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『EVERYDAY NOTES』

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『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2010 march

3月31日(水)
 午前中、メールなどの雑務。U邸のスケッチを進める。午後、安倍アトリエにて新しいコンペの打ち合わせ。銀座に移動して、INAXギャラリーにてオスロより来日した若手建築家JDSのJulien De Smedtと早稲田大学のジュリアン・ウォラル先生との対談を聞く。それから打ち合わせを一本。

 夜、再度INAXギャラリーにてJulien De Smedtの出版記念レクチャー。スライドを交えてテンポよく近作を紹介。PLOT時代から続く自身の建築観をフランクな英語で分かり易くレクチャー。何より彼の自由な感覚と揺るぎない自信が印象的。雑誌『CONDITIONS』の編集者でもある共通の友人の話から本人とあれこれ話す。これから『ぺちゃくちゃナイト』に出るということで六本木に移動。会場のスーパー・デラックスは大盛況。世界的に展開しているこのイベントのネットワークを生かしてがハイチやチリへの支援活動をしていることを知り共感。ベルリン時代の旧友とばったり再会したりして盛り上がる。

 深夜、クライン・ダイサムのマークさんらJulienを交えて中華を食べて、渋谷の不思議な飲み屋にハシゴする。プリツカー賞を受賞したSANAAの話から現代日本建築談議で盛り上がる。とにかく、34歳という若さで既に大規模な建築を高い水準で作り続けているそのエネルギーに刺激を受ける。映画監督のラース・フォン・トリアとのインタビューの話や事務所の理想的規模の話、エレベーションに対する考え方など興味深い話は尽きなかった。

3月30日(火)
 午前中、届いた段ボールを開けてサクサク本棚に収納する。既に飽和状態なので一軍本と二軍本の線引きをする。というか、再読の可能性が低い本や小説が寝室へ。

 午後、桑沢デザイン研究所でのレクチャーの準備に取りかかる。大枠を整理した。自分の過去の写真データのアーカイビングに多大の時間がかかりそう。

 夕方、U邸のスケッチを進める。トレーシングペーパーに平面をドンドン描いていく。夜は、コミッションされた「赤」のドローイングを進める。ペン画に着色する予定だが、もうすぐ線を描き終えるだろう。「青」との展開を意識して進めている。

 深夜、何冊かの本を雑読する。しかし、満月がえらく美しかった。雲との関係で複雑なオレンジ色をしていた時間帯があった。

3月29日(月)
 午前中、実家から8箱の書籍を東京まで送る。昼、京都でお施主さんと合流し、能の稽古場を見学させてもらう。素敵なアプローチと中庭があり、戦前に建築された素晴らしい稽古場を案内してもらう。時間の蓄積が空間にしみ込んでいて魅了される。午後、新幹線で東京に戻る。

 夜、事務所の掃除と整理を進める。気がつけばもうすぐ四月。働く場所の整理は同時に頭の中の整理にもなるのでしっかりと整える。

3月28日(日)
 一日のんびり奈良のお寺巡り。まずは、大改修を終えた唐招提寺。千手観音も素晴らしかったが、屋根のプロポーションが美しい。苔の庭や敷石のデザインに見とれる。自然と建築のあらゆる境界線がうまく調和されていて多様な表情を獲得していてとても気持ちいい。続けて、法隆寺まで行って桜を観ながら正月に観た百済観音ではなく、中宮寺の菩薩半跏像を拝む。この仏像の持つやさしさにすっかり見入ってしまう。
 夕方には一番好きな東大寺南大門を観に行く。そのスケールとむき出しの構造のもつ美しさと壮大さを確認し、大仏殿を横目に二月堂と三月堂を観る。三月堂の屋根に観る時間のぶつかり合いを再確認。

 夜は、桑沢デザイン研究所での講義の予定表をまとめる。スチッチしていた連続レクチャーの構図を整理する。全体像は見えてきたので、一つ一つのディテールを準備していって講義してみたい。

 持ってきた幾つかの本や内田先生に頂いた本を拾い読みして寝る。

3月27日(土)
 午前中、メールなどの雑務。午後、実家の本の整理に悪戦苦闘。探しているアーキグラムの本がみつからずも、メープルソープや宮本隆司の写真集、美術館のカタログ多数を発見。

