ARCHIVE

『EVERYDAY NOTES』

●2009年1月

●2008年12月

●2008年11月

『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2009 febuary

2月28日(土)
 午前中、弟からの頼まれ事で原宿まで行く。『14歳からの社会学』(宮台真司、世界文化社、2008)を一気に読み終える。すごく優しい口調でテンポ良く論を進めていて読みやすかった。「試行錯誤」して他者からの「承認」を得て、自分の「尊厳」をも得るというサイクルは生きていく上で当然の前提であることを再確認。日頃の生活では、その構造が見失われることがあるのではないか。新しいことの発見というより自分の頭を整理するのには、大人にとっても良著である。もちろん、14歳の人にとってもきっといい教材である。

 午後、スペイン・ドローイングの「取扱説明書」とでもいえる資料をクライアント夫妻のために準備する。来週、額装できたら早速引渡しだ。早いもので明日からもう3月だ。

2月27日(金)
 午前中、雪が降る東京を窓越しに見ながら、銅板を彫り続ける。銅板に向かっている時間は、色んなことを忘れる無の時間。午後、尾山台村増築計画のスケッチを進める。夕方、白井版画工房にてアクアチント作業と試し刷り。小作がまた完成した。このペースで銅版画をコンスタントに製作したい。夜の都市の風景に対するフェティシズムだろうか。

 『異端者の快楽』(見城徹、太田出版、2008)を読み終える。前著、『編集者という病い』を読んだ時の衝撃に比べたら、どうしても重複しているところが多かったけど、やはり見城氏のエネルギーは凄まじいし、いつか自分をぶつけてみたいという衝動にかられる。一つ一つの言葉が重くて説得力がある。こんな編集者と仕事ができる作家さんは、さぞ幸せだろうと思う。

2月26日(木)
 午前中、近所の本屋でいろいろと物色。昼、尾山台村増築計画のスケッチをする。何か新しいことができないか考える。気分転換に銅板に向かう。集中していたら夜になる。

 思いついたようにDVDで『カミーユ・クローデル』(監督:ブリュノ・ニュイッテン、1988)を観る。ロダンとカミーユという二人の男女が、天才芸術家(彫刻家)が自身のエゴとエゴをぶつけ合う様を丁寧に描いていて面白かった。ふと、イサムノグチの処女作の女性像を思い出す。しかし、彫刻家の手は実にエロティックである。

 深夜、小雨のなか半時間ほどジョギングをする。腕立て伏せをして寝る。

2月25日(水)
 午前中、メールなどの雑務。昼、コンペ落選の連絡。自信をもって提案したアイディアは実現されることはなくなった。誠に悔しいが、やることはやったので先に進むしかない。この経験をしっかりと受け止めて、反省し、奮起したい。窓からはぶ厚い雲がみえ、雨が降り続けている。

 午後、練馬にあるドガ・カードルにてコミッションされたスペイン・ドローイングをやっと額装する。プロの職人さんと話しながら絵に合ったフレームを選ぶ。来週の完成が楽しみだ。

 夜、渋谷で映画『チェ・39歳別れの手紙』(監督:スティーブン・ソダーバーグ、2009)を観る。やはり、デル・トロの熱演に観入り、革命家としてのチェの生き様に感動する。自分に対して真面目に生きる。生きることの意味を深く考えさせられた。お客さんに女性が多かったのは何故だろうか。また、最後のエンドロールに音楽をのせないでサイレントだったことは、すごく効果的で観終わった大作映画に対してそれぞれが何かを考える良い時間であった。

 深夜、無心で銅板に向かって線を彫り続ける。チャンピオンズリーグ、インテル×マンチェスターのサッカーを観ながら寝る。世界最高峰のサッカーは、眠気を飛ばす。

2月24日(火)
 結局ただの一睡もしないで終始コンペ・プレゼンテーションの資料をつくる。気持ちも途切れないで集中して作業。真っ黒い空がだんだんと光を浴びて、フレッシュな気分で新しい一日を感じる。昼前、納得のいく資料が完成してプリントアウト。ランチは、ラスチカスでパスタ。プレゼン前の緊張をほぐして、いざ本番。クライアントの前でしっかりとデザインコンセプトを伝える。質疑応答も含めて充実した一時間であった。

