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『EVERYDAY NOTES』

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『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2009 october

10月31日(土)
 朝から美味しいベーグルを食して、ゴルフの練習に行く。250球ほどをアイアンからドライバーまで打つ。父の指導のもと、半年ぶりのゴルフを満喫し、左手には早速マメができる。

 午後、フィラデルフィアまで車で移動。三時間程して、到着。前回、ルイスカーンの建築を観に来て以来だが、フィラデルフィアの街が懐かしく感じたのは何故だろうか。夜、ミストのような雨が降り続く中、ワールドシリーズ第三戦。見渡す限りフィリーズファンばかりの敵地にてヤンキースは、三点ビハインドからの逆転勝利。松井のだめ押し代打ホームランもあり、四万六千人の中のわずか一握りのヤンキースファンだけが喜んで試合が終わる。これで一気にチームが勢い付くか、優勝まであと二勝となった。

 深夜、サマータイムが終わり、午前二時から三時の一時間が二度あり、得した気分になる。ホテルまでの帰路、街にはダースベーターやマリリンモンローに変装した大人がゆっくり歩いていた。ハロウィーンだったことを思い出す。

10月30日(金)
 時差もあってか、早起きが続く。朝からバスに乗って一人でマンハッタンに行く。iPODでグールドのバッハを聴きながら、いつもの街を歩く。42番ストリートを東に進み、6番アヴェニューを北上する。こうして一日がかりの美術館巡りが始まった。

 まずは、MOMAで常設展を観る。マティスの赤やブランクーシの彫刻を観て、中庭から表情豊かなビル群をスケッチする。モネの睡蓮シリーズが特別展示されていた。続けて、セントラルパーク沿いを紅葉の落ち葉の中、一気にグッゲンハイム美術館まで散策。50周年を記念して、カンディンスキーの立派な回顧展がやっていた。ライトの設計したスロープがすべて彼の絵画。一度にあれだけの作品をまとめて観たのは初めて。抽象絵画が生まれて、キャンバスの中で自由に展開する創造力は、音楽のようにはずむ。時系列で観ると、絵画の中のモチーフや色合いがどんどん複雑化していくのが分かって面白い。最晩年の油彩は、パリの光に誘われてとても淡い表情を獲得する。最後に、ホイットニー美術館。ブロイヤー設計のコンクリートの建築は、いつ来ても強度と存在感があって好きだ。OMAの増築案が実行されていたらすごい事になっていただろうに。目的はジョルジア・オキーフの企画展。彼女の抽象絵画をテーマにキュレーションされていてこれまた素晴らしかった。先ほどのカンディンスキーと違って、線も色も女性的な感性で包まれていて柔らかい。一貫して彼女の絵画には、独自の世界観があり、それは統一感のある美しい曲線と絶妙な色使いに支えられている。同じ抽象化でもカンディンスキーのそれとは違って、もう少し内面的というか、視えない心象風景に辿り着こうとする葛藤を感じる。カンディンスキーの作業が追加していく作業であるなら、オキーフは削ぎ落とす作業なのかもしれない。そして写真家のシュテーグリッツによるオキーフの写真群も展示されていて、彼女に対する愛情があふれんばかりの美しさに観入ってしまう。二冊の分厚いカタログを手土産に帰宅。

 しかし、ニューヨークのアートの質と量の高さにはいつも驚嘆する。これだけのものを一日で観ることができるのは最高の贅沢。三つの美術館を結ぶ途中にセントラルパークがあるから、秋の風情を感じながら徒歩でこれらを網羅できる都市の魅力を再確認する。街行く子供たちは、それぞれに変装していて可愛かった。明日は、ハロウィーン。10月も後一日。

 夜、帰宅して45分程近所を走る。走るラップごとにペースを上げていく練習をした。良く歩いた足には、なかなかハードなランニングとなった。

10月29日(木)
 明るくなった部屋の窓から綺麗に紅葉した木々が見えた。昨日の雨と風で落葉し、道に枯葉が散っている。これが僕にとっての秋のアメリカの風景。

 『ニッポンの思想』(佐々木敦、2009)を読み終わる。浅田彰と中沢新一から始まる80年代のニューアカ思想ブームから現代の東浩紀一人勝ちまでを分かり易く解説する新書。タイトルから丸山真男の『日本の思想』をもじっているわけだが、30年近い日本の思想史を300項ちょっとで語るには当然荒っぽい部分や取り上げられる思想家に限りがあるが、頭の中に一つの地図として整理するにはもってこいの本。しかし、このペースで読むと持ってきた七冊の旅の本は、終わってしまう。

 『チャーミング・ガール』(監督:イ・ユンギ、2006)のDVDを観る。登場人物も台詞も少ないシンプルな映画。表面からは見えない心の闇をテーマにしている映像。きっと、特別な視点を持っていないとこのようなデリケートな内面まで他人は読み取ることは出来ないのだろう。白とか黒ではなくて、グレーのグラデーション。