 夕方、思い立って奈良駅の近くにある喫茶店『羅漢』を探し当てる。学生時代以来7年ぶりくらい一杯。サイホン式で飲ませてくれる美味の珈琲を頂く。

 夜、打ち合わせのフィードバック作業でU邸のスケッチを進める。

3月26日(金)
 模型を箱詰めして、朝の新幹線で新大阪まで爆睡。神戸にて敷地を見ていくつかの実測をして、内田樹先生御夫妻と道場/住宅の打ち合わせ。デザイン提案のキックオフミーティング。三つのモデルでコンセプトとバリエーションを提示。具体的なイメージをしっかり共有してもらい、全体の方向性と今後の展開についてたっぷり話し合う。

 午後から「甲南麻雀定例会」で打つ。寝不足で考え過ぎて負けてしまうので考えずに勘を頼りに打ったら最後の半荘でやっとトップ。夜、奈良の実家に帰ってベットに倒れ込む。

3月25日(木)
 今日もなんだか一日中雨模様。そして僕は一日中、U邸のプレゼン準備。図面と模型を行ったり来たりしていると新しいアイデアが浮かんだりしてまとめるスピードが落ちるけど、小さな発想をこぼさないようにしたい。

 ツイッター(yusuke_koshima)を最近始めたんだけど、まだうまくつぶやけない。しかし、こうした事後報告的ブログは「記録」としての機能が強い中、ツイッターは「リアルタイム」での情報力にその新しさがあるのだろう。僕は、宇宙飛行士の野口さんの宇宙からの写真に癒されている。

 さて、深夜の作業は続く。久しぶりの完徹。明日の始発で神戸へ。デザイン提案の最初の打ち合わせ。その後は楽しく甲南麻雀定例会。

3月24日(水)
 午前中から集中して図面化作業を仕上げていく。デザインは常に変化していくものだという実感は、図面にしている時に一番感じる。この一時停止感がいつかはなくなるのだろうか。やはり、未完の建築にある魅力は動き続けるエネルギーの体感。

 深夜、新しいアイデアを早速モデルつくって試す。冷たい雨が降り続くが、作業は進む。

3月23日(火)
 午前中、メールなどの雑務。昼、神保町にて森川嘉一朗さんと打ち合わせ。桑沢デザイン研究所での講義についてあれこれと話を伺う。来月から受け持つレクチャーのイメージが湧き、大いに参考になり、刺激を受ける。学生時代ぶりに聞いた森川さんの秋葉原を中心としてオタク/キャラクターについての話が面白かった。南洋堂にて雑誌『CONDITIONS』は、まだ反応があまりないとのことで宣伝方法を考えたい。セドリック・プライスの本
『Re:CP』を買う。

 午後、集中してU邸の図面化作業。いよいよ第一プロポーザルも本格的にまとめる時期に入ったので資料作成とスケッチの連続。

3月22日(月)
 午前中、U邸のモデル作業を進めて三つ目のバリエーションがまとまった。午後、埼玉の方で打ち合わせ一本。色々とエスキスをする。

 夕方、戻ってきて三つのモデルをブラッシュアップ。夜は、プランの整理をして図面化作業を進める。あっという間に一日が終わってしまう。

3月21日(日)
 午前中、U邸のモデル作業を進めて二つ目のバリエーションに新しいアイデアを盛り込んで展開する。いよいよ机の上がごちゃごちゃしてきて、学生時代の課題提出前を思い出す。

 夕方、銀座の資生堂ギャラリーにて石上純也(建築家)×山田章一(物理学者)による『建築の可能性』と題した対談を聴く。石上さんの建築は、ニューヨークの「ヨージ・ヤマモト」しか実際に見たことないが、彼の話を聞いていてあらゆる視点が「究極」であることによって「建築」のボーダーを拡張することが根底にあり、その想像力のスケールの大きさに驚く。対談相手に宇宙の専門家である山田教授を招くところにもそれが表れている。石上さんの質問にサクサクと物理学的解答をするのも、建築家が普段打ち合わせをする構造家のそれとはまた違った視野の広い対談が展開していた。知的キャッチボールの面白さはモデレーターの五十嵐さんが潤滑油として機能したところも大きい。

 夜、U邸のモデルを更に展開していく。スケッチのアイデアが三次元でモデルとして確かめられるこの時に想像力は大いに刺激されるので時間を忘れて作業に没頭する。

3月20日(土)
 午前中、メールなどの雑務。午後、U邸のスケッチを進めてからそろそろプレゼン用のモデルを展開する。終日あれこれと平面を立ち上げながら、空間のイメージを確かめるようにモデリング。

