EVERYDAY
NOTES - archive - 2010 january
1月31日(日)
午前中、『隠喩としての建築』を読み終わる。学生時代から含めて四度目の再読。それは、引いた線のペンの種類の数で分かった。
午後、東大にて難波研究室の読書会に参加。院生二人が柄谷行人の意図を汲み取ってそれぞれの視点を発表。「隠喩としての建築」と対比する「世俗的な建築」について、「他者性」をどのように自身で理解し受け入れるかによってそのバランスをみつけることでクリエイティブであり得るのではないかと思った。難波先生は、その「理論」と「実践」の上でピュアであることの大切さを述べていたのが印象的。
『今度は愛妻家』(監督:行定勲、2010)を観る。登場人物五人の映画だが、舞台演劇のようにそれぞれの人間模様が中心にいる二人の夫婦のまわりで展開する。愛について、価値観の多様性とライフスタイルの選択枠をしめされたようだった。
夜、コンペのスケッチを続ける。新しいアイデアを今までの展開にのせるようにしてスケッチし、送信。深夜、目黒川沿いをランニング。なかなか走れていないので体が重い。
1月30日(土)
午前中、『隠喩としての建築』(柄谷行人、岩波書店、2004)の再読を始める。久しぶりに読むが、その都度受け止める印象が変わるのはきっと自分の考え方が変化しているからだろう。
午後、クライアントに案内されて原宿の陶芸倶楽部へ。一昨年、作らせてもらった茶碗が欠けたのでその修復を依頼する。快く引き受けてもらい、その方法について話を聞く。続けて、六本木ヒルズにてG-Tokyo展を観る。日本を代表するギャラリーのアートフェア。多種多様な現代アートにおいて、一つの水準をクリアしていることを感じる。会場は、えらく繁盛していたように思ったが、こうした試みがアートを買うという楽しみ方を社会に少しずつ定着させつことができるのだろうか。そうあってほしい。
夕方、ギャラリー・ときの忘れものにて植田実さんの写真展『空地の絵葉書』を観に行って、大竹昭子さんとのトークショーを聞く。30年間に渡る植田さんの旅の写真が二枚組で飾られていた。「写真家っぽいものは外した」というようにどの写真もアングルなどが無意識的で新鮮に感じた。特に1989年に撮影されたベルリナードームの写真が放つ孤独感が僕の住んでいた時と全く異質なものに視えて感銘を受けたので、破格の値段ということもあって初めて写真を購入した。オーナーの綿貫さんが「ただ展示を見に来るだけでなく、写真と生活しながら楽しんでほしい」と言ったのも印象的。
夜、高校時代の同級生たちとカレー鍋をつつきながら思い出話で盛り上がる。深夜、『隠喩としての建築』を更に読み進める。
1月29日(金)
午前中、展示の企画を再度確認し、送信。メールなどの雑務。昼、調べものと読書。コンペのスケッチを進めて、安部アトリエで打ち合わせ。
夜、池尻のギャラリーにて友人のファンタジスタ歌麿呂の個展に顔を出す。彼の作成したイメージがプリントされたテキスタイルが何種類も壁からかけられていて、そのボーダーレスな活動に共感する。更には、アキバ系アイドルの衣装もその生地でつくり、不思議なコラボレーションにオープニングライブは異様な雰囲気に包まれていた。
1月28日(木)
午前中、展示の企画のプレゼンづくり。最終段階なので細かいチェックを繰り返し作業。午後、浜松町の日本カラーエンジニヤーズにてCGの仕事の打ち合わせ。設計デザインした住宅がモデリングされ、デザインの微調整。外構の材料を選択し、今後の進め方を確認。
夕方、渋谷で打ち合わせを一本。コンペのスケッチ。夜、再度展示の企画をつくりあげて深夜完成。これで一つのアイデアを形にしてまとめあげられた。
1月27日(水)
午前中、貿易関係の翻訳作業。午後、コンペのスケッチ。メールなどの雑務。夕方、安部アトリエにて打ち合わせ。全体的なところを決められるようにバリエーションを絞っていく。続けて、六本木でも打ち合わせ。夜、恵比寿で友人たちと食事。
