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『EVERYDAY NOTES』

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『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2010 june

6月30日(水)
 午前中、メールなどの雑務。午後、U邸の地盤調査を進めるにあたり、幾つかの調査会社にて見積もりを依頼する。電柱の移設についても少し調べる。ファックスや電話の対応に追われる。地番調査一つとっても、とにかく情報をしっかりと把握し、ものごとをスムーズに進めるための段取り等々、デザインとは関係ないようでむしろすごく大切であることを実感する。

 U邸の平面図の新しい展開を試しながらスケッチする。夜、「FIAT CAFE」にて展示していたドローイング作品の『Roses of City』の搬出に行く。それから久しぶりに「RESPEKT CAFE」に行く。少し前からここにも銅版画をさりげなく3カ所に展示してもらっている。店長の矢野さんも元気そうだった。

 深夜、品川にて大学時代の親友と合流し、彼の考えるプロジェクトに全面的に参加することになり現地の七里ケ浜に行ってお泊まり。友人宅にてウィスキーを飲みながら夜な夜なプロジェクトの計画を話し合う。まずは、内装設計として携わりながら、コアメンバーとしてもあれこれと提案して地域に根ざした新しいライフスタイルの発見に貢献したい。何歳になってもこうした新しいことに挑戦する気持ち、健全な野心らしきを共有できる仲間の存在に感謝する。頑張りたい。

6月29日(火)
 午前中、メールなどの雑務。昨日打ち合わせした歯科医院についてあれこれとスケッチ。まずは、コンセプトを整理したい。昼過ぎ、実家でステーキランチを食して電車と新幹線を乗り継いで東京へ。大きな模型も持って帰る。

 車中、『未来の住宅』(竹内昌義etc、バジリコ株式会社、2009)を読み終わる。カーボンニュートラルハウスの重要性を設備的側面のみならず、設計から読み解いていく。とにもかくにも「断熱性能」が何より大事との認識を教えられる。

 夕方、事務所にてU邸の模型を見ながらこれからの展開をスケッチする。夜、通訳やコンサルタントとして個人で働く友人と食事しながら色々と話し込む。そして、続々と他にも友人が合流し、日本対パラグアイの世紀の一戦を観戦。とにもかくにも「ありがとう、日本代表」と言いたい。結果は誠に残念だし、悔しいけど、選手の涙を見てウルウルと日本中のファンに感動を与えたはずだ。サッカーの面白さを子供たちに伝えることが出来ただろうし、また四年後にブラジルでベスト8、ベスト4と夢を勝ち取ろうではないか。本当にありがとう、そして、お疲れさまでした!

 興奮覚めやらず、寝られないので、続けてスペイン対ポルトガルのヨーロッパの西の端、辺境対決を観戦する。世界のサッカーのスピードと個人技に魅了される。日本は負けてしまったが、南アフリカ大会はまだ続く。楽しみたい。

6月28日(月)
 午前中、メールなどの雑務。新しい案件などについて電話も二本。午後、U邸の平面をスケッチ。週末の打ち合わせを考慮して新しい可能性を探っていく。

 『邪悪なものの鎮め方』(内田樹、バジリコ株式会社、2010)を読み終わる。これまた良く線を引いた。「知的パフォーマンスの向上というのは、「容器の中に詰め込むコンテンツを増やすこと」ではない(中略)容器の形態を変えることである(中略)問題なのは「情報」の増量ではなく、「情報化」プロセスの高度化なのである」また、「自分が何を探しているのかわからないときに自分が要るものを探し当てる能力。それが知的パフォーマンスの最高の様態である」という箇所が最も印象に残った。あとがきにはコミュニケーションについて「他人にいちばん伝えたいと思うのは、「自分が知っていること」ではなくて、自分が知り始めていて、まだ知り終わっていないこと」というのも深く共感した。

 夜、小学校時代の同級生と打ち合わせ。裏山で一緒に秘密基地を作っていたのは20年以上も前。共に30歳を超えたが、歯医者さんとして二年後の独立に向けて歯科医院の設計の相談を受ける。「いきいき」した空間で働きたいとのことであれこれとアイデアを話し合う。年末には本格的にデザインをはじめることを約束する。プロジェクトの始動が今から楽しみだ。

 深夜、オランダ対スロバキア戦を観る。ロッベンもいよいよフル稼働の様子でオランダもエンジン全開といったところか。次は、ブラジル。このカードの勝者もまた決勝に進むだろう。

6月27日(日)
 朝食においしいトーストを食して神戸まで行く。内田樹先生夫妻とU邸の打ち合わせ。二時間みっちりと細かいところから大きな屋根のデザイン方針まで話し合う。模型を見ながらあれこれと選択していき、新しい可能性について検討する。基本的な部分がまとまってきて気分も高揚する。

 午後、宝塚にある清荒神清澄寺を拝観。山間の自然に囲まれた伽藍が実に多様に存在して豊かな宗教体験を演出。完成したばかりの史料館はとても軽やかに瓦屋根を浮かせていた。四方がガラスで囲まれ、内部からの借景も外観の佇まいも共に見事に時間の移ろいを表現しているよう。何よりこの豊かな木々と水の流れ、音も含めて八百万の神を感じ、梅雨の蒸し暑い天気とは裏腹にすごく清らかな気持ちになる。