 深夜、気分転換に「赤」ドローイングを描き進める。BGMは、ブラッド・メルドーのピアノ。

3月19日(金)
 午前中、メールなどの雑務。昼、海外に住む友人からコンペ情報。早速、参加することを伝える。午後、渋谷で打ち合わせ一本。夕方、U邸のスケッチに集中する。コンセプトボードと平面を交互に進めると、ふとしたアイデアが生まれる。

 夜、気分転換にコミッションされたドローイング「赤」を描く。まだまだ序盤戦。深夜、再度U邸のスタディーを進める。立面が固まってきたので明日、モデルをつくってみよう。明日から三連休らしいが、僕には関係ない。

3月18日(木)
 午前中、メールなどの雑務。午後、『カフェ・ライフ』まで銅版画作品を三枚ほど展示させてもらう。二階の壁の棚の上に配置する。手彩色と白抜きの物をセットで三枚展示している『リスペクト・カフェ』に対して、空間のスケールも考慮して同じ版の違ったインクでの刷りを展示。空色/黒/紅色。麻布十番でランチやお茶、夜はバーとしてもやっているので是非行ってみてください。

 夕方、U邸のスケッチ。コンセプトボードからそれぞれの空間のラフを描く。夜、北山創造研究所にて『エナジーリンク』に参加。江戸東京博物館の小澤弘教授の「熈代勝覧(きだいしょうらん)」絵巻のお話。実に面白かった。小澤教授が一枚の絵巻の中から読み解く無数の小さな物語がジグソーパズルのようにカチカチとピーズがはまって大きな物語が見えてとても刺激的だった。背景に富士山の見える日本橋からの一本道の西面をひたすら克明に描いたこの絵巻(描かれた人は、なんと1671人に上る)の丁寧な解説を聴いていると、江戸(たった今、自分が住んでるここ東京)の街の生活がいきいきと立ち上がってくる。近く時間をみつけて是非この絵巻を実際に見に行きたい。

 深夜、再度U邸のスケッチに集中する。BGMは、『ケルンコンサート』。

3月17日(水)
 午前中、銀座のポーラ・ミュージアム・アネックスにて『鎧松―東信展』を観る。スケッチに惹かれて、実物が見たくなったので最終日に滑り込む。新しい試みに斬新さを感じるも、素材の選択に改善の余地を感じた。自然の対極として工業製品である鉄を選んだのは分かるし、パンチスチールにしたことで中が薄ら見えたのも効果的だったが、ステンレスということで白くて軽い印象を与えていたのがもったいない。というのも、スケッチが白黒反転で提示されていて、重くて黒革鉄板のようなイメージが松との対比としてより明確な気がした。あと、自然の松の木の構造を鉄で覆うことで新しい構造(支え棒)が必要となっていることがなんだか示唆に富んでいて、しばし考え込む。とても良い展示であった。

 昼から新橋にて省エネ関係の勉強会。いろいろと貴重な情報をたくさん頂いたので時間をみつけて何かしらの取り組みをしたい。

 夕方、U邸のスケッチを進める。一度、頭をゼロにしてコンセプトの広がりを探る。夜、「都会の森」ドローイングを集中して仕上げる。具体的なテーマを抽出して作品を描いたのは新鮮で発見的だった。新しいプロジェクトのキックオフも近い。

3月16日(火)
 午前中、ドガカードルより版画作品たちがフレームに納められて届く。早速、それぞれのお施主さんへの手配を準備する。

 午後、U邸の平面を図面化作業。ベクターが不慣れでなかなかスピード感が出ないけど、第一バリエーションがまとまってきた。プレゼンまであと十日、しっかりまとめたい。

 夕方、『リスペクト・カフェ』に行って銅版画作品を三枚持っていく。自分のよく行く好きなカフェに作品を置いてもらう喜びを実感。いろんな反応を期待したい。夜、下北沢「劇」にて木山事務所公演『瑠璃の壷』の公開ゲネプロを観る。女性たちの歪んだ愛のカタチがそれぞれに描かれていて強烈な作品。難しいハーフの娘役を演じた友人の森尾舞とビールで乾杯。演劇談議に盛り上がる。

 深夜、目黒にある隠れ家的レストラン『月見草』にも購入して頂いた銅版画を持っていく。常連のお客さんたちとお店のどこに飾るかで意見を交換。とても気に入ってくれて、嬉しい限り。ぜひ目黒に来た時は、おいしい食事とお酒の時間を『月見草』で過ごしてもらいたい。

