物語だが、チャイコフスキーの音楽が染みてくるようで無性にクラシックコンサートにまた行きたくなった。深夜、再度「凱風館」の原稿に手を入れてまとめきって、送信。読書して寝る。
6月2日(木)
午前中、メールなどの雑務。スタッフとF歯科医院の設計エスキース。昼、日大短期大学部へ。ベーシック建築デザインの授業で一年生に安藤忠雄氏設計の「住吉の長屋」についてのミニレクチャーと製図について話す。手順も伝える。
夕方、授業を終え雨の中、帰宅。出張の準備をして品川へ。弟と合流し、連日の新幹線で奈良の実家へ。車中、「凱風館」の原稿に手を加える。関西にとんぼ返り。深夜、読書して寝る。しかし、菅総理は「一定のメドが立ったら」と何とも曖昧な答弁で不信任案可決を回避したようだ。このような政治のどたばたに残念な気分になったのは、きっと僕だけでないはず。
6月1日(水)
朝、近鉄電車に揺られて御影へ。「凱風館」の現場にて内田樹先生夫妻と設計の打ち合わせ。書斎の本棚から始まって、照明などもろもろの打ち合わせ。昼、角の中華屋で一緒にラーメンを頂く。話題は、既に「凱風館」の完成した後の展開や時事ネタの原発、政治へと話が盛り上がる。
午後、奥様と大阪へ移動してキッチンの打ち合わせ。ショールームで実物を見ながら検討。使い勝手や素材、器具などについて決定していく。キッチンの世界は深く、あれこれと悩みながらもいよいよまとまってきたので、わくわくする。二つのキッチンを決めるのにみっちり三時間半。その足で新大阪へ。新幹線に乗って帰京。連日濃厚な打ち合わせだった。車中、「凱風館」の原稿をチェックしたり、明日の日大短期大学部でのミニレクチャーの構想を練る。
夜、メールなどの雑務と打ち合わせ項目の復習。日大のレクチャー準備を仕上げていく。深夜、奈良で計画予定のF歯科医院について考えてスケッチ。第二回のプレゼンテーションまでしっかり考えて、まとめたい。しかし、やることに追われてなかなか綱渡り状態が続くも、充実の疲労感。初めての建築である「凱風館」ができていくのは、(未経験だが)子育てのようで「今しかない瞬間の連続」なので、しっかりと現場でこの目で確認したい。
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