 夜、実家に戻ってのんびり過ごす。ベスト16とは思えない好カード、イングランド対ドイツを観る。ランパードの同点ゴールが誤審によって認められないという後味の悪い試合になったが、世代交代を成し遂げたドイツのカウンターにイングランドは翻弄されてしまった。次はアルゼンチン。このカードの勝者は、決勝まで行くだろう。

6月26日(土)
 朝からずっと雨、これぞ梅雨。昼、大学時代の親友の披露宴のために初めて太閤園に行く。素敵なお庭がある淀川邸の応接間にて披露宴。昨年、イタリアのマッジョーレ湖畔で挙げた結婚式の映像などもあり、家族の方々に包まれたとても幸せな宴。学生時代ぶりの懐かしい再会もあり、みんながハッピーな気分になるような時間であった。

 続けてドシャ降りの雨の中、模型を持参して御影の内田樹先生宅へ。甲南麻雀定例会に遅れて参戦。一半荘だけ打って負けるも、皆さんにできたての模型を見てもらうことができた。しかし、スジ引っ掛けの即を二連発で振り込むとは。

 深夜、韓国対ウルグアイの試合を観るも、これぞ決勝トーナメントの緊張感と難しさ。鉄壁の守りのウルグアイが韓国キーパーのワンミスを見事にゴールして、同点にされるもしっかり勝ち越した。韓国サッカーがもっと観たかったので残念。しかし思えば、ワールドカップも残すところたった15試合である。アジアのプライドとしても南米勢に一矢を報いたい。

6月25日(金)
 朝まで起きてサッカーを観ていたので、午前中はぐっすり寝てしまう。午後、U邸のプレゼンテーション準備を仕上げて出張の準備をする。夕方、新幹線で京都まで行って奈良まで帰ってくる。

 車中『「悪」と戦う』(高橋源一郎、河出書房新社、2010)を読み始めて、面白くて一気に引き込まれて読み終わる。日頃ツイッターで氏の示唆に富んだつぶやきを読みながら楽しませてもらっているが、小説はまた別世界だった。
 「こんなふうに、こんなふうにして、せかいは、いつも、まもられてきたのかもしれないね。だれもしらないところで、だれもしらないだれかが、たたかって、だから、いまも、せかいはある。」
 エピローグでもまた「世界は一つではなく、たくさん、いや、無数にあるのではないかと思いました」と言っているように、文学はこの「世界」のありかたを違った角度から光を当てる事で自分にしか見えないかもしれない皆のいる「世界」を描き出そうとするのだろう。まさに村上春樹の『1Q84(2010)』もその一つの世界だし、『アンダーグラウンド(1997)』のあとがきにも似たような内容が書いてあって二人の類似性について考える。しかし、父親になった事が無いけど、この本を読んで、すごく子育てすることが楽しみになった。きっと想像もつかないほど大変なんだろうが、深い幸福感が味わえるのだろう。

 夜、実家に帰って来てゆっくりする。ブラジル対ポルトガルを観戦。ラフプレー続出のスコアレスドロー。決勝トーナメントでの両チームの奮起に期待したい。カカなきブラジルは中盤が機能しない。

6月24日(木)
 午前中、メールなどの雑務。三つ目のモデルが完成する。午後、放射冷暖房のPS社と打ち合わせ。U邸の設備について資料をまとめてもらう。夕方、最終図面チェック。夜は、模型写真の整理と修正、プリントアウト。プレゼンテーションボードをどんどん仕上げていく。深夜、やっとすべての資料がまとまった。事務所の掃除をしながら日本対デンマーク戦に向けてテンションを上げていく。

 イタリアがスロバキアに負けてまさかの予選敗退。これで前大会の決勝の組み合わせは揃って消えた。ビールを飲みながらの大事な決戦を観戦。本田が直接FKを決め、二点目はおとりになりデンマークの高い壁を止めたところで遠藤の絶妙なキック。三点目は神懸かりの切り返しに岡崎へのアシスト。冴えに冴えてた本田に、松井と大久保、長谷部がしっかりと動き回ってサポート。守備もキーパー川島を中心に中澤、闘莉王、阿部、長友が最後まで集中して守り切った。敵地決勝トーナメント進出を成し遂げたのは歴史的快挙。きっと「本田」が「中田」を超えた日として記憶されるのだろう。終始鳥肌モノの試合に酔いしれて気分よくベットに倒れ込む。しかし、メディアが一転、岡田監督の「ベスト4」をまんざらでもないように捉え始めているのが面白い。そんなに甘くないけど、サッカーは何が起こるか分からない。

6月23日(水)
 午前中、メールなどの雑務。U邸の立面の新しいバリエーションをスケッチ。すぐに模型に反映させて三つ目のモデルを進める。午後、二つの打ち合わせ準備。プレゼンテーションボードを整理する。