 帰宅して、倒れこむように寝る。夜、起床。机の上をしっかりと整理して、頭の中を無にして銅板に向かって線を彫っていく。夜に彫る夜の都市の風景。幻想都市。これの意味することは。

 深夜、なまった体をランニングでいじめる。その後、『異端者の快楽』を読み進めて、再度寝る。アルゲリッチのピアノを聴きながら。

2月23日(月)
 朝まで作業を進めて、少し寝る。今日も一日ひたすらコンペ作業。外は雨のようだが、一歩も外に出ない一日だった。明日のプレゼンテーションの資料ができてくる。仕上げとブラッシュ・アップの作業の連続。やることはいくらでもある。

 途中、豚肉とレンコンをテリヤキ風に炒めて食べる以外は、夜もひたすら作業。深夜、ブラジルの歌姫、Vanessa da Mata を聴きながらコンペ作業。今日も夜を徹しての作業になる。この二週間、すごく充実したしやりきったので最後まで手を抜かずに明日のプレゼンも頑張りたい。

2月22日(日)
 午前中、コンペの作業。天気が良く気持ちいい日差しだったので近所をカメラ片手に散策。写真散歩。冬の光は鋭くコントラストの強い影を落とす。気分もリフレッシュして、さらにコンペ作業、いよいよ佳境。

 途中、ブリを焼いて食べる以外は、ひたすらコンペ作業をしていた。深夜、キース・ジャレットの『Melody at night』を聴きながら夜を徹して集中する。2月も残すところあと一週間。

2月21日(土)
 午前中、コンペの作業。気分転換に目黒川沿いをランニングする。もっとコンスタントに走って、体を絞らないとな。続けてコンペ作業。

 夜は、渋谷へ。友人でシンガーのNaomi Yoshimuraのライブイベントへ。クラブで肌に響くビートを感じて音楽の力、ライブの力を久しぶりに体感して感動する。本人の誕生日ということもあって打ち上げに参加させてもらい一緒に祝う。ハッピーな人のまわりには沢山のハッピーの人たちが集まって心地よい時間を過ごす。

 深夜、コンペの作業を引き続き進める。BGMは、セロニアス・モンクのピアノ。

2月20日(金)
 午前中、雨で薄暗い事務所をジャック・ジョンソンの音楽で盛り上げていく。終始コンペ作業。いよいよプレゼンテーションを視野に入れてアイディアを整理していく。夜、ブロッコリーの入った野菜スープをつくって食べる以外は、ひたすらコンペ作業をしていた。ラストスパートに向けて助走をとっているといったところか。

2月19日(木)
 午前中、コンペの作業を進める。少しずつまとまってきた。午後、青山で打ち合わせを一本。その後、リサーチをして帰宅。夜、友人デザイナーが手がけたプロダクト『かなでるき』の写真撮影。信頼できる人から頼まれたら断らない主義。できることは何でもやる。

 深夜、ブレンデルのベートーベンを聴きながらコンペのスケッチを続ける。読書して寝る。

2月18日(水)
 午前中、メールやら電話の雑務。冬の青空が広がっていて気持ちよくコンペのスケッチを進める。そろそろアイディアを固めていかなくては。午後も終始作業、気分転換に読書。

 『若き詩人への手紙・若き女性への手紙』(リルケ、新潮社、1953)を読み終わる。友人との会話でふと名前が上がり、急に読みたくなって買ったリルケの本。すごくずっしりと重い言葉がたくさんあった。書簡の中で「自らの内へおはいりなさい。あなたが書かずにいられない根拠を深く探って下さい。」といって詩人が向き合わなければならない自己の孤独に対して語っている。更に「ほとんどすべての真面目なものは苦しいのです。そしてすべては真面目なのです。」というくだりが印象的だった。