 『デザインのデザイン』(原研哉、岩波書店、2003)を読み終わる。学生時代ぶりに読んだが、デザインの歴史におけるモリスやバウハウスの位置づけなど、とてもスムーズに頭に入ってきたのが収穫。四月からの桑沢デザイン研究所でのレクチャーの準備にも役立つだろう。

3月15日(月)
 午前中、メールなどの雑務。まだ読みかけの本が沢山あるのに本棚から『デザインのデザイン』(原研哉、岩波書店、2003)を引っ張り出して再読する。デザインについて頭を整理するのに最良の本。

 午後、U邸の立面を考える。一つのバリエーションがまとまった。夜、週末の間寝かせていたNSPの文章を推敲して送信。このお誘いがなければ書くことのなかったストーリーなので、すごく楽しく書けた。文章を書く頻度を少しずつ増やす体力をつくりたい。

 深夜、昨日の写真展を思い出しながら「都会の森」ドローイングを進める。もうすぐ完成か。BGMは、コルトレーンの『バラード』。

3月14日(日)
 午前中、ゆっくりする。昼、銅版画に手彩色を施す。読書していたら、しおりに使っていたフライアーでM.HASUIさんの写真展が最終日であることに気づき、早速目白のフォーシーズンズホテルまで行く。天気もよかったので目白駅からゆっくりお散歩。すっかり春めいてきて、来週からの桜が楽しみだ。

 『Bonheur』(フランス語で「幸せな時間」を意味する)と題された写真展は、椿山荘の三重塔をモチーフに大都会東京における「森の姿」を切り取っている。たまたま行ったら、クロージング・パーティーでキュレーションした太田菜穂子さんとも挨拶する。昨年観た大きく焼かれた「PEACE LAND」も良かったが、今回小さく焼かれたものが展示されていて、凝縮された物語に息をのむ。

 夜、写真展を見たということもあって『ゼラチン・シルバー・ラブ』(監督:操上和美、2009)をDVDで観る。監督が写真家ということで実に美しいコンポジションや映像の質感に見入るも、台詞が極端に少なく、ストーリーが単純でつまらなかったのがもったいなかった。

3月13日(土)
 午前中、メールなどの雑務。昼、義姉がオーガナイズする『KIDS DISCO vol.2』@VACANTにドローイング作品を持っていく。エントランス脇に展示させてもらい、僕も子供たちのディスコ・イベントを甥と姪と楽しむ。
兄の影響なのか、結婚もしていないのに若きパパママにシンパシーを感じる。

 夕方、友人の結婚パーティーへ。トロントでの中学時代からの友人がめでたく結婚。美味しい食事と思い出話に華が咲く。中学時代の仲間もこれで九人中六人が既婚者となった。三十代になるとすっかり独身者がマイノリティーになってくる。

 石山研究室から昨日届いた『アニミズム周辺紀行5:開放系デザイン、技術ノート』を読み終わる。小説のような文体で石山さんの「終の棲処」が描かれている。断片的に今までの仕事がちりばめられていて、「開放系」というデザインスタンスが実践的に伝わってくる。裏表紙に上下逆さに描かれた鳥などのスケッチは、きっとキルティプールの家の窓から見える風景なのだろうか。

3月12日(金)
 午前中、メールなどの雑務。昼、銅版画などの整理やホームページのアップデート作業。夕方、新宿OZONEにて難波和彦先生のレクチャー『住宅建築のソリューションメソッドを考える』を聴く。大学教授としての先日の最終講義から「住宅設計」つまりは「箱の家」シリーズを抽出して四層構造も含めた建築家としてのお話。色々と頭を整理するには最良のレクチャーであり、これからの「箱の家」の展開として「その家族(お施主)や場所(敷地)にしかない力学を拾い上げて、エネルギーにカタチを与えたい」とおっしゃったのが何より印象に残る

 夜、戻って読書。住宅設計について何冊かをパラパラと斜め読み。深夜、コミッションされた「赤」のドローイングを進める。『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』を読みながら寝る。

3月11日(木)
 午前中、メールなどの雑務。昼、コミッションされたドローイングを進める。それから原稿用紙五枚ほどのストーリーを書く。二次元のドローイングを描いてる時と文章を書いてる時の頭の疲労感の違いを実感する。もっと文章を書く機会をみつけたい。午後、写真家の友人に誘われて六本木新国立美術館にて『アーティスト・ファイル2010』を観る。福田尚代さんの文庫本や刺繍という組み合わせとO JUNさんの独特なペインティング作品が印象的。