 夕方、金箱構造設計事務所にて打ち合わせ。キックオフ・ミーティングとしてU邸の構造についてその場で最も合理的な解決法と大きさを計算して頂く。これからのスケジュールなどについても話し、構造設計をして頂く方向で調整する。

 夜、四月からオープンデスクとして手伝ってもらった事務所のスタッフの送別会。来週からの英国留学に向けて美味しい焼き肉をたらふく食べる。ロンドンで長く働いていた大学時代の友人も誘って、海外で勉強/就労することについてあれこれみんなで話しながら楽しく盛り上がる。持ち前の明るさで何事にも挑戦していって人生において特別な時間になるであろう英国生活に全力投球してほしい。

 深夜、ビールの飲み過ぎと焼き肉の満腹感でイングランド対スロベニア戦の後半からぐっすり寝てしまい、起きたらウィンブルドン・テニスの放送に変わっていた。しかし、応援していたアメリカも劇的なLTゴールで一位通過を決めたとあって、台風の目として韓国と共に期待したい。早速、イングランドとドイツがベスト16でぶつかる好カードも見逃せない。さて、デンマーク戦への国民の盛り上がりはいかほどか。きっと勝ってくれると信じたい。森本の登場はあるのだろうか、ワンダーボーイ。

6月22日(火)
 午前中、メールなどの雑務とホームページのアーカイビング。U邸の平面図をまとめる。昼、屋根のダイアグラムを修正して仕上げる。断面図などのチェック。夕方、桑沢の卒業生でイラストレーターの杉原悠太くんと教え子の二人が来所。僕のドローイングや版画を見せて、創作することについてあれこれ話す。代官山のMでの展覧会で会って以来の再会だが、とても健康的な野心の持ち主できっと面白いことをやってくれるだろう。近い将来、一緒に何かできたら面白い。

 夜、青山一丁目にて「FIAT CAFE」を覗く。二階に上がって左の壁に「Roses of City」のドローイングが展示されていた(来週水曜日30日まで)。事務所に戻ってU邸のプレゼンテーション図面をチェック。模型をもう一つ作ることにする。週末の打ち合わせに向けてしっかりと案をまとめたい。深夜、銅版画に連日の手彩色を施す。ブルーとグリーンをベースに幻想都市風景が新しい表情を獲得する。

 ワールドカップは、いよいよリーグ戦最終節。南アフリカの猛攻むなしく、フランスの失態ばかりが目立つ試合で両者共倒れ。開催国と前大会準優勝国が予選敗退という結果になった。思えばジダンのヘッドバットは、四年前の決勝、ベルリンの地で起きたのだ。

6月21日(月)
 午前中、メールなどの雑務。U邸の平面図の修正を進める。午後、断面詳細図のチェック。明日の打ち合わせの図面をまとめて終始モニターの前で作業。

 夜、ポルトガル対北朝鮮の試合を見る。ギリギリのせめぎ合いで1-0でハーフタイムを迎えるも、後半にポルトガルが爆発し、北朝鮮の集中力が切れたらあっという間に大会最大の7得点。ロナウドも背中から頭に当たって目の前に戻る不思議なトラップに難なく反応し1年半ぶりの代表ゴールを決めた。このチームを勢いづけると面白いことになるだろう。デコの怪我も早く治ってほしい。

 深夜、銅版画作品に手彩色を施す。同じ系統の繰り返しにならないように今度は、少ない色の反復だけで仕上げてみた。読書も程々に寝る。

6月20日(日)
 午前中、のんびり掃除と洗濯。午後、中目黒にある川沿いのカフェでランチ。思い立って『サマーウォーズ』(監督:細田守、2009)のDVDを見る。現実世界と仮想世界が交錯するお話。独特のタッチは、『時をかける少女』との繋がりを感じさせるも仮想世界の表現が村上隆の世界観に類似していて既視感を覚えた。

 夕方、メールなどの雑務と展示用のネームプレートを作成。夜、青山一丁目の「FIAT CAFE」にてROSESチャリティーのプレ・イベントとしての展覧会に作品を搬入する。オーガナイザーの渕上さんに挨拶し、会場を後にする。明日から十日間カフェにて展示されるのでぜひ近くまで来たら寄ってみてください。ホンダの本社ビルの向い側にあるお洒落なカフェです。

 夜、情熱大陸にて吉岡徳仁氏を見る。とても落ち着き払った表情の裏に見え隠れする本質的情熱を感じる。途中、桑沢デザイン研究所で疲れて机の上で寝ていた昔の写真が紹介されていたのも印象的。日本にこうしたデザイナーがどんどん出てくる環境があると信じたい。「夢にはクオリティーが必要」というコメントと仕事する上での「子供の目線」を大切にしている点が収穫だった。来週は、松岡正剛氏。何だか最近のラインアップは強者揃い。

 イタリアがまたしても勝ちきれないドロー。今大会、アルゼンチンとオランダ以外、ことごとく強豪が苦戦している。スペイン、フランス、イタリア、イングランド、ドイツ。予選敗退しないで、ここからコンディションを上げて勝ち進んでほしい。