 夜、大学時代の友人より大きなライト・テーブルを譲り受けるためさいたまへ。立派なテーブルであり、ライトが内蔵されているのでトレペ作業が多い僕にとって重宝しそうだ。事務所のレイアウトも変わり、どんどん環境が整ってくる。さあ、頑張ろう。

2月17日(火)
 午前中、コンペの作業。すごく気持ちのいい日差しが差し込んでスケッチも進む。

 夕方、台場にあるGallery21にて鈴木ゆりあ写真展『Traffical Zone』のオープニングに行く。すごく独特な感性で都市の風景を切り取る静かでありながら物語を語りかけてくるかっこいい写真群であった。ご本人もしっかりと自分の作品に対して自分の言葉をみつけて話していたのが印象的だった。これからが本当に楽しみだ。すごく新鮮なよい刺激になった。3月29日までやっているのでぜひ足を運んでもらいたい。

 しかし、久しぶりにお台場に行ったけど何だかすごく人工的で街としてすごく不思議な手触りをしていた。彼女の写真を見た後だからか、東京の風景がまた少し違って見えた。良いものは形を変えて伝わっていく。都市について、しっかりと考えたい。

2月16日(月)
 午前中、メールなどの雑務。コンペの作業を進める。まだ突破口がみつけきれていない感じだが、新しいものをつくりたい。午後、健康診断に行く。慣れない病院という空間に四苦八苦。血液、レントゲン、心電図すべて問題なし。しっかりと運動をしよう。

 『雪ひらく』(小池真理子、文春文庫、2007)を読み終わる。どの作品にも「男と女の叶わぬ夢」が描かれているのだけれども、何故か共感するというか、型にはまらない自由な状態にこそ強くひきつけられるのだろうか、などと考えさせられる。このマイノリティーな感覚にこそ作者の孤独とエネルギーの強度が宿っているのだろう。続けて、『異端者の快楽』(見城徹、太田出版、2008)を読み始める。

 夜、NHK『沸騰都市』最終回、東京を観る。というか、観入る。今、自分が住んでいる都市がこういうものなのかという客観的な視点を住んでいる我々は意外とちゃんと持っていないということを再確認する。何だか勝手にやる気がみなぎってきた。良い番組だった。深夜、キース・ジャレットの新譜を聴きながらコンペのスケッチを描き続ける。

2月15日(日)
 午前中、コンペの作業と読書。あっという間に又一週間が過ぎた。というか、もう2月も折り返し。本当に日々のスピードにただ驚くばかり。

 『ふたりの季節』(小池真理子、幻冬舎、2008)を読み終わる。すごく爽やかな空気が濃密な時間としてあらわれていて、読んでいて行間に潜む多くの物語を想像させてもらった。何より「一週間で書き上げた」というあとがきの文章を読んでこの作品に凝縮されたエネルギーを感じた。続けて『雪ひらく』(小池真理子、文春文庫、2007)を読み始める。

 夜、NHK『沸騰都市』でシンガポールを観る。行ったことがないので実感としては分からないけど、何かすごくドライな現代性を感じた上に、少し前に観たドバイの時と似た成長が猛スピード故の危うさも感じた。明日は、最終回で「東京」らしい。観てみよう。都市について考えるいい機会にしたい。

2月14日(土)
 午前中、ゆっくりして掃除、洗濯。何だか本当に春一番はもう冬をどこかに吹き飛ばしちゃったのだろうか、すごく暖かい一日。びっくりして梅も桜も咲いちゃいそうだ。

 午後、コンペ作業、いろいろと試してみる。新しい仕事なので挑戦的なデザインをしたい。新しいことを考える難しさに壁を感じつつも乗り越えなければならない。頑張ろう。夜は、スペイン・ドローイングのクライアント夫妻とその友人たちと食事。極上の焼肉を食べて栄養をつける。みんな楽しい人たちで話がどんどん広がっていく。やはり、類は友を呼ぶのか、幼馴染の友人が結婚したパートナーも、会社の同僚もすごく気持ちのいい波長を出す人たちだった。同世代の我々が元気を出さないとね。