深夜、展示の企画書を進めて、昨日届いた雑誌に目を通す。BGMは、アリシア・キース。
1月26日(火)
午前中、展示の企画のモデルを修正する。プレゼン資料を作成。昼、イギリス帰りの建築家が来所。午後、続けて作業。
夕方、新宿パークタワーにてDOCOMOMO Japan x OZONE第三回セミナー『モダニズムのなかで 手・素材・空間』と題して高橋てい一先生の話を聞きに行く。幼少時代に住んでいた家の話から一緒に仕事をしてきたさまざまな人の話をしながら建築に対する向き合い方を話してくださった。85歳にして「様式には無関心であり、今、生きている証をつくりたい」という言葉に感銘を受ける。学生時代に佐賀県立博物館を見たのを思い出す。また建築における自身の美意識について質問された時に「ある種の緊張感やバランス」を大切にしているという言葉が氏の建築のもつ形態の自由さを裏付けしているように感じた。
夜、ベルリンから帰国したばかりの演劇人の友人に会う。丁度僕の帰国する時にベルリンに来たので部屋を家具付きでそっくり受け継いでもらったので、近況も含めて大いに盛り上がる。早速、新国立劇場で働いているとのことでエネルギーをもらった。
帰宅したら、イタリアとノルウェーから共に僕のドローイングが掲載されている雑誌が届く。イタリアの『ZONA』には、ヨルク・グライター先生のエッセイと共に紹介され、表紙にも載っている。ノルウェーの『CONDITIONS』には、「City of Bridges」が見開きで紹介された。深夜、貿易関係の仕事をこつこつとやる。
1月25日(月)
午前中から所用で銀座、九段下、勝どきに行く。途中、銀行と郵便局で大いに待たされるも午後すべての用事が無事完了。カフェでコンペのスケッチを追加して、安部アトリエにて打ち合わせ。夕方、白井版画工房にて刷り上がった作品を受け取りに行く。
夜、展示の企画書を作りはじめる。深夜、早速銅版画作品に着色してく。デクスター・ゴードンのサックスを聴きながら時間を忘れて筆を動かせる。
1月24日(日)
午前中、メールなどの雑務。風は冷たいが晴天。昼から家族が集合。上京中の母と祖母、弟、出張中の父に加えて兄貴家族。カメラ屋でレンズを物色。渋谷をブラブラし、みんなで焼き肉をたらふく食す。
夜、展示のモデルを完成させて、写真撮影。プレゼンテーションについて考える。続けて、コンペのスケッチ。今日入手したウラジミール・シャフラノフ・トリオの『I’LL CLOSE MY EYES』のジャズをループして聴きながら深夜も作業を続ける。
1月23日(土)
午前中、コンペのスケッチを続ける。昼、メールなどの雑務。午後、安部アトリエにてコンペの打ち合わせ。新しいアイデアも生まれ、少しずつ提案が整理されてきた。夕方、展示のモデルを作り直す。スケールアップしてインパクトを確認。
深夜、再度モデルに手を加えて、一応の方向性は見えた。あと一週間以内に企画をまとめなければならない。コンセプトボードのスケッチと読書。
1月22日(金)
午前中、引き続き展示のアイデアをモデルで確認。イメージしていたことをスケールも含めてチェック。あと少し整理したら、企画もまとまりそうだ。
午後、天気も良かったので思い立って庭園美術館にて『マッキアイオーリ』展をゆっくり観る。フランス印象派と違って、イタリアの光がそうさせるのか、19世紀末の独特の世界観が多くの画家によって模索されていて見応えがあった。油彩が展示されていたフレームに使われているガラスが一部精度の悪い均質なガラスでなかったのがとても良いと思っていたら、旧朝香宮邸の一階奥にある勝手口のドア(開き戸の左側のみ)にはめられたガラスも同じく古い微妙にゆがんだガラスだったのでその美しさに見入ってしまう。厚みが一定でないこうしたガラスは貴重で美しい。
夕方、コンペのスケッチをし、貿易関係の打ち合わせ。今、やれることは何でもやっている。夜、昨年末に河口湖のフルマラソンを一緒に走ったランナーの皆さんが集う新年会。こうした仲間を大切にこれからも頑張っていきたい。