6月19日(土)
 午前中、メールなどの雑務。昼、銅版画のアーカイビング。ここ一年半で15作品を描いて刷ったことになる。これらの小作をしっかりと発表できる環境を見つけねば。最新作に手彩色を施す。いつもはあまり使わないイエロー周辺の色を使って塗ると、また違った雰囲気で仕上がった。

 夕方、友人たちと合流し、目黒のとんきで縁起もののとんかつを皆で食べて、日本対オランダ戦を観戦。1-0の惜敗。もったいないのが、実にコンパクトな守備で攻守を見せるもシュナイデルの一撃に沈む。負けたチームの敗因を上げるのは実に簡単だが、やはり交代で出てきた選手たちのプレッシングが甘くてフレッシュな足を投入して攻撃的な流れを作ろうとした岡田監督の意図が実現されなかったのが残念。とにかく切り替えてデンマーク戦に全力でぶつかってほしい。引き分けでも良いという甘えを持たずに決勝トーナメント出場を勝ち取ってほしい。

6月18日(金)
 午前中、メールなどの雑務。U邸の断面図を進める。午後も二つのバリエーションを整理してプレゼンテーションの準備をする。夕方、雨の中、連日の白井版画工房へ。新しい作品の試し刷りを進める。

 夜、DUNE社長と会って飲み明かす。NIDショップをつくってから一年半、お互いの仕事についてあれこれを話し込む。アパレル・セレクトショップの経営と建築家という職業に実に多くの共通点があることに驚かされるし、共に刺激しあえる最高の仲間である。

 終電を逃したので、西麻布から雨の中ゆっくり歩いて帰る。帰宅して録画でアメリカ対スロベニア戦を見るも劇的三点目がファールの判定。エキサイティングな試合を見せてくれるので次のアルジェリア戦に勝って決勝リーグまで進んでほしい。さて、明日はオランダ戦、正念場。

6月17日(木)
 午前中、メールなどの雑務。シンガポールのイベントデザインのための特別提灯のプロトタイプを手作りする。おおよそ想像通りの仕上がり。

 昼、U邸のバリエーションを整理し、更なる展開をあれこれスケッチする。夕方、銅板に向かって線を彫り進めて小作を完成させ、白井版画工房にて早速出来上がったものを試し刷り。凸版刷りという線をシロ抜きに刷る方法を試す。

 夜、出来上がった版画作品に手彩色を施す。韓国がアルゼンチンに大敗してしまう。自身の得点はなかったものの、メッシのスピードとテクニック、イマジネーションにおいて格の違いを見せつけられた。頂点まで行く行かないは別として南アフリカはメッシの大会になりそうな予感ぷんぷん。

6月16日(水)
 午前中、メールなどの雑務。渋谷で打ち合わせ一本。午後、桑沢の学生有志と合流して竹橋の国立近代美術館に行き『建築はどこにあるの?』展を課外授業として皆で見る。七組の世代の異なる建築家による建築の在処を問う展覧会。どの建築家にも言えることは、スケール(縮尺)/精度/時間がそれぞれの表現の根底に流れているように感じた。
 スケールにおいて鈴木了二の「DUBHOUSE」は、模型というものを見る前提としての縮尺をも拒絶し、水平/垂直に自由にのびているようで不思議な感覚をもった。床がガラスで強調されていることに無限に広がる面(グリット)の獲得とユニバーサルスペースという普遍性と家具や絵画から見る個別性(趣味)の同居が興味深かった。
 精度において中村竜二の「とうもろこし畑」が立ち上がった現象として圧倒的だった。とうもろこし畑をモチーフに紙で作られた構造体は、自然のとうもろこし畑が抽象化されてより美しく感じられた。接合部がのりという粗さがゆえにモデルとしての精度は決して完璧ではないが、そこに立ち上がる現象には正確な幾何学が作り上げる精度が保たれていてどれだけ見ても飽きないインスタレーションとなっていた。逆に内藤廣の「赤縞」はレーザー光線という誤差のない高い精度があり、そこをただ自由に動き回るという普通の行為がレーザー光線を浴びるだけで全く予想もしない体験に変換される面白さがある。
 時間において菊地宏の「ある部屋の一日」が試みた実験が印象に残る。太陽の軌跡を模型で鳥瞰的に見せてから、次の部屋で模型に入ったような疑似体験をさせる。東から陽が昇り、西に沈む、そして夜になってまた朝が来る。数分単位でこれが繰り返される。一日がぎゅっと凝縮されていて、窓から入る光の効果をスピィーディーにループ体験させてくれる。スピーカーからはピアノ演奏が対比的にゆっくりと流れていたのも効果的。
 続けて学生たちと移動して、根津からSCAI THE BATHHOUSEギャラリーにてアニッシュ・カプーア展を覗く。ステンレスの破片を皿状に接着してモザイク状の鏡体験ができる作品は強烈。作品の前で声を出すと場所によって声の共鳴が起きて視覚的のみならず聴覚的にも不思議な体験だった。カプーアが美術館でなくてこうしてギャラリーで展示することも新鮮でとても良かったし、銭湯をアートスペースに変えたというのもとても気持ちよい空間だった。
 その後、学生たちと近所のカフェで雑談。総勢10人で今日見た展示の感想をあれこれ話し合う。それぞれが感じたことをしっかりと言語化してお互いにコミュニケーションすることの大切さを再確認する。自分の意見を話すことで新しい地平が見えてくることは多々あるからだ。渋谷まで戻って皆と解散。初めて企画した課外授業だったがとても有意義だった。