 深夜、『生き方の原則』(デヴィット・ソロー、文遊社、2007)を読み始める。また読んでいる本が増えてきて収拾がつかなくなってきた。しっかりと読みきっていこう。

2月13日(金)
 午前中、コンペのエスキース。昼も続けて作業。午後、コンペのためのリサーチで渋谷へ。自転車が吹き飛ばされそうな風だったら、案の上、春一番だった。もう吹いちゃったの感。今年は僕にとって5年ぶりの日本の冬だったけど結局本格的に寒くならなかったな。極寒のベルリンに比べたらんまるでずっと秋。

 夕方、白井版画工房にて昨日、彫りたての小作を試し刷り。いつになく充実した時間が流れる。そのまま夜は兄貴宅にて甥と姪をベビーシッター。といっても二人はすぐに寝たので楽ちん。二人の寝顔を見ているだけで幸せな気分になる。深夜、帰宅途中もまだ春一番が吹いていて、これまた吹っ飛ばされそうになる。

2月12日(木)
 午前中、電話や雑務に追われる。午後からコンペのエスキース。楽しみながらの作業を心がける。夕方、気分転換に銅板に向かう。ここ数日、集中的に進めたので無事小作が完成。明日、試し刷りをしよう。

 夜、SONY WORLD PHOTOGRAPHY AWARDのAcademyメンバーであり、キュレーターの太田菜穂子さんの誕生日パーティーに呼ばれて行く。メンバーは、作家の小池真理子さんやコピーライターの方など皆さん「自分の言葉をもった」方々ばかりで話が多方面に弾む。素敵な料理に美味しいお酒もあり、笑顔の絶えない集まりだった。こうした魅力的な人とのつながりを大切にしたいし、受けた刺激を持続させて僕もしっかり頑張りたい。早速、帰り際にABC本屋で小池さんの本を数冊ばかり購入し、自転車で帰宅。

 深夜、『ふたりの季節』(小池真理子、幻冬舎、2008)を読みながら寝る。何だか久しぶりの小説だ。この前ちょこっと再読した安部公房以来かな。

2月11日(水)
 午前中、メールなどの雑務。午後からコンペのエスキース。いろいろとアイディアを出して検討する。夕方、銅版に向かって線を彫っていく。昨日の続きで全体のバランスが整ってきた。これくらいのペースで銅版画をするのが今のところちょうどいい。

 夜、ワールドカップ・アジア予選日本対オーストラリを観る。ドローで終わったが前半はなかなか面白いサッカーをしていた。特に松井のフィジカルと動きのセンスに見入った。しかし、ホームで点が取れないと苦しいね。深夜、ジョギングに行くも半時間じゃ汗もかかないくらい寒かった。読書して寝る。

2月10日(火)
 午前中、NIDショップの家具追加見積もり。昼から昨日のコンペの現場内覧会。実際の空間を見るとボリュームとして感じられるのでイメージがたくさんわいてくる。楽しみな仕事になりそうだから頑張りたい。午後、代官山と中目黒を散策し、カフェでコンペのエスキース。

 夜、銅版に向かって針を進める。最近、スペイン・ドローイングをペンで集中的に描いていたのでまた違った感覚を楽しんで彫っていたら深夜になっていた。真ん丸い満月が見えていた。腕立て伏せをして寝る。

2月9日(月)
 午前中、原宿にてコンペ説明会に参加。また同世代のクライアントの方と面白い仕事ができそうでワクワクする。昼はオープンしたばかりのNIDショップに顔を出す。なんと僕の友人がオープニングで洋服を気に入ってくれて、また見に来てくれていた。しかも独特でスタイリッシュな洋服を購入していて何だか嬉しくなる。DUNE社長らとランチ。今回の仕事を喜んでくれていて、これからが楽しみだ。プレスも期待したい。

 午後、ラスチカス・カフェで早速コンペのエスキース。学生時代にスペース「共存」でよく友人がイベントを企画していたのを思い出して行く。リニューアルされていた。帰り際、カウンターで友人とばったり会う。若い世代で独立した者同士頑張っていきたい。彼もいつか一緒に仕事がしたい仲間。こういう輪を一番大切にしたい。