 夕方、白井版画工房にて作業。凸版刷りを四枚。夜、もろもろのデスクワークを済ませて雑読。夕刊で鶴岡八幡宮の大イチョウが倒れたことを知る。樹齢800年とのこと、無惨な写真を見て鎌倉の人たちのことを思うととても残念な気持ちになる。

3月10日(水)
 午前中、品川税務署にて決算書と確定申告。ギリギリという事もあってか長蛇の列、えらく時間がかかってしまうも無事完了。
昼、U邸のスケッチをあれこれ展開する。外は久しぶりの青空。夕方、貿易/翻訳関係の仕事をして送信。

 夜、友人に誘われて六本木のジャズハウスALFIEにてバイオリニストSAYAKAさんのライブを聴く。ピアノ(石塚まみ)とベース(坂井紅介)、パーカッション(大儀見元)との息の合ったカルテッド。それぞれの楽器が身体性をもって「声」としての音楽で迫ってくる。音譜もキューバ、ブラジル、インド、プエルトリコと行ったこともないのにさまざまな風景が立ち上がる。先日カタリココで体験した板垣真理子さんの写真とシンクロして魅力的なライブ体験となった。

 深夜、カエターノ・ウ゛ェロッソを聴きながら「都会の森」ドローイングを描き進める。いよいよ終盤にさしかかり、新しいアイデアが浮かび、遅くまで描き続ける。

3月9日(火)
 今日も天気が悪くて、一日中事務所から出ないで作業。午前中は、メールなどの雑務。午後、U邸のスケッチ、立面のバリエーションを考える。夕方、昨日買った『ナショナル・ストーリー・プロジェクト1』(ポール・オースター編、新潮文庫)を読み始める。金曜日にレクチャーを受けるので、難波先生の『建築の四層構造』(難波和彦、INAX出版、2009)も再読スタート。

 夜、コミッションされた2組のドローイングに取りかかる。昨年描いた「青い都市風景」に対して類似した「赤い都市風景」を描き始める。外の天気がみぞれまじりになってきたのもあって、グールドのブラームスを聴きながら大いにペンは紙の上を踊る。深夜、NSPが面白くて読み進める。

3月8日(月)
 午前中、経理の書類を終わらせる、残すは申請書。午後、銅版画に手彩色を施す。銅板に針で線を引き、紙に筆で色を入れて小作が完成する。それからドガ・カードルの担当者と打ち合わせ。『カフェ・ライフ』『リスペクト・カフェ』に置いてもらう銅版画と購入してもらった作品群をそれぞれ額装する。

 夕方、U邸のスケッチ、平面と断面を考えながら進める。夜、メールなどの雑務とデスクワーク。机をきれいにして、やらなきゃいけないことを整理する。『磯崎新の建築・美術をめぐる10の事件簿』(磯崎新/新保淳乃/阿部真弓、TOTO出版、2010)を読み始める。

3月7日(日)
 午前中はゆっくり寝た。昼、スウェーデンの友人たちが来所して近況報告に銅版画作品などを見てもらう。午後、U邸のスケッチを進める。夕方、打ち合わせを一本。

 夜、高校時代の友人たち9人が集まる。10年以上むかしの思い出話がエンドレスにそれぞれの口から炸裂する。当時は、男子校だったが今は共学らしい。

 深夜、思い立って高校時代に見て以来の『パルプ・フィクション』(クエンティン・タランティーノ監督、1994)をDVDで観る。やはり、爽快な物語が実に見事にシャッフルされ絡み合って多様な物語を演劇的に見せている。改めてタランティーノ監督の絶妙な音楽と脚本に感心する。そして巧みな台詞や(汚い言葉も多いのだが)言葉の言い回しがウィットに富んでいてユーモアもあり面白い。ジャクソン演じるジュールスとトラボルタ演じるヴィンセントの人生観の違いが軸にあり、久しぶりに観てみたら前は感じなかったシンパシーをジュールスに強く感じた。

3月6日(土)
 午前中、メールなどの雑務。昼、両親と兄貴家族でランチ。四歳になった甥の誕生日を祝う。今日は、ミケランジェロと同じ誕生日らしく話していたら、僕の誕生日(4/15)は、レオナルド・ダヴィンチと同じらしい。

 午後、事務所に戻ってU邸の平面を進める。夕方、中目黒で友人の結婚パーティーに参加。ハッピーな空気にあふれていた。夜、銀座で別の友人たちと食事。ここでも近く入籍する二組の友人カップルと盛大に盛り上がる。幸せな時間。