 夕方、U邸の断面をスケッチ。模型を見ながら問題点を洗い出していく。夜は、ニューヨークで知り合った友人たちと近況報告。彼らが近い将来立ち上げるであろう会社のロゴデザインを依頼される。時間をかけていいものを作ることを約束する。深夜すぎ帰宅したら、スペインがスイスに負けていた、オ~マイガ~。

6月15日(火)
 午前中は、来月からイギリスに留学するスタッフのポートフォリオのエスキス。コンセプトの組み立てを中心にクリティックする。しっかりまとめて向こうでも頑張ってもらいたい。

 午後、U邸の模型をチェック。最後の微調整をして二つの模型が完成。額装されたドローイング「Roses of City」が届く。来週からチャリティーのプレ・イベントとして青山のFiatカフェで展示予定。夕方、シンガポールのイベントデザインのレイアウトスケッチをまとめて送信。それから渋谷で印刷関係の打ち合わせを一本。

 夜、ポルトガル対コートジボワール戦を見る。引き分け。組織的な守備が機能すると現代サッカーは流れの中で点を取るのは難しい。しかし、終始劣勢であってもワンチャンスで勝利を収めることもあるから面白い。深夜、銅板に向かって針で線を彫り進める。

 『「おじさん」的思考』(内田樹、晶文社、2002)を読み終わる。教育とエロスをテーマに書いた文章が印象的だった。「他者の欲望が照準している先が、「私自身」や「私の蔵する知」ではなく、「私が所有しておらず、私が欲望しているもの」、「私の欲望が照準している他者の欲望」であることを知っているものだけが自分に向けられた欲望の統御に成功することができる」。まさに僕が桑沢での連続講義で伝えたかったのは、旅を通して外部世界の広さを肌で感じて、この「他者への想像力」をもってデザインを勉強してほしいということとシンクロする。その他にも多くの文章に目から鱗。自分の考えを修正したり掘り下げるのにとても示唆に富んでいて面白かった。

6月14日(月)
 午前中、メールなどの雑務。シンガポールのイベントのための提灯デザインを検討する。昼、完成間近の二つの模型の進め方をチェック。夕方、桑沢の教え子六名が来所。最後の講義で紹介したドローイング・シリーズを実際に見たいと言って来てくれた。今やってるプロジェクトなども紹介し、色々と話し合う。学生たちも将来を見据えてとても意欲的で高い意識を持って頑張っているようで何より。

 夕方、屋根のダイアグラムを製作。夜、続々と友人たちが集まって、総勢11人でカメルーン対日本のワールドカップを観戦。本田の冷静なゴールを集中力の高いディフェンスが守り切った記念すべき勝利を味わう。深夜にも関わらず近所迷惑も甚だしい盛り上がりだったが、きっと許されるだろう。勝利の美酒をテンションの高い友人たちと味わう。喜びは大勢で共有すると何倍にもなる、枯れた声がそれを証明してくれているようだ。

6月13日(日)
 午前中、部屋の掃除などゆっくり過ごす。桑沢の教え子がピナ・バウシュの『私と踊って』を見たということで「観劇感想文」を送ってくれた。僕の講義で取り上げたのをきっかけに興味を持ってくれて、今回作品を見に行ったとのこと。最初にあった黒い幕を記憶(思い出)と現実世界の結界と捉え、色と感情や帽子のメタファーの考察などとても興味深い解釈であった。ドイツ語中心の台詞が理解できなかったことにやはり戸惑いを感じたらしいが、感想文を読む限りとても深く共感し理解しているようだから、まさにピナ・バウシュのタンツ・テアターは、言葉がわからなくても本質がしっかり伝わるだけの強度をもっていることを再確認できた。

 午後から千葉まで出向いて伊藤若冲『アナザーワールド』展を見る。水墨画を中心に集めて質/量ともに圧巻の展覧会。14日までと思っていた「象と鯨図屏風」の展示が14日からということで見れなかったが、それでも充分見応えがあった。とにかくその技術に対する飽くなき探究心。変幻自在に筆を走らせて、筋目描きや升目描きなどを駆使して独特の世界観を作り出す。何よりディテールの精度の対比、つまり細かく繊細、精密に描き込む箇所とドラスティックに大胆に筆を走らせる躍動感の同居が実に魅力的だった。見る作品、見る作品強烈で、終盤に『樹花鳥獣図屏風』を見た時のエネルギーにはノックアウトされた。見る角度、距離によってそのキメの変化が実に豊かな視覚体験となって立ち上がってくる。初めての伊藤若冲体験であったがとにかく18世紀の日本美術の高い水準に終始思いを馳せていた。