 午後、近所を半時間ばかりジョギング。アスファルトや枯葉の匂いに濃厚な青い空は、異国にいることを実感させてくれる。ちょうど一ヶ月後には河口湖でフルマラソンを走っているには、トレーニングのペースアップが必須。

 夜、ワールドシリーズ第二戦。マルチネスとバーネットの投手戦。五万人の超満員のスタジアムは一球、一球に大歓声でどよめく。しかし、新スタジアムで入場料の引き上げのせいか、観客は白人富裕層ばかり。松井の勝ち越しホームランで勢いづいて、リベラが最後の二回を締める。これで対戦成績を五分にして、適地フィラデルフィアに向かう。

10月28日(水)
 午前中、秋晴れに誘われて部屋の掃除。父と合流し、アメリカへのお土産などを買って成田空港へ。最近は一人で飛行機に乗ることばかりだったので、父と一緒に飛行機に乗るのはいつぶりか。来月の9日まで渡米しているが、実家なのでネットも繋がっているし、メールのやりとりはできる環境にいるからこのEveryday Notesも継続できるだろう。秋のニューヨークを満喫したい。

(米国にて追記)

 サンフランシスコ経由で半日程の移動でニューヨークに到着。機内では、ゆっくり読書と睡眠。夢の中で登場した風景は、目覚めてからも明確にイメージが残っている。それは、有機的な屋根をした住宅群が連続し、内部空間が猿山のようにうねっていた。これは、一体何を意味するのかしないのか。

 早速『記憶表現論』(笠原一人・寺田匡宏、昭和堂、2009)を読み終わる。記憶をテーマに多分野の専門家がそれぞれの切り口で記憶との向かい合い方を書いている本。写真家の宮本隆司がインタビューでピンホールカメラでの撮影について語ったときの「写真にとって闇が非常に重要だ」っていう文章が印象的。美術史家の木下直之の視野の広さと論考のシャープな組み立てが記憶について考えるヒントを与えてくれた。

 雨の中、車でニュージャージーの家に戻ってくる。久しぶりの実家は少し肌寒い。一週間ちょっとの時間を「スポーツの秋」と「読書の秋」にして楽しみたい。東京の日常から離れて、頭を切り替えるチャンスだし、長い間やり残していた文章を書く仕事の方もこの機会にまとめたい。

10月27日(火)
 午前中、メールなどの雑務に部屋の整理。午後、住宅Kのデザインを進める。ベルリンでやったインタビューをアメリカで次の段階までまとめてみよう。そのためのデータを確認する。夜、来京中の父と弟と合流し、南青山のBody & Soulにてジャズピアノを聴く。生演奏を楽しみながらゆっくりした時間を家族で過ごす。

 深夜、いつもの目黒川沿いを半時間ほどランニング。筋肉痛をほぐすようにゆっくり走る。その後、旅の準備。

10月26日(月)
 連日の朝から冷たい雨が降っているが、一気に寒くなって紅葉が進みもうすぐ冬が来るのだろう。午前中は、メールなどの雑務。急きょ明後日からアメリカに行くことになったので、あれこれとリスケジュール。ベルリンでやったインタビューなどのやり残した仕事を整理してあっちでまとめてみよう。

 午後、住宅Kのエスキスの続き。そろそろこのデザインもまとめないと。銅版画の新しいスケッチも進める。夜、台風の接近する中、凄い風に吹かれて半時間程のランニング。新しく買ったiPODシャッフルで突然流れたケツメイシとアンジェラ・アキにテンションが上がって走るスピードが上がった。深夜はゆっくり読書。

 今日、久方ぶりに「プロジェクト30」の「しおり」が届く。小学校の同級生が色鮮やかに水彩絵の具で塗ってくれていた。トルコのタイルをイメージして塗った部分がすごく綺麗で、彼女と一緒の教室で図工の時間に絵を描いていたのはもう二十年以上も前のことであると思いながら月日のスピードにびっくりする。累計78枚。もう少し集まったらこれらの美しいモザイクも額装したい。

10月25日(日)
 朝から冷たい雨が降る。午前中、住宅Kのエスキスを進める。午後から『KIDS DISCO vol.1』のお手伝い。子育てに熱中しがちな若いパパとママが子供と一緒に踊れるというコンセプトのクラブ・イベント。DJにHIROMIXが来たりしていて、大盛況。甥っ子と姪っ子が元気よく遊んでいて、楽しかった。

 夜は、ゆっくり机まわりの整理作業と読書。BGMは、キース・ジャレットの新譜。パリの三曲目に聴き惚れる。

10月24日(土)
 『ウ゛ィヨンの妻』(監督:根岸吉太郎、2009)を観る。全体を通して暗いトーンの映像がどこか戦後の東京をうまく表現していて感情移入した。太宰治の原作を近く読んでみたい。