深夜、再度展示のモデルに手を加える。メールなどの雑務。
1月21日(木)
午前中、コンペのスケッチを進めてアイデアを絞る。銅版を彫り進めて小作を完成させる。午後、恵比寿で打ち合わせを一本、展示のアイデアについてあれこれ話し合う。続けて安部アトリエにてみっちりコンペの打ち合わせ。
夕方、白井版画工房にて早速新しい作品の試し刷り。アクアチント作業をする時間はなかったが、うまく刷り上がったので乾燥したら着色してみたい。夜、代官山の『M』にてベルリン在住のフォトグラファー、ヨハネス・バトナーの写真展のオープニングに顔を出す。雑誌のアートディレクターでもあるので独特な人間模様を切り取っている。
深夜、展示の企画のモデルをつくりはじめる。このアイデアでいけるかの判断をするために効果を確認する。窓からシャープな三日月が美しい。
1月20日(水)
午前中、メールなどの雑務。午後、展覧会の企画スケッチ。アイデアを展開してまとめる。面白い企画にまとめられそうになってきたので、次はモデルをつくって確認し、来週中にプレゼンテーションをまとめたい。
夕方、銅版を彫る。こっちも展示のための新しいアイデアを実現すべく、針で線を彫り続ける。銅はいつになく固く線に新しい表情が出て来て無心になる。夜、貿易関係の仕事を進める。深夜、コンペのスケッチ。今までのバリエーションを頭の中で整理しながら、新しい可能性を探る作業の連続。
暦上では今日は「大寒」、一年で一番寒い日ということらしいが、拍子抜けする程の暖かさで春めいていたのに一日中事務所で作業していた。
1月19日(火)
午前中、コンペのスケッチ。プレゼンテーション資料の確認。午後、渋谷で打ち合わせ一本。続けて錦糸町にてお施主さんにデザイン提案資料を説明し、今後の展開について話し合う。夕方、安部アトリエにてコンペの打ち合わせ。平面的なことのブラッシュアップ作業。バリエーションも絞られてきた。
夜、メールなどの雑務と本日の打ち合わせのフィードバック。貿易関係の仕事の資料に目を通す。深夜、目黒川沿いを小出流トレーニングで脚に負荷をかけて走る。『怖い絵』(中野京子、朝日出版会、2007)を読み終わる。20枚の絵画の裏にある歴史を手際良くひも解いてくれて、絵を観る面白さを再認識させられた。もっと勉強せねばと思う。
1月18日(月)
午前中、メールなどの雑務と錦糸町の内装スケッチ。午後、明日のプレゼンテーション資料を作成。二つのバリエーションと店のロゴのデザインもつくっていたら丸一日かかってしまった。気分転換に『怖い絵』を少しずつ読み進めたが、一枚の絵画を介して語られる奥行きのある物語に自分の多くの旅を振り返って絵画鑑賞した瞬間を脳裏に浮かべる。ドガやムンクの絵画もまた見たくなった。
深夜、目黒川沿いをランニング。空気が冷たくて、突き刺さる寒さだったので一周でやめる。
1月17日(日)
午前中、メールなどの雑務。午後、『アバター』(監督:ジェームズ・キャメロン、2009)を観る。期待して行ってもやはり3Dの映像はド迫力。臨場感もあるが視力の良い僕は少し目が疲れてしまう。しかし、やはりストーリーがあまりにも既視感があり、視覚的な興奮のみであった。
夜、学生時代からの友人で服飾デザイナー、屋島裕樹のアトリエにお邪魔する。彼の仕事を知っていても制作の現場を見ることができて盛り上がる。僕のドローイングをベースに制作した生地を材料に何かつくってもらえないかと相談。忙しいのに時間をみつけてつくってくれるとのこと。今から楽しみ。
深夜、錦糸町の内装のスケッチを少々。『怖い絵』を読み進める。
1月16日(土)
午前中、メールなどの雑務。昼、安部アトリエでコンペの打ち合わせ。アイデアを整理して他のバリエーションもチェックする。それからOZONEデザインセンターで所用を済ませて、大学時代の先輩で独立している道明癸一郎一級建築士事務所を訪問。学生時代以来、六年ぶりの再会であれこれ近況から始まり、この厳しい時代を生き抜くことについて話し合う。