 夕方、事務所でゆっくりデスクワーク。良い展覧会の後は創作意欲が刺激され、新しい銅板に向かって幻想都市風景を彫り始める。キース・ジャレットの新譜を聴きながら集中して線を彫り進める。深夜、情熱大陸にて12年ぶりの出演となった安藤忠雄氏を見る。驚くことにやっている大きなプロジェクトが国外になった以外は全く同じエネルギーで軸のぶれることなく建築を作り続けている。再録されていた全職人さんたちとの記念撮影や「夢の同乗者」のスピードが自分より遅いということを嘆いているのが印象的だった。のんびりした日曜日が終わり、また新しい週が始まる。

6月12日(土)
 午前中、ゆっくりしてから横浜の方まで甥/姪たちとお出かけ。家族でゆっくりした休日を過ごす。夕方、友人の結婚式の二次会に参加。学生時代ぶりに再会する共通の友人もいて盛り上がる。続けて、代官山のMにてダンスイベント『ROOF vol.1』を鑑賞。四組のコンテンポラリーダンス作品を見る。ベルリン時代より見てきた友人の作品もまた新しい表現に向かって追求しているようで、イラストの映像も作品にアクセントを与えていて狙い通りだった。

 深夜、近くのバーでアルゼンチン対ナイジェリア戦をワイワイ友人たちと見る。四年に一度の大会なので、選手生命の短いサッカー選手にとって自身のピークをこの大会で迎えることはすごく難しいわけだが、今大会はメッシが主役の座をがっちり守ってくれるようなキレのあるプレーをしていた。控えにマクシロドリゲスやミリートが出てくるようなチームなので、それぞれのコンビネーションがピタッと組織すればきっと頂点までいけるだろう。しかし、見れなかったが韓国の2-0勝利にも驚いた。彼らがアジアを引っ張ってベスト4に入ってほしい。明日のカメルーン戦で日本の底力も期待したい。

6月11日(金)
 午前中、メールなどの雑務。昼、同時進行で進めてる二つのU邸のモデルをチェック。平面や外壁素材/開口デザインが共に同じでただ屋根の形態だけが異なる二つのバリエーションを展開する。立面図の修正も進めて、夕方二つの模型がほぼ完成。全く違った雰囲気を出している。良い比較検討ができそうだ。

 夜、兄の子供たちをベビーシッター。甥っ子も姪っこも元気が良く、ここ数ヶ月でまた大きくなったようだ。機関車トーマスで遊ぶ。深夜、ワールドカップ南アフリカ大会が開幕。南アフリカ対メキシコの開幕戦を見る。22人の選手が90分間集中して緊張感のあるスピーディーなサッカーをしていた。メキシコの細かいパスまわしをぜひ日本も見習って戦ってほしい。さて、寝不足の日々が始まりそうだ。四年に一度の祭典を楽しみたい。

 ここで、宣伝を一つさせてください。明日の12日、土曜日の夜、代官山の『 M 』にてダンスイベント『ROOF vol.1』が開催されます。ベルリン時代からの友人でコンテンポラリーダンスをやっている人たちの作品発表の場。僕は、今回イラストの提供をしましたが、その映像も作品の一部に組み込まれてプロジェクターで踊ってる背景に投影されるらしいです。20時スタートです。代官山/恵比寿どちらからも徒歩圏内ですので、時間のある人はぜひ覗きに来てください。興味ある方は僕に連絡して頂ければゲストリストに入れておきます(もしくは、エントランスで僕の名前を言ってください)。ではでは、宜しくお願いします。

6月10日(木)
 午前中、メールなどの雑務。シンガポールのイベントデザインのために提灯製作の調べもの。昼、U邸のモデルをチェック。細かいところを決めて作業を進める。新しい屋根のデザインを立面に落とし込んでいく。

 夜、銅版画を購入してくれた友人に引き渡し。秋からハーバードのビジネススクールに留学が決まり、初めての海外留学の記念として僕の作品を即決で買ってくれた。ブルー・ブラックのトーンにスカイブルーを重ねた色合いで刷ったが、とても気に入ってくれた。コンサルタントとして五年間働いてからの留学というのはきっと実り多いものになるのだろう。時代をクリスプに読み解き、企業の舵取りをヘルプするコンサルタントの仕事について話を聞く。ウィスキーがいつになくうまかった。

 深夜、『西洋絵画のひみつ』(藤原えりみ、朝日出版社、2010)をパラパラ読み始める。

6月9日(水)
 午前中、メールなどの雑務。完成したドローイング「Roses of City」をフレーム屋さんに額装してもらうように依頼する。

 昼、U邸のモデルの進め方についてスタッフに指示。午後、PSヒーターの打ち合わせを一本。空調設備の考え方として放射冷暖房の可能性を探り、次回までに計画に合った具体的なプランを準備してもらう。夕方、ICベルリンのデザインのブラッシュアップ作業。スケール関係もまとめて、指示図と一緒にベルリンまでデータを送信。すぐにラルフ社長から気に入ったとの連絡があり、幻想都市風景のサングラス・デザインは進められる方向で取り組んでもらうことになった。遠い道のりをゆっくり動き出している。