 それから事務所に戻って銅版画のポートフォリオを持って、目黒のレストラン『月見草』にて北海道から出張中の友人と一杯。外科医の彼と近況報告。昨年、銅版画を買ってくれた友人もそこに合流し、母親へのプレゼントとして二枚目を選んで購入してもらう。月見草のオーナーにも店の雰囲気にあった作品を選んでもらい購入決定。こうした生の声としての反応が一番嬉しい。

 深夜、ツィッターに登録してみた。使い方がよく分からないので傍観中心になるだろうが、この何とも不思議な距離感でつぶやいてみたい。午前四時、ベットに倒れ込んで長い長い一日が終わる。

3月5日(金)
 午前中、U邸のスケッチを進めて、午後からついに本腰を入れて経理の仕事。領収書などの山と向かい合ってエクセルにカチカチ打ち込む。夕方まで没頭して大方終わらせる。これでやっと来週確定申告できる目処がたった。計算機でぴたっと数字などが合う時に快感を覚える。

 夕方、青山の「ときの忘れもの」ギャラリーにてオーナーの綿貫さんに銅版画を見てもらう。画廊としての考え方や作品を作り続ける事の本質、色使いなどについても話を伺ったので、更に精進して制作したい。

 夜、結婚を控えた友人の誕生会。学生時代からの友人でなかなか会えなくなったが、異分野で活躍する同世代の人が沢山いて大いに盛り上がる。深夜、ベルリンの同僚より僕が基本設計に携わったミラノのオフィスビルの完成写真をメールでもらう。帰国してもう二年になるのか。

3月4日(木)
 午前中も引き続きU邸のボリューム模型をつくる。三つのバリエーションを確認していく。それからまたスケッチに戻る。

 午後、経理関係の書類を準備する。メールなどの雑務。夕方、渋谷の『リスペクト・カフェ』に版画を持って店長に見てもらう。先日渡した名刺からサイトを見てもらっていて、すぐに気に入ってもらう。即座に銅版画作品を置いてもらうことになり、早速持参した額装された作品の展示場所を決める。同じ大きさの銅版画作品をもう二枚準備する事を約束する。好きなカフェに作品を置いてもらえる事でまた新しい出逢いを期待したい。

 白井版画工房にてアクアチントした作品の試し刷りなど。手を真っ黒にしながら四時間で七枚を刷りきった。白井先生と落語『こんにゃく問答』について盛り上がる。

 夜、『カフェ・ライフ』にも寄って、ここに置かせて頂く銅版画作品についても店長とあれこれ話し合う。深夜、銅版画のポートフォリオを整理する。来週には額装の手配をしたい。

3月3日(水)
 ひなまつり。午前中、メールなどの雑務。昼、尾山台にてお施主さんの「梅の会」に呼ばれて近況を報告する。お庭の素晴らしい梅の木にはメジロのつがいが飛んできて、それは美しい梅の花を楽しんでいた。久しぶりの青空。

 午後、U邸のスケッチをまとめて、三つのバリエーションの平面を次は、ボリューム模型で確認作業。平面でプログラムを考えていたので、模型では屋根の関係性や空間の繋がりを考えていく。

 『現代霊性論』(内田樹・釈徹宗、講談社、2010)を読み終わる。霊性というスピリチュアルなことについての掛け合い講義をまとめたもので、宗教から儀礼、タブーなど実に我々の日常の中には隠れた霊性らしきが強く作用しているのではないかと思った。続けて、『都市へ』(鈴木博之、中央公論新社、1999)を拾い読みする。

ume ume

3月2日(火)
 午前中、メールなどの雑務。昼、桑沢デザイン研究所にてスペース・デザイン・コースの授業内容などの打ち合わせ。四月から非常勤講師になることを承諾する。空間デザインを軸に学生たちに建築やアートのことを分かり易く教えていきたい。続けて原宿の日本陶芸倶楽部にて欠けてしまった茶碗の金つけ修復を受け取りにいく。丁寧な作業の説明も受け、感謝の気持ちで一杯になる。

 夕方、U邸のスケッチをあれこれ進める。バリエーションの展開と可能性を探っていく連続。夜は、『現代霊性論』を読み進める。

3月1日(月)
 午前中、メールなどの雑務。午後、経理関係の書類を整理する。目黒で打ち合わせを一本。夕方、U邸のスケッチ。コンセプトを整理して、平面のバリエーションの精度を上げていく。しっかりとまとめていきたい。
夜、いくつかの本を雑読。

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