夕方、白井版画工房の新年会。白井先生にはいつもお世話になっているのでこうして年に一度工房に通っている皆が集まるのは実に楽しい。夜、続けて六本木でバーを経営している友人のクロージング・パーティーに顔を出す。ひょんなことから知り合った彼だが、厚い人柄が多くのお客さんを呼び、こうして盛大に締めくくりを飾っていた。オーストラリアに行っても頑張ってほしい。
深夜、『怖い絵』(中野京子、朝日出版会、2007)を読み始める。本屋で平積みされていて読んでみたくなった。二時にノルウェーのオスロから雑誌『CONDITIONS』についてSKYPEで連絡。次号に僕のドローイングが掲載されるとのこと。また今後の日本での販売についての可能性についても話し合う。
1月15日(金)
午前中、コンペのスケッチ。午後、メールなどの雑務。夕方、内装の設計を進めて、展示のコンセプトを整理する。こうして幾つかのことを同時進行で考えていると、色々と化学反応が起こるのを実感する。手を抜かずに頑張りたい。
深夜、『逆立ち日本論』(養老孟司×内田樹、新潮選書、2007)を読み終わる。実に軽快なリズムと二人の心地良い湯加減で話が進む「高級漫才」。同じ風景を正に逆立ちするだけで全く違うものに見えることを感じさせる知的な断片が沢山埋まっていて面白かった。内田先生が『日本人辺境論』を書くに至る種をみつけたようにも感じた。一月もあっという間に折り返し。
1月14日(木)
午前中、東大にて山代悟さんの博士論文発表会に行く。『仮説環境による都市再生像の生成に関する研究』と題して、都市におけるインスタレーションなどの「ソフトアーキテクチャー」の実践を通して都市に対する現代的なコミットメントを模索する試みを興味深く聞かせてもらう。難波先生をはじめ、審査する教授の方々のコメントを通して、研究者ではなく建築家が書く「博士論文」の意味合いなどについて考える。
午後、恵比寿で打ち合わせ一本。その後、展覧会の企画についてあれこれスケッチ。夕方、連日の銀座。今日はCHANEL NEXUS HALLにて『Into the Wild』フィリップ・マリニグ写真展のオープニングへ。アフリカの大自然にガイドさんと二人で二週間滞在し、野生の動物たちとぎりぎりの距離感でシャッターを切る。その写真は背景が主役の動物と同じだけ存在感があり、観る者に恐怖を与える程の圧倒的リアリティーでいきいきと動物たちを捕らえている。写真家ご本人に感想と質問をすることもでき、昨年の展覧会で知り合った写真家の兵庫達弥さんにも再会することも出来た。
深夜、メールなどの雑務。コンペのアイデアを展開する。
1月13日(水)
午前中、メールなどの雑務。コンペのスケッチを整理して進める。午後、安部アトリエでコンペの打ち合わせ。戻ってフィードバックを踏まえてスケッチ。
夕方、銀座のPOLA MUSEUM ANNEXにて開催中の川邊りえこ『KO・TO・TA・MA』展の特別トークセッションに行く。川邊りえこさんと森アートミュージアム館長の南條史生さんの話を聞く。作品の説明を通して二人の話が始まって、沢山のメモを取った。まさに現代的という意味だけで、フィックスした定義がない「コンテンポラリー・アート」としての川邊さんの作品のもつ強度が「書道」という伝統文芸としての枠を超える可能性について話が進む。
深夜、新しい銅版に向かって線を彫る。こうした刺激をもらった日にはすぐに反応して手が動く。
1月12日(火)
午前中、メールなどの雑務とホームページのアーカイブ作業。午後、打ち合わせを一本。コンペの平面をスケッチ。少しずつ固まってくる。『せりふの時代』54号の中から「本谷有希子×平田オリザ」の対談を読む。両氏の劇作家と演出家の仕事法についての話が興味深い。引き続きコンペのスケッチとコンセプトを確認。
夜、銅版画の整理を終えて、展覧会の企画を考える。それからゆっくり読書。『逆立ち日本論』(養老孟司×内田樹、新潮選書、2007)を読み始める。BGMは、キース・ジャレットの『メロディー・アット・ナイト』
1月11日(月)