 夜、U邸の新しい屋根の立面をスケッチして開口部についてあれこれと考える。朝から降っていた雨も上がり、気持ちの良い夜風が窓から吹き込んでくる。もうすぐ梅雨か。深夜、何冊かの本を雑読して寝る。

6月8日(火)
 午前中、メールなどの雑務。ニューヨーク在住のメキシコ人建築家よりポートフォリオが届く。働きたいとのこと。どこでどう僕のホームページにたどり着いたのか分からないが、グローバルな感覚を実感する。日本での就労ということもあり、お断りしたが、将来的に何かのコラボレーションができるときっと面白いだろう。

 昼、初台で打ち合わせ一本。敷地を下見。事務所に戻ってU邸のスケッチを進める。図面のチェックに立面の新しいアイデアを考える。夜、新宿文化センターにてピナ・バウシュ亡きヴッパタール舞踏団の『私と踊って(1977)』東京公演初日を観る。90分の演目を通して苦悩する男女が描かれていて、舞台に飛び交うシルクハットが椅子になって『カフェ・ミュラー(1978)』へと繋がっていくんだと勝手に納得する。何よりピナ・バウシュの魂らしきはちゃんとダンサーの一人一人に伝承されていて、まさに人生のメタファーとしてのタンツ・テアターの強度がそこにあった。この人生の隠喩こそが多様な解釈を生み、人を引き込み圧倒的感動を与える。最も印象に残ったのは、舞台の後半、白い床に氾濫した帽子や黒いコート、白樺の木が偶然の配置によって二階席からは「女性の顔」に見えた瞬間があった。それを見てピナを思い、会場を後にしたら雨が降っていたのでピナの涙を想像した。

 深夜、U邸のモデルに少し手をいれる。読書して寝る。

6月7日(月)
 午前中、メールなどの雑務。昼、U邸の平面/立面/断面をチェック。屋根の新しいアイデアをスケッチ。早速試すために模型をつくる。スタディー模型は壊すためにあるので何度も納得のいく形態がみつかるまでカッター片手に作業に没頭する。

 夕方、渋谷で印刷の打ち合わせ。和紙にドローイングをプリントしてシンガポールでのイベントのために提灯をつくろうとしている。その後、桑沢デザイン研究所にて佐々木先生の授業に参加。先週まで自分が講義していた学生に紛れて受講。僕のやった建築/都市/美術/旅を通した「デザイン論」とは違った切り口の授業で、きっと学生たちにも多くの思考のきっかけになるだろう。先週までの僕の講義のノートを学生たちに見せてもらったが、しっかりスケッチを交えてよく勉強しているようで、何度も復習して「記憶の定着」に心掛けてほしい。突然の登場のために何人かに「読書感想文はもう少し待ってください」って言われたのが印象に残る。飲み会にも誘われたが事務所に帰って仕事。

 夜、U邸の屋根のスタディー模型にひたすら手を入れる。屋根は大事な要素なので新しいアイデアをしっかりとまとめる。深夜、高いテンションを維持してドローイング「Roses of City」を描き、手彩色も含めて無事完成させる。「薔薇をモチーフにすること」というチャリティー・アート・イベントに参加することで与えられたテーマに「都市」を取り込んで描き上げた。今月21日から青山のスパイラルで展示予定。売れるといいな、売り上げはすべてカンボジアの図書館建設費に当てられます。

6月6日(日)
 午前中、メールなどの雑務。昼、トロントで過ごした中学時代からの友人宅にてランチ。引っ越しと出産をして、二人はまた人生の新しい幸せに向かっていて楽しく美味しいベーグルとワインを頂く。夕方、原宿にてチャリティー・アート・イベントの説明会に参加。エントリーシートを提出し、プロフィール写真の撮影をする。また近くなったら詳しい情報をここでも紹介したい。

 夜、『告白』(監督:中島哲也、2010)を観る。蛍光灯の青白い光でドライに撮影された映像とレディオ・ヘッドらのフラットな音楽がその衝撃的な内容をうまく捉えていて見入ってしまう。しかし、幾重にも重ねられた登場人物の思いがそれぞれの「告白」を通して各自の「色眼鏡」が提示されていく。命というテーマが背景にあり、復讐の連続が絶望を生みだしていくため、わずかな希望をどこに見いだせばよいのか分からない。エンドロールの雲にあふれる空の風景のように見終わったら何だかモヤモヤした。

 深夜、「Roses of City」ドローイングを進める。あと少しの手彩色を残して線に関しては、画面の構成がまとまってきたので完成間近。『女の子のための現代アート入門』(長谷川祐子、淡交社、2010)を読み終わる。タイトルに「女の子のため」と入っている理由は分からなかったが、現代アートに関するベーシックな切り口を網羅的に紹介する内容。特別新しい作家の発見はなかったが、どの作家同士をどのようなテーマで結びつける(編集する)かに面白さがあるのだろう。