 『文化とは何』を読み進める。多くの示唆に富んだ文章に線を引き、メモを取る。今の仕事に直接ではなく間接的にヒントをもらう。 深夜、雨のため走るのをパスして読書する。

10月23日(金)
 午前中、メールなどの雑務。刷り上がった銅版画に初めて着色を試みる。新しい表情の生まれるこういう瞬間はテンションが上がって、時間を忘れて作業する。午後、着色された版画が完成。これは、また一つの展開として少し進めてみよう。

 展覧会のためのコンセプトを考えてブレストする。断片化された思考を整理するようにするこうした作業を徹底的にやることで本質を見極めたい。夕方、目黒川沿いをゆっくり走る。もう一ヶ月ちょっとでフルマラソンを走るにはまだまだ駄目だ。頑張らねば。

 夜、FOILギャラリーにてオーナーの竹井社長に作品群を直接みてもらえるイベントに参加。フローイングと銅版画を持参して、短いプレゼンをする。実に的確なコメントを頂き、作品の強度を「幻想」から「具体性」に見る視点を話し合う。自分のやってきたことを本当のプロに観てもらうことで凄く客観的な意見や感想が収穫になった。「俺は、世界に向いている。メジャリーグを見てるんだ」という言葉が強く印象に残る。高い水準を知ることでまた刺激を受けたので、いつか接点をもてるようにしたい。

 深夜、友人が個展をしてる恵比寿のバーであれこれと飲みながら盛り上がる。こうしてベルリンの友人たちが集まるとタイムスリップしたような懐かしい気分になる。

10月22日(木)
 朝から月島にあるMuseum at TAMADA ProjectsにてDUNEの手掛けるファッションイベントの設営を手伝う。倉庫だった場所をギャラリーに変えたとてもラフでかっこいい空間。オーストリアのファッションデザイナーたちにフューチャーしたショー『オーストリア・コンテンポラリー・ファッション』が行われた。エッジの効いたデザイナーが映像インスタレーションやファブリックを使ったパフォーマンスを前半にやり、後半は来春コレクションのキャット・ウォーク。それぞれの参加者の個性がいかされていて、ファッションやアートという枠を越えて空間が立ち上がる。洋服はもちろん主役なのだが、音楽やライティング、メイクアップなど多くの要素が魅力的なモノ作りに繋がっているのを実感する。また、すべてのヘア・メイクを担当したTRIBEのトップスタイリストのチカさんは、学生の時にずっと通っていた美容室のオーナーだし、僕のデザインしたイスを発注して制作してくれた最初のクライアントでもある。DUNEとの繋がりに驚き、5年ぶりの嬉しい再会を果たす。三時と六時のショーを無事終えて、何より設営はもちろんのことデザイナーさんたちと一緒に時間を過ごすことが出来て刺激を受ける。久しぶりにドイツ語も少し話し、彼らの日本の感想や仕事について話を聞かせてもらう。打ち上げは、もちろん月島ということで「もんじゃ」をつつく。食事とお酒よりもデザイナーさんたちの笑顔がこのイベントの成功を物語っているようで嬉しい気分になる。酔った顔に深夜の冷たい風が心地良い。

10月21日(水)
 午前中、再度住宅Kのエスキースを進める。午後、横浜に出掛けて東京ガス主催の『未来をはぐくむ10のストーリー』展を観に行く。大企業としての幅広い活動に感心しながら、最新技術の応用を実験的に進める姿勢に共感する。

 『地図のない道』(須賀敦子、新潮社、2002)を読み終わる。とても優しく美しい文体が一冊を通して流れていてイタリアに対する深い愛情やヴェネチアについての文章が魅力的ですごく面白かった。幾度となく訪れた街、ヴェネチア、の全くオリジナルな切り口を発見しただけでも大いに収穫だった。彼女の本を読み進めたいと思う。

 夕方、白井版画工房にて刷り上がった銅版画を取りに行って、渋谷でインタビュープロジェクトの打ち合わせ。同世代の連中が新しいことに挑戦していく姿にいつになく刺激を受ける。

 夜、明治通に完成した美容室CURAの社長さんたちに出来たてほやほやの美容室を案内してもらい、食事。コンペに負けてしまったが、完成したものの精度の高さにいろいろと勉強させてもらう。二人がMINXという大きな美容室で良質な経験を積んで、自分たちの会社を作り上げていく話を中心に盛り上がる。残念ながら僕の案は選ばれなかったが、こうして刺激し合える仲間をみつかられたのは、大切な収穫であり、今後また一緒に何かできることを確認した。