午前中厚い雲の下、目黒川沿いをランニング。暗い時間帯に走る癖がついているので見えてくる風景が新鮮。それからコンペのスケッチ。
午後、新宿で打ち合わせを一本し、集まりに参加。街には多くの晴れ着姿の女性がいて、成人式であるのを思い出す。夕方、戻ってメールなどの雑務。銅版画の着色作業に没頭し、サインをして完成。夜は『イースタン・プロミス』(監督:デヴィット・クローネンバーグ、2007)のDVDを観る。ロンドンを舞台にしたマフィアによる人身売買のサスペンスもの。特にそれ以上は何もなかった。
深夜、もう一作品の版画にも着色を進めて、二時間程で一気に完成。
1月10日(日)
午前中、所用で中央林間まで行く。気持ちよい冬晴れ。午後、兄家族が来て小さな新年会。いつものように甥と姪と戯れる。子供の純粋な気持ちとエンドレスなエネルギーに振り回されるのを楽しむ。
夕方、カフェで集中して仕事。コンペの方向性をスケッチし、展覧会の企画について、あれこれと考える。夜、本屋をぐるっと物色。子供たちと遊び疲れたのか早々と寝てしまう。
1月9日(土)
午前中、コンペのエスキス。午後、池袋で打ち合わせ。新しい試みについて刺激的に話し合う。ぜひ時間をみつけて動き始めたい。電気屋を物色してiMACを購入。夕方、安部良アトリエにてコンペの打ち合わせ。現況の問題点と解決策を出し合ってブレスト。
深夜、再度コンペのスケッチ。銅版画に着色する作業も少し進める。
1月8日(金)
朝から千葉県の方までコンペの現地説明会に参加。あれだけたくさんの建築家が一同に集まるのもなかなか珍しいものか。写真を撮ったりしながら、あれこれアイデアを模索する。
夕方、事務所に戻って早速スケッチを始める。夜、香港から一時帰国中の友人が来所。六年ぶりの再会だったので、学生時代の話からお互いの近況報告や仕事の話で盛り上がり話は尽きない。
深夜、メールなどの雑務。コンペのスケッチをまた進める。
1月7日(木)
午前中、メールなどの雑務。午後、打ち合わせの資料作り。夕方、独立した友人が来所。ドローイング作品を見てもらったり、お互いの仕事の接点などについて話し合う。
中目黒で貿易関係の打ち合わせ一本し、夜は大学時代の連中と恒例の新年会。鍋をつつきながらいつになく盛り上がる。建築学科を卒業した六人で建築を続けている三人は一級建築士になり、他の三人はそれぞれの道で頑張っている。職種も違うしなかなか会えなくなっているものの、濃厚な学生時代を一緒に過ごした仲間は時間が経っても変わらない。
今日もポストには年賀状。180枚出して100枚弱の返信が今のところある。机を並べて一緒に勉強した小、中、高、大学時代からの友人たちの実に多くが既に結婚したり、子供が生まれたりしていること再度に驚く。
1月6日(水)
午前中、打ち合わせの準備。昼、写真家の友人とランチ。新年の挨拶と近況報告を含め、色々と創作活動などいつも刺激をもらう。午後、銀座のPOLA MUSEUM ANNEX にて川邊りえこ『KO・TO・TA・MA』展を観る。壁一面の力強い「書」を抜けると広い空間に白と黒の油絵作品に対比するかたちで古代の文字で埋め尽くされた二つの映像インスタレーションが丁寧に配置されている。副題の通り、「呼吸する文字」をゆっくり体感する。続けて、打ち合わせを一本して、上野へ。
フランクフルトから旅行に来ているドイツ人の友人の弟と合流して、東京芸大へ。友人の彫刻家・谷山恭子さんの参加する展覧会『まばゆ、がらんどう』展のオープニングに行く。美術家・志水児王さんのレーザービームを水に反射させた作品に深く感心する。ゆっくりと動きスキャンされる美しき光の線。
夜、新年会に参加、友人の結婚の段取りが決まったことを知り大いに盛り上がる。深夜、『伊勢神宮』を読み進める。参拝してきたばかりなので、また違ったリアリティーでもって文章が読み取れる。
1月5日(火)
午前中、メールなどの雑務。午後、明治神宮へ初詣。神宮の森をゆっくりと歩いて初詣。心地良い本堂のスケール感を味わうも、背景に覗く新宿のビル群に東京らしさを感じる。元旦の伊勢神宮に続き、東西の神宮の神様に参拝して今年のスタートを気持ち良く切る。