 夜、スペイン・ドローイングを完成させる。友人からのコミッション・ワーク。初めての試みだったけどすごく新しい発見がたくさんあった。友人夫妻のリビング・ルームの壁にかかるのを早く見てみたい。こういうドローイングの仕事もどんどんやっていこうと思う。今週中に額装したい。

2月8日(日)
 午前中、天気がいいので散歩して本屋へ。昨年レヴィ=ストロースが100歳になったので書店には特設コーナーがあり『サンタクロースの秘密』(レヴィ=ストロース/中沢新一、せりか書房、1995)を買う。

 午後、スペイン・ドローイングを描く。ガウディーのカサミラの屋上煙突スケッチを得る。もうすぐ地平線が完成する。『サンタクロースの秘密』を読み終わる。「ある習俗が輸入されるとき、それに隣接している環境の中で、潜在的な状態のまま眠っていた、それと良く似た習俗の出現を引き起こしてくる」という考察が氏の民俗学者としての視点の深さを実感する。本としても中沢新一による『幸福の贈与』が長いあとがきとして機能していて分かりやすかった。

 夜、先週観た『パリ』に続き、パリの雰囲気が見たくなって『ビフォアー・サンライズ』(監督:リチャード・リンクレイター、1995)を高校生のとき以来DVDで見る。フランス人とアメリカ人の恋物語だが、舞台はウィーンだった。ほとんどすべてを忘れていたので新鮮に楽しめたが今の僕と高校時代の僕とでは大いに感じ方が違っただろうという側面でも楽しめた。良質な二人芝居といったところか。

2月7日(土)
 午前中、ゆっくりする。もう気がついたら週末だ。時間のスピードに全く驚くばかり。天気も良くて気持ちのいい空が続いている。洗濯日和。

 午後、スペイン・ドローイングを進める。マドリード近郊にあるエル・エスコリアールを完成させる。こうして昔のスケッチを丹念に描きなおしていると、学生時代の記憶が不思議と鮮明によみがえってくる。誇りっぽいスペインの空気とボロボロになった赤いリュックサックがリアルな感覚として戻ってくる。

 夜、目黒川沿いをランニング。小一時間汗をかく。まずは週に二回は走るようにしよう。しかし、マラソンという実際の目標がないとなかなか腰が上がらないな。読書して寝る。

2月6日(金)
 午前中、メールで昨日のオープニングに来ていただいた方々にお礼の連絡。しかし、たくさんの方々がそれぞれ雑多にショップの中を歩いては、人と話す。ある種の無目的な感覚で新しい人とつながっていく。このみんなが楽しくワイワイしている感じが何だかベルリンでの集まりの感覚に類似していると感じて懐かしい気持ちになった。

 午後、久しぶりにスペイン・ドローイングを進めていく。ミラーレスのマーケットとバレンシアにあるカルトラヴァのホールを描いていく。良い密度で描けている。このペースをしっかりとキープして完成させたい。

 夜、前から気になっていた映画、『アフター・ウェディング』(監督:スザンネ・ビア、2006)をDVDで観る。すごく丁寧に個々人の心情をテンポよく描いていて心を動かされた良作。デンマークということでやはりラース・フォン・トリアーを思わせる人間のディープな部分をえぐり出すようにドグマ・スタイルの変容が見られてすごく面白かった。何より役者さんがみんなうまい。キャスティングも絶妙。ビア監督作品をこれから集中的に観たいと思う。新しい才能の発見。調べたら何と監督と僕の誕生日が一緒だった。

2月5日(木)
 午前中、クライアントの方からお勧めのCDが届く。『バッハ:無伴奏チェロ組曲(寺神戸亮)』の話が打ち合わせで出たのを思い出したとのこと。嬉しいサプライズ。早速、聴きながらコンペのスケッチを仕上げる。