10月20日(火)
 午前中、住宅Kのスケッチを重ねていく。雑誌掲載のためのドローイング・データを送信。

 午後、ギャラリー間にて隈研吾『Studies in Organic』展を観る。展示室に入るとすぐにテートモダンで観たヘルツオーク・デ・ムーロン展を彷彿とさせた展示に観入る。沢山のスタディーモデルから多くの思考の痕跡が読み取れて実に面白かった。あれだけの作品をつくり込むまでに注ぎ込まれるデザインのエッセンスに森山大道の「質のない量はなく、量のない質もない」という言葉を思い出す。グラナダのホールは、完成が楽しみだ。

 続けて完成したばかりの根津美術館へ。とても丁寧に空間がつくり込まれていて、材料の選択に隈建築の強度を感じる。単一素材にこだわっていた少し前の建築郡から石や竹が素敵な音楽を奏でていた。庭が綺麗にフレーミングされていて、空間のボリュームの変化が美しい庭を散歩している時のシークエンスの連続のようだった。

 NIDショップに寄ったらDUNE社長らが木曜日に迫った彼らの主催イベント『オーストリア・コンテンポラリー・ファッション』の準備に追われていた。彼が今までみつけてきたオーストリアのデザイナーを紹介するファッションイベント。僕も明後日は手伝いに行く予定。

 深夜、今日の隈さんの展覧会が「有機的」というタイトルをつけていたことや新しい根津美術館の魅力や『負ける建築』についてあれこれと頭を整理して読書。

10月19日(月)
 午前中、メールやデスクワーク。イタリアの雑誌掲載のためのデータを整理したりする。午後、新宿PCを買い替えるための下調べなど。夕方、住宅Kのエスキースを重ねる。夜、半時間ほどランニング。昨日のランの筋肉痛を走って治す。

 深夜、『文化とは何か』(テリー・イーグルトン、松柏社、2006)を読んでいたら「批評としての文化が、空疎なファンタジー以上のものになるには、そのファンタジーが求めている友愛とか願望充足を予示する習慣実践のありかを、ほかならぬ現在の世界のなかに指示しなければならない」という文章が強く胸を打つ。頭の中で点が線になっていくのを感じる。

10月18日(日)
 午前中、またヤンキースの試合を見ながら部屋の掃除と洗濯、衣替え。ヤンキースが5時間以上の熱戦を制して連勝。ここまで緊張感のある野球をやっていると、四球やエラー、走塁のちょっとしたミスをした方が試合に負けるようになっているから野球は面白い。

 午後からドローイングの少し気になっていた部分に再度手を加える。それから住宅Kのエスキースを進める。平面のパターンを色々と試みる。トロントで中学時代を共にした友人が休みを利用して、最近完成したドローイングや銅版画を見にくるために来所。作品群を見てもらいながらコンセプトを説明する。たくさんのリアクションがあり、友人の感想は示唆に富んでいて新しいアイデアも生まれたりした。いつか彼もドローイングをコミッションしたいとのこと。

 夜、出張で東京に来ている父と兄貴家族と合流して食事。相変わらず可愛い甥と姪がみんなを笑顔にする。よく食べて、よく喋るようになっていた。子供たちの成長の早さに驚く。

 深夜、目黒川沿いを一時間ゆっくりと走る。美味しいものを食べたので、普段より一周多めに走った。10キロ弱だが、ジャケットを来て走ったらしたたるような汗が出た。『ハンナ・アーレント入門』を読みながら寝る。BGMは、キース・ジャレットの新譜『Paris/London』。実に素晴らしい。こういう音楽は、何かを思考したりや制作するには最高のパートナー。昨年の横浜講演のステージで見た本人の優しい表情や動きが脳裏を瞬時に巡る。スタンダードも好きだが、やはり僕はキースのソロに気分が特別高揚する。

10月17日(土)
 午前中、「October Baseball」を楽しむ。メジャーリーグのポストシーズンは、本当にすごい野球をやってくれるので見入ってしまう。ヤンキースは、エンジェルズに対して初戦をものにした。

 午後、座・高円寺にて『モロトフカクテル』(作・演出:高羽彩)を観る。早稲田大学出身の若い演出家の作品は、70年代の学生模様を現代に持ち込んでアレンジした作品。良く出来ていたし、役者さんの芝居もバランスが良かったけど、どこかまとまり過ぎていて、意外性というかある種のトゲがなくて物足りなさを感じた。何かをつくる人には、大衆をいい意味で裏切るようなモノを期待してしまうし、それがあってクリエーターとしての個性が生まれるのだろう。