6月5日(土)
 午前中、ICベルリンの眼鏡のデザインをスケッチする。何となく面白くなってきたのでもう少し進めて一度まとめてみよう。

 昼、メールなどの雑務。デスクワークを終えて、ゆっくり読書。夕方、ときの忘れものギャラリーに顔を出して「ウルトラバロック 尾形一郎・尾形優 写真展」を見る。トークイベントは満員のため残念ながら参加できず。しかし、何とも高密度な宗教空間、その圧倒的装飾性を二人の写真は強調するかのように捉えていて何とも酔ってしまいそうになる。

 夜、石山修武研究室のOBの集まり。10名ほどの先輩に混じって、思い出話から始まって仕事の話や不動産業、ネットワーキング、建築談義に華が咲く。僕は最年少だったが、とにかく各世代の先輩方の貴重な話が聞けて、接点も多くあり、これから何かしらの形で一緒に何かできると面白いだろう。しかし、皆さんのエネルギーに刺激を受けて、何だか石山さんはいないけど、学生時代を思い出す。そういえば、今日の朝日新聞の「Be」のトップランナーは、同じく石山研の先輩の馬場正尊さん。先週の内田樹先生に続き、知人が連続して勝手に驚く。

 深夜、帰宅してシャワー。寝る前にドローイングを少し描き進める。バラに覆われた街の風景。スパイラルでの展示期間に買ってもらえるか楽しみだ。

6月4日(金)
 午前中、U邸の立面をスケッチ。昼、渋谷で打ち合わせ一本。エネルギー関連の研究会について。午後、U邸の断面と立面をチェック。あれこれと新しい断面のアイデアをまとめていく。シンガポールより、僕の提案したデザインが案件化に向けて進んでいることを知り安心。付加価値として更にできることとしてアートワークの印刷された提灯を提案する。
夕方、麻布十番にて「新しい杉」展を覗く。低温乾燥させた無塗装の杉がギャラリー全体に杉の香りを醸し出していたのが印象的。

 夜、日本対コートジボワール戦を見るも、なかなかエキサイティングなサッカーが見られず残念。前回ドイツ大会は、大会前の強化試合で高原の2ゴールでドイツと戦った時がピークだった気がするので、今回はとにかくこの4連敗というどん底から失うものはないという気迫で頑張ってもらいたい。中田の時もそうだったけど、本田に過度に期待し過ぎるのもどうかと思う。カカやメッシのように一人で試合を作れる超一流の選手は稀で、日本はスピードと運動量でチームプレーで突破口を見つけてほしい。あと、ドログバの骨折が心配。

 深夜、チャリティーに出す予定のドローイング「Roses of City」を描く。今までにない雰囲気が立ち上がってきて面白い。BGMは、アルゲリッチのピアノ。

6月3日(木)
 午前中、日本カラーエンジニヤーズの岡村さんらが来所。昨年来より進めていたCGの仕事の打ち合わせ。フィードバックや反省点を中心に今後の展開を話し合う。どんどん具体的な案件に繋げていけるように努力したい。

 午後、メールなどの雑務。U邸の立面スケッチを進める。夜、早速チャリティーに出すドローイングを描き始める。タイトルは「Roses of City」としたので、今までとは違ったテイストに仕上がるだろう。ドローイングの休憩がてら、久方ぶりに近所をランニング。赤羽ハーフマラソンを走って以来すっかりご無沙汰だったので、ゆっくり目黒川沿いを走る。

 深夜、『1Q84』BOOK3(村上春樹、新潮社、2010)を読了。えらく時間がかかってしまったが、前二巻との時差が生じたことで一気に読むほど吸い込まれなかった。しかし、今までのムラカミ作品とは異質な「小説in小説/宗教/父親/生死/妊娠」などの要素があって印象に残るが、僕にとっての最高傑作はやはり『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』。少し時間をおいて、三冊をもう一度まとめて再読してみたい。そうこうしてたらBOOK4が出版されたりして。それよりまず『ノルウェーの森』の映画が待ち遠しい。寝る前に窓から見えた奇麗な半月をじっくり見て、一つしか月がないことを再確認。

6月2日(水)
 午前中、メールなどの雑務。今月末からスパイラルで行われるチャリティー・アート・イベントにドローイングを提供することになったので、手続きを進める。昼、U邸の断面をチェックし、立面のスケッチを進める。なかなか突破口を見つけきれないが、しっかりと展開を考えたい。

 夜、恵比寿でスウェーデン人の友人たちと飲む。ウィスキーを飲みながらストックホルムでの旅や近況報告。一日があっという間に過ぎていく。

6月1日(火)
 午前中、メールなどの雑務。二日酔いでボーっとする。昼、デスクワーク。旅の整理やもろもろの対応に時間がかかる。昨日のレクチャーの最後に提出してもらった感想シートに目を通す。各自「旅」の連続講義をしっかりと「入り口」として認識し、意欲的なコメントが多くて胸が熱くなる。夕方、U邸の断面をチェックし、屋根のスタディースケッチを進める。

 夜、読み途中になっていた『1Q84』を読み進める。もうすぐ終わりそうだが、疲れからかすぐに寝てしまった。気がつけばもう六月になっている。

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