渋谷の電気屋でPCを物色する。事務所に戻って仕事。コンペのエスキスと錦糸町のスケッチ。夜、ショパンのワルツを聴きながら銅版画の整理と展覧会の企画についてあれこれと考える。
窓からふと覗いた半月は綺麗に上半分が切り取られていて美しい。
1月4日(月)
午前中、メールなどの雑務とコンペの資料読み。午後、年末に実家から送った学生時代の本が十箱届く。早速事務所の本棚に整理していく。棚が飽和状態になって部分的に本を二重に置いて対処する。午後、デスクワークと仕事の整理。
夕方、『イングロリアス・バスターズ』(監督:クエンティン・タランティーノ、2009)を観る。「面白さタランかったら、全額返金」と唄っているだけあって文句なしに面白い。個人的には『パルプフィクション』を越えた感がある。とにかく絶妙なキャスティング。演技力と存在感でランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツ。彼が映画の始まりで奇妙なパイプを出した瞬間吹き出してしまう。僕は、あのパイプを見てスイスの酪農家が吹く大きな笛のモチーフを思って笑ってしまう(内田先生のブログでシャーロック・ホームズのパイプのレプリカであることを知る)。次に物語の鍵となるショシャナを演じたメラニー・ロラン。美しきパリジェンヌが果敢に挑んだ悲劇のヒロイン。ツォラー兵士を演じたダニエル・ブリュールの流暢なドイツ語とフランス語の切り替え芝居。そして、イングロリアス・バスターズのリーダー、ブラピ。とにかくタランティーノ節満載でスリリングであり、テンポも良く、ウィットに富んだ笑いと暴力的でシリアスなシーンのバランスが天才的。ヒットラー役をマーティン・ウ゛トケが演じているあたりもさすが(特殊メイクで観ているときは気がつかなかったが)。
夜は、事務所に戻ってデスクワーク。その後、今年の初走り。目黒川沿いをいつも通り半時間のランニング。深夜、ついつい棚から引っ張り出して映画『デス・プルーフ』(クエンティン・タランティーノ、2007)のDVDを観る。こっちは、完全にどたばたエンターテーメント。エンディングが壮快。
1月3日(日)
オーケストラで自分がコントラバスを弾いている夢をみる。午前中、メールなどの雑務。午後から仕事初め。新しいコンペのブレスト。それから錦糸町の飲食店スケッチを進める。
夜、情熱大陸でピアニストのアリス・沙羅・オットの放送を観る。才能あふれるミュンヘン在住のピアニストだが、音楽に対する情熱らしきがテレビを通して伝わってくる。勝手に若きアルゲリッチを彷彿としていて見入ってしまう。
1月2日(土)
朝から温泉に入って体を覚ます。朝食を食して、荷作りも程々に車で東京に戻る。あっという間の正月であったが実家で気持ちよく家族とリフレッシュして、伊勢神宮で初詣。さて、いよいよ新しい年の始まり。今年も皆様への感謝の気持ちを忘れずに一生懸命頑張っていこうと思う。
高速料金の割引で帰路は予想以上の大渋滞。伊勢から十一時間かけて目黒に帰ってくる。帰宅後、早速実家から届いていた本を書棚に整理して寝る。
2010年1月1日(金)
明けましておめでとうございます。昨年はお世話になりました。本年も何卒よろしくどうぞお願い致します。
六時半に起きて、伊勢湾超しに初日の出を観て縁起の良いスタート。それから伊勢神宮にて初詣。学生時代ぶりの参拝。満員電車さながらの人手。自然に囲まれた伊勢神宮で新年を迎えることが出来て清々しい気持ちになる。三年後の平成二十五年には六十二回目の式年遷宮らしい。
夕方、旅館にて温泉に入って、食事。露天風呂では、伊勢湾に吹き付ける冷たい風とヌルヌルした温かい温泉を綺麗な星空と共に楽しませてもらった。鳥羽の自然と伊勢湾の青さを満喫した正月となった。
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