 建築としての座・高円寺は、電車から何度か見たことはあったが、近くで見ると鉄の表情がどうしても強度をもって伝わってこなかった。屋根の形態が直接天井の形態として動きが認識できる二階のカフェや、広い螺旋階段は気持ちよかった。しかし、劇場というアーキタイプは、ステージと観客のための「箱」が基本的には求められるわけで、うろうろと座・高円寺の周りを歩きながら新しい劇場の可能性を引き出す難しさを実感する。ホールとしては、どうしてもベルリンのフィルハーモニー、そして完成間近のハンブルグフィルハーモニーを連想させられた。

 夜、部屋でゆっくりドローイングに手を入れる。

 『今、ここからすべての場所へ』(茂木健一郎、筑摩書房、2009)を読み終わる。雑誌の連載ということもあって短いエッセイを多彩なコンテンツで読ませる本だった。この人の本は久しぶりだったけど、教養の広さにいつも驚かされる。最近は、よくテレビにも出ているみたいだ。色んな意味で自由な感覚をもつことの大切さを知る。

10月16日(金)
 午前中、メールなどの雑務。午後から住宅Kのエスキースを進める。なかなかこれという切り口がみつからないけど、しっかりと考えてみたい。

 『世界は分けても分からない』(福岡伸一、講談社現代新書、2009)を読み終わる。普段知ることのない研究者の世界を実にスリリングに書いていてすごく面白かった。アミノ酸やタンパク質の実験を説明する道しるべにイームズの映像やカルパッチョの絵画、渡辺剛の写真を使うあたりが巧みで面白い。『動的平衡』でも我々が教えられたのは「この世界のあらゆる要素は、互いに連関し、すべてが一対多の関係で繋がり合っている。つまり世界に部分はない。(中略)そこには輪郭線もボーダーも存在しない」ということであり、この示唆に富んだ文章に深く共感する。

 夕方、渋谷で打ち合わせを一本済ませて、白井版画工房に行く。先週できなかった小作のアクアチント作業に没頭する。今日は更に版画に新しい色を使うアイデアが生まれ、早速次回、色を使って試し刷りをすることになった。

 深夜、目黒川沿いを走って、最後に東京で一番急勾配だという「行人坂」をダッシュして登る。びっくりするくらい息が切れた。

10月15日(木)
 昨年、ベルリンより帰国し独立してから一年が経った。あっという間。まだまだこれからやりたいこと、やらなければならないことが山ほどあるが、とにかく一歩一歩前に進んでいきたい。沢山の方々の支えもありここまでやってこられたので、感謝の気持ちを忘れずに精進したい。

 今日は、兼ねてから行ってみたかった横須賀美術館まで羽を伸ばす。『パウル・クレー/東洋への夢』展を観る。ベルンにあるレンゾ・ピアノ設計のクレー・センターに行ったのはいつだったか。クレーらしい油彩はなく、エスキースや小さなエッチング作品を中心に北斎の浮世絵など東洋との共通項をテーマにした展示をゆっくり楽しむ。クレーの独特な線は、北斎漫画の精密さとは別次元にある動きや雰囲気らしきを捉えたもので、自身のスケッチを丹念にスクラップして整理してあるさまに引き込まれた。僕が生まれた丁度一世紀前にクレーは生まれ、4歳の時に描いたドローイングの精度に驚く。

 横須賀美術館は、とてもクリーンな建築でガラスボックスに覆われた白い鉄の箱は、物質としての重さを感じないもので、壁や天井が曲げられて角がないということにデザインの神経が集中していて単純なアイデアを実現する難しさと面白さの両面を感じさせる建築であった。なので、展示空間よりもガラスと鉄の箱に挟まれた空間や青くて気持ちの良い遠景の海に目を奪われた。また面白い企画展があればぜひ訪れたい。

 行き帰りの電車の車窓から見える日本の風景にいろいろな創作意欲を掻き立てられた。日本の風景には独特なスケールと密度の過剰なバランスがあり、考えさせられた。何がこの風景を生み出しているのかと。

 夜、北山創造研究所のエナジーリンクで照明デザイナーの石井リーサ明里さんの話を聞く。パリと東京を拠点に活躍し、自身の作品を中心に多岐に渡るプロジェクトを通して照明の持つ可能性を感じた。

 深夜、この一年を振り返り、新しくチャレンジしたいことなど、これからの動きについてあれこれと考える。時間がかかるかもしれないが、信念をもって実現に向けて頑張りたい。

yokosuka yokosuka

10月14日(水)
 午前中、イタリアの建築雑誌に掲載予定のドローイングの資料を整理する。ベルリンで発表した「Connected Borders」と昨年描いたシリーズの中から四点ずつを選んで送信。グライター先生の責任編集なので、仕上がりが今から楽しみ。