 午後も電話とメールで最終チェックを進める。夕方、すべてのドローイングを仕上げて先輩建築家の事務所までデータを持っていく。プレゼンテーションのチェックを済ませて無事完成。そのままNIDショップのグランド・オープニング・パーティーへ行く。本当にたくさんの方に来て頂いた。この場を借りて感謝したい。ありがとうございました。友人、知人をはじめ、学生時代の後輩やクライアントの方々、クライアント候補の方まで大いに盛り上がる。前の道まで人があふれていた。これで一つの仕事が終わった。社長やスタッフ、来ていただいた人の笑顔がこれからのNIDの成功に繋がってほしい。

 深夜、友人たちと渋谷で飲む。ウィスキーも美味で、小さな達成感からか興奮していつになくよくしゃべった夜だった。

2月4日(水)
 午前中、スケッチ作業。打ち合わせで決まったことを考慮して描いていく。一枚、一枚仕上げていく。途中、電話で修正作業も平行して進める。気が付いたら夜になっていて、本当に一日中机に向かっていた。

 明日は、NIDショップのオープニング。何人かの友人から出席するとの連絡あり。何だかあっという間にこの日を迎えた感じだな。本当に楽しみだ。良い集まりにしたい。皆様ぜひ遊びに来てください。

 深夜、やっとこコンペのスケッチ仮完成。

2月3日(火)
 午前中、コンペのスケッチ作業を集中して進める。午後、東大へ。鈴木博之先生最終講義を聞く。難波先生がまず経歴を歴史的に丁寧に説明して、戦後生まれの68年紛争卒業という流れを踏まえて30年以上に及ぶ東京大学での多岐にわたる仕事を講義していただいた。会場は超満員。ロンドンの煙突や堀口捨己の玄関タイル、東京駅周辺の変化についてのお話が印象深かった。やはり、「無から有が生まれるわけではなく、有の解釈や変形が新しい有を生み、その時のエネルギーを大切にしてほしい」ということが偉大な歴史家としての建築家へのメッセージだと感じた。学生時代に佐賀のワークショップで聞いたレクチャー以来であったがあっという間の90分間だった。

 夕方、コンペの打ち合わせ。プレゼンテーションを作っていく。歩いて原宿NIDショップにてDUNE社長と現場の最終確認。家具も床もすべて完成し、満足してもらう。本当に同年代の彼には大きく刺激をもらう。これからも一緒に何かをやっていきたい。

 夜、終始コンペのスケッチを描き進める。今日は節分だったらしい。

2月2日(月)
 午前中、コンペの打ち合わせの準備。午後、先輩建築家の事務所にて打ち合わせ。全体のデザインとプレゼンテーションの方向性を話し合って決める。ぜひともいいものに仕上げていきたい。そのままNIDショップの現場へ。床塗装の確認と修復工事のチェック。明日、DUNE社長と最終確認をしたら、いよいよ木曜日にオープニングだ。

 夜、事務所でコンペのスケッチを続ける。打ち合わせで出てきた新しいアイディアを絵にしていく。ジャック・ジョンソンを聴いてテンションを上げたりする。近所の沖縄料理を食して、また深夜もスケッチを進める。気分良くペンを走らせる。

2月1日(日)
 午前中、久しぶりに太陽が出て気持ちの良い天気だったので掃除で一日をはじめる。部屋の掃除は、頭の整理と一緒で、何事もまずは綺麗にして作業を気持ちよく進めたい。同じ本でも読んでいる場所が違えば感想が違うように、綺麗な机と汚い机とではスケッチの内容も変わってくるはず。

 午後、洗濯物も干して、スペイン・ドローイングを描く。バルセロナのピカソ美術館の程近くにあるミラーレスのマーケットを完成させる。次は、バレンシア。この感じだと完成までそう遠くないだろう。急に思い立って『旅の話』(鶴見俊輔、長田弘、晶文社、1993)を再読する。コンペのスケッチも進める。ブレンデルのやさしいピアノを聴きながらペンを走らせる。深夜、気分転換にこれまた思い立ってジョギングに出る。寒かったけどいい汗をかく。

 

▲ go to top of the page

 


TOP