 午後、住宅Kのコンセプトをブレストしてスケッチ。ドローイングに着色も進める。いよいよ最終コーナーと言ったところまでくる。

 夜、全日本サッカーの対トーゴ戦の快勝に誘われて目黒川沿いを走る。いつものラップを三周、徐々にペースアップしていくトレーニング。思いのほかきつかった。

 深夜、読書もほどほどにやはり、ドローイングに手を加える。BGMは、バッハのゴールドベルク変奏曲。そして、初めて着色作業を試みたドローイングが完成。この瞬間は、いつも気分が高揚する。紙の上で線の密度や色のバランスが整った時に完成を教えてくれる。サインをして終了。

10月13日(火)
 午前中、メールなどの雑務にデスクワーク。窓からは気持ちのよい秋風。午後、ドローイングに着色作業と読書。展覧会の企画書のメモをはじめる。そろそろ描きためた作品群の発表について具体的に動き出したい。質と量を充実させねば。

 夜、住宅Kについてのスケッチを進める。まだ突破口が見えないがじっくりと考えていかないと。気分を変えて、目黒川沿いを半時間ほどランニング。大きなガマガエルに遭遇した。

 深夜もまたドローイングに向かう。珍しく無音で静寂の中、丹念に色を重ねていく。ここまでの出来に満足し、確かな手応えで描き進めていく。完成間近。

10月12日(月)
 「体育の日」連日の秋晴れ。午前中、メールなどの雑務。

 『単純な脳、複雑な「私」』(池谷裕二、朝日出版社、2009)を読み終わる。『海馬』も面白かったがこっちは、自身の母校に行って特別連続講義を本にしたものですごく新鮮な勉強になった。脳の意外に単純な側面やいい加減な部分を論理的に説明しながら難しい問題に分かり易い道筋を示してくれる。「生命の柔らかさは、「構造」から「機能」が生まれるだけに留まらず、逆に「機能する」ことによって、「構造を書き換える」ことにもなる」という文章には目から鱗が出た。

 午後、住宅Kについてあれこれ考えをまとめて、スケッチする。夕方、初めて駒沢公園に行って、ジョギングコースを五周ほど走る久しぶりのロングラン。往復の自転車も含めて二時間以上の運動で気持ちのいい汗をかいた。夜、暗くなって又ドローイング作業。スタン・ゲッツのサックスを聴きながら着色していく。これだけの集中力を維持できたら今週中に完成するだろうから頑張ってみたい。

 『ゼロ年代想像力』(宇野常寛、早川書房、2008)を読み終わる。自分と同世代の著者が東/宮台に続く批評家として「引きこもり」の90年代から2000年頃を境に変化した「ゼロ年代」の想像力を小説、映画、マンガ、ドラマなどの物語を中心に論じていて、知らない作品もたくさんあったが頭を整理する良い機会になった。

 深夜、『クワイエットルームにようこそ』(監督:松尾スズキ、2007)を観る。精神病棟にいる社会的弱者の絶望を描くことで特殊な日常と正常な日常とは実は紙一重であることを伝えようとしているのではないだろうか。多様な価値観を提示する中に自分なりの物差しをみつける努力の大切さを主役の明日香は発見していく。しかし、松尾スズキのつくりあげるキャラクターの世界観はユーモアがあって絶妙。

10月11日(日)
 先週は雨の多い一週間だったけど、日曜日は雲一つない気持ちよい快晴。秋晴れということもあって自転車で銀座を通ってお台場までサイクリング。夢の大橋にてレッドブル・ボックスカーレースを見に行く。70組の参加者はそれぞれに個性あふれるボックスカーを制作して、緩やかな勾配の橋を走っていた。

 夕方、事務所に戻ってやはりドローイングを続ける。線を描き足したり、色を着色したりの作業の連続。キース・ジャレットの『メロディー・アット・ナイト』をループで聴きながら。

 深夜、『空間の響き/響きの空間』(アトリエ・ワン、INAX出版、2009)を読み終わる。とてもシンプルで短いエッセイ集だが、深い思考に支えられていて、建築と遠い存在のような言葉をテーマに選択しているところに独特な空気感と存在感を持った本である。また再読してみたい。

10月10日(土)
 午前中、自然光の中ドローイングに着色作業を続ける。モノトーンな線画とは違った表情を持ちはじめて、時間を忘れて没頭する。いつもとは違う感覚が刺激されているのを実感する。

 夕方、キンモクセイの香りが漂う目黒川沿いをゆっくり一時間ほど走る。しかし、まだまだ思い通りに走れない。もっと頑張らねば。夜、銅版画を買ってくれたお施主さんに引き渡し。えらく喜んでくれて早速リビングルームに飾ってくれていた。一緒に食事をして近況報告。

 深夜、『ジェリー・フィッシュ』(監督:エトガー・ケレット, シーラ・ゲフェン、2007)を観る。映像が小さなフレームで断片的に撮られていて、物語もまた小さな断片の連続が繋がっていく様子が見事な映画。ポエティックですごく面白かった。カップルの監督と脚本が男女の感性をバランス良く、独特な複雑さを生み出すのだろう。次回作が楽しみだ。

10月9日(金)
 久しぶりの太陽に誘われて早起き。午前中、メールなどの雑務。続けて、事務所のフォリオ制作。午後まで作業をして、大方のプロジェクトを整理する。夕方、明治通りをひたすら北上して新宿世界堂へ。ドローイングの着色用のマーカーを購入。油性、水性、ペン先の太さなどを熟考してファバー・カステルのペンに決める。

 白井版画工房にて銅版の試し刷り。アクアチント作業はできず。夜、恵比寿にて展示をしているベルリン在住の画家、星智の新作を観ながら乾杯する。およそ一年ぶりの再会だが、ベルリンのバーでサッカー観ながらビールを飲んでいたのを思い出す。

 深夜、早速製作中のドローイングにペンで着色作業を始める。線画ばかり描いてきたので、色はまた新しい挑戦。楽しみながら進めたい。スタンゲッツのサックスも手伝って朝方まで着色していた。

10月8日(木)
 台風18号の強風で起こされる。流れるようにして猛スピードで動く雲は、静止した雲を見慣れた目には驚異的。雨も降ったりやんだりで、絶え間なくびゅんびゅん風が吹く。午前中、メールなどの雑務をしてから事務所のフォリオの制作を続ける。午後も続けて作業。打ち合わせを二本。台風がすべてを吹き飛ばしてくれたのか、過ぎ去った後の空はえらく澄んでいて美しかった。

 夜、ほうれん草のカレーをつくって食す。深夜「色」をテーマにしたドローイングに手を加える。いよいよ線としてのフレームは見えてきたので、数日以内には着色スタートできるだろう。

10月7日(水)
 午前中、バックアップのデータを整理して、事務所のフォリオ制作を進める。午後もプロジェクトごとにレイアウトを進めてまとめる。住宅Kのスケッチをする。ゆっくりと構想を練っていく。

 夜、銅版画を買ってくれたお施主さんに引き渡し。正方形のフレームに入った作品を気に入ってくれて、こっちも嬉しい。話していて、新しいドローイングのアイデアの提案があったので、少しあたためて、時間が出来たらぜひ取り組んでみたい。

 深夜、雨は更に強くなり、ジョギングはキャンセル。大人しく読書する。

10月6日(火)
 連日の雨模様ですっかり大地も冷えてしまい、早くも冬の予感。まだ10月だというのに。「スポーツの秋」から「読書の秋」に方向転換か。

 ずっとやってみたかった「色」をテーマにしたドローイングを描き始める。こうしたグレーな天気は、何かをつくるにはもってこいの気分を引き出してくれる。食事もそうめんを茹でて食べた以外は、終始ペンを紙の上で走らせた。ぐんぐん線が広がっていって、画面を愉快に覆う。時折本を読んでは、またドローイングを描き進めることの連続で一日が終わる。このペースでいけば、早急に着色用のペンを手に入れなければならない。

10月5日(月)
 午前中、尾山台村計画の屋根を模型でチェック。もう少しスケッチをして展開を試してみよう。午後、住宅Kのコンセプトをあれこれ考える。『空間の響き/響きの空間』(アトリエ・ワン、INAX出版、2009)を読み始める。建築観を拡張する子気味良い文章が続き、良質な宿題を与えられたみたいで読みながらノートにメモして思考する。

 夕方、見積もりを出していたPCが復旧するのは難しいとの連絡があり、修理しないで新しいデスクトップを買うことにした。ただ、応急処置でデータは、無事なので再度バックアップを取り直す。

 夜、写真家の友人と会って近況を話す。ベルリンでやったプロジェクトに参加させてもらってからの仲間、新作についてあれこれ話を聞く。分野は違えで何かを作り出すことに対する姿勢で多くを共有するので話していて楽しい。

 深夜、雨の中、ロングラン。週末走れなかった分、ゆっくりと長く走ることを意識して雨と汗にまみれる。

10月4日(日)
 午前中、『<象徴
形式>としての遠近法』(エルウ゛ィン・パノフスキー、ちくま文庫、2009)を一気に読み通す。注の多い本なので、えらく読みにくいが内容はくしゃくしゃの紐をほどいていくように複雑なことを丁寧に説明していて興味深い。

 昼、東京大学難波研究室へ。公開読書会に参加。10人程の大学院生が難波先生を囲んで『<象徴形式>としての遠近法』について議論していた。深く読み込むことによってパノフスキーの世界観が遠近法の成立の歴史を通して見えてくること。カントやニーチェの思想との関係性や遠近法ということで写真の話にも展開した。しかし、現代の我々がそこからモノを視る視点の自由を獲得しなければならないということを強く感じた。難波先生は、「東大生は、沢山の正確な色眼鏡を身につけてほしい」という人生論まで語っていた。石山研究室時代のこうした勉強会を思い出しながら、難波研究室の大学院生になった気分で刺激になった。しかし、当然のことだが先生も違えば早大生と東大生の違いも大いにあるのだろう。ぜひまた参加したい。次は、ストロースの『野生の思考』。

 夕方、『空気人形』(監督:是枝裕和、2009)を観る。心をもってしまった空気人形ノゾミの話。性の欲望のはけ口としてこの世に誕生した彼女が心をもつことによって人形から人間へと成長する。死の象徴としての空き瓶や生の象徴としてのリンゴが沢山ある中でノゾミは夢の中で名前をなくす。心をもつことの複雑さをうまく映画にした傑作。『誰も知らない』同様、すごく音楽が効果的に映像との相乗効果を生んでいた。思わず見終わってから月の光に照らされる自分の影に見入ってしまう。

 夜、BSハイビジョンで録画しておいた『カフェ・ミュラー』を観る。今は亡きピナ・バウシュの代表作の一つ。40分程の作品だが、三年前にブリュッセルで実際に観て以来だが、映像を通しても伝わる絶対的強度が彼女の作品にはあった。『空気人形』を観たばかりというのもあってか、心をもった人間は皆苦悩し、絶望する中で互いに欠落したものを補い合う関係を求めて反復し、生きていくことを教えてくれる。ただ、どうしてもカメラの映像ということで当然与えられた視点なので、いささか全体像や空間のバランスを感じることは難しかった。

10月3日(土)
 午前中、フォリオのアップデート作業を進める。いろいろとやっていることをまとめていきたい。没頭していたら昼を裕に過ぎてしまった。

 午後、青山で打ち合わせを一本。続けて六本木で銅版画を買ってくれたお施主さんに引き渡し。すごく喜んでくれてので、これからこの作品がしっかりと新しい環境で呼吸して一緒に成長していけるものになってほしい。夜、恵比寿で打ち合わせ。

 久しぶりに「プロジェクト30」の「しおり」が届く。ベルリンでの同僚は、単色でセンス良く塗ってくれた。同封されてあった手紙には、先日、婚約したことが書かれていて、来春ストックホルムの結婚式に招待された。同じプロジェクトで仕事もしたし、自転車で五分のところに住んでいたので良く一緒に飲んで語った大切な友人の結婚式には参加したい。

10月2日(金)
 朝から雨模様。午前中は、バックアップデータの整理。マックの環境もやっと整ってきた。修理に出してるPCの見積もりはまだ出ない。果たして復旧するのだろうか。

 午後、尾山台村増築計画の屋根をスタディ。続けて、住宅Kについてコンセプトを整理する。来週から本格的に取り組んでいこう。夕方、近所の本屋まで散歩。文庫本や新書を三冊程購入。『ゼロ年代の想像力』を読み進める。読んだことない小説やマンガ、見たこともないドラマや映画も沢山出てくるが、実に説得力のある文章が続く。

 夜、秋刀魚を焼いて食す。新しいドローイングは、「色」をテーマにしてみようと考える。深夜、雨も止み、強風の中、目黒川沿いを45分程走る。2016年のオリンピックは、リオデジャネイロに決定。東京は、二次投票で落選。ついに南米にワールドカップとオリンピックが開催される。東京の「コンパクトでエコロジック」というコンセプトは、「南米大陸初」という可能性には勝てなかった。やはり、「21世紀型の五輪」を打ち出した福岡の「博多湾モデル」の戦いを見てみたかった。

10月1日(木)
 午前中、ホームページのアップデートの整理を続ける。マックでもDWがしっかりと動くようになったので一安心。午後、写真家をテーマにしたドローイングと文章のアイデアを練る。それから練馬にあるドガ・カードルにて額装されたドローイングと銅版画を受け取りにいく。納得のいく出来ばえ。コミッションしてくれた友人もきっと喜んでくれるだろう。来週の引き渡しが今から楽しみだ。早速、新しいドローイングの構想をあれこれと考える。

 往復の電車で『ゼロ年代の想像力』を読み進める。夜は、DVDで『真珠の耳飾りの少女』(監督:ピーター・ウェーバー、2003)を観る。フェルメールの絵画の特徴である光を良く表した映像が美しい映画であった。謎の多い画家として有名だが、ミステリアスなだけに脚本家や映画監督の想像力を掻き立てる魅力をフェルメールの同名の絵画は持っている。またオランダに行ってみたくなった。

 深夜、連日のランニング。いよいよ河口湖マラソンまで二ヶ月を切ったのでトレーニングのペースアップを計って頑張りたい。雲の隙間から時折姿を見せる、下側が欠けた月が実に美しかった。もうすぐ旧暦の中秋の名月だ。

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