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『EVERYDAY NOTES』

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『OPENNING NOTE』

 
 

EVERYDAY NOTES - archive - 2010 october

10月31日(日)
 朝から自転車に乗って池尻まで、自由大学にて坂口恭平さんのレクチャー二日目。今日は、多摩川のロビンソンクルーソーさん登場。昨日のお話とまたリンクし、更に「農業」という側面で自給自足生活についてお二人の対談。「自然との対話が一番大事」というしごくシンプルな哲学に潜む経験に基づいた深い思想をたっぷり紹介。これは、いつか実際に見学させてもらい、自分の解像度の窓をもっと解放してみたいと思った。「多摩川での生活はどうですか?」の質問に優しい笑顔で「天国ですね」っていう言葉が何より印象的。やはり、突き詰めると幸福論であるのは昨日も思ったこと。

 午後、事務所にてエンジン全開で仕事。構造図を準備して、展開図をまとめる。細かい修正も進める。模型のオペレーションをし、学生二人でよくまとめてくれた。夜、ドイツから日本旅行をしている元同僚が来所。三年ぶりにあれこれとお互いの近況報告に盛り上がる。東京は高密度だが徒歩で色々と歩けるスケールであるというのが新発見とのこと。晴れた日に山手線の先頭に乗って、一周することをお勧めする。スタッフたちも含めて皆でビールとお寿司。来週また再会するのを約して、仕事に戻る。

 深夜、無事プレゼンテーション資料も模型もまとまり、出張の準備完了。気がつけばあっという間にまた日曜日らしくない日曜日が終わり、明日からは11月に突入。

10月30日(土)
 朝から台風が関東にも接近して雨。自由大学にて初めてレクチャーを受ける。石山研の先輩で『0円ハウス』の著者で建築家の坂口恭平さん。二時間、ぶっ続けで坂口さんは語った。用意された椅子に座ることなく、自分の経験に基づいて磨き抜かれた思考をひたすら話す。本人の著書も読んでて、ホームページで公開している日記もたまに読ませてもらっているので真新しいことは、あまりなかったが、やはり「声」のもつ力を実感する。「レイヤー/インスピレーション/解像度/むき出し」といった言葉を丁寧に使って、自明であることを疑うことの自由さを語り、物事の本質を問いかける。昼休みを挟んで、次の二時間は、隅田川のエジソンこと、鈴木さんと対談。坂口さんの「0円ハウス」の原点とも言える鈴木さんとの言葉のキャッチボールを間近で聞けて貴重な体験。何より、「鈴木さん、幸せですか?」という問いに「最高です」と即答した時に感動すら覚えた。すごく極端なスタンスを取っている部分ももちろんあるけど、多くの部分で共感し、良質の刺激をもらった。明日は、多摩川のロビンソンクルーソーさん登場とのこと。

 四時間の講義を経て、坂口さんを囲んで黒崎さんともビールで乾杯。黒崎さんには、先月の「aosola/青空空間」オープニングで購入して頂いた銅版画をお渡しする。マーク・ニューソンを始め、蒼々たるデザイナーをみつけ、育てた目利きの黒崎さんに銅版画を買ってもらった喜びはひとしお。この気持ちを持続させて精進したい。

 夜、早速今日頂いた『ゼロから始まる都市型狩猟採集生活』(坂口恭平、太田出版、2010)を一気に読み終わる。数時間前に本人のレクチャーを四時間も聞いたので、スースーと内容が頭に入る。建築家は、これを直接受け止めるのでなく、その背景にある思考のスタンスらしきを共有することで新しい地平線が見えるのかもしれない。それは、外部にあるものではなく、自分たちの感知能力の精度を上げることから始まるのだろう。

10月29日(金)
 午前中、メールなどの雑務とU邸の模型、展開図のオペレーション。昼、お施主さんと合流しショールーム巡り。照明からキッチンまで色々と実物を見て回る。夕方、所用がありお茶の水へ行く。夜、ドイツから日本に遊びにきている元同僚と会いそびれる。「九時、上野」と言って、後は電話してみつけようとするも、連絡取れず待ちぼうけ。残念だけど、三年ぶりの再会は、日曜日にずれ込んでしまった。

10月28日(木)
 朝から冷たい雨。いつもより早起きだったので、サクサク仕事。メールなどの雑務を終えて、展開図をチェック。仕上げのイメージを詰める。檜風呂の可能性を検討するべく、早速見積もり依頼。

 昼から明日のU邸のための打ち合わせ準備等を進める。『Forest Among Us』のニュースレターのチェック、11月1日に配信予定なので、ぜひ興味のある方はご登録を。まだ見えない部分も多いが少しずつリアリティーを獲得していきたい面白いプロジェクト。キッチン関係の整理も進める。夜、再度展開図をチェック。ようやくまとまってきた。

 深夜、『ハイデッガーの建築論』(中村貴志訳・編、中央公論美術出版、2008)を読み終える。副題が「建てる・住まう・考える」となっているのだが、正に「建てる」ことと「住まう」ことの関係性を「考える」ことで結びつけている。当たり前だと思って思考停止になる様な大前提を更に深く掘り下げることが哲学であることを思い知る良著。来週の神戸への出張には、LATsのために『生きられた家』を持っていって新幹線でじっくり再読したい。

10月27日(水)
 午前中、メールなどの雑務に追われながら、展開図の進め方をチェック。難波先生が東大で主宰していた読書会に昨年来幾度か顔を出していたが、退官後、LATs(Library for Architectural Theories)と改名された読書会にいずれ担当しないかと岩元君から打診があったので、快く承諾。難波先生の「神宮前日記」からいつも多くを勉強させてもらっているので、
是非とも頑張りたい。というより、現実に追われ過ぎず、もっと本質的な読書の時間をつくらねば。

 午後、『Forest Among Us』のニュースレターの原稿を推敲し、頭に上ったもう一つの話も書いて、結局二本のエッセイを送信。どちらが採用されても構わない。しかし、文章を読む時の脳と書く時の脳は、設計やスケッチ、ドローイングをしている時の脳と全く違うことを実感する。ある種、ランニングをしている時と一緒でトレーニングしていかないとやはりマラソンは走れない。

 夕方、ライターの長井さんが来所。先日、御影で内田樹先生とやらせてもらった対談についての打ち合わせ。12月11日販売の「住まいの設計」ムック本に掲載予定。ゲラはまだ少し先だが、今から楽しみ。

 夜、渋谷の安部アトリエにて打ち合わせ。近況報告も含めてあれこれ話し合う。また近く一緒にコンペをしたい。帰宅して、デスクワーク。U邸の展開図をチェックする。日頃の寝不足からか、シャワー浴びたらベットに倒れ込むように寝る。

10月26日(火)
 午前中、U邸の細かいポイントチェックして整理する。

 午後、吹き付け断熱材の担当者が来所。技術的な面や今回の建築に対する仕様についてあれこれと相談する。新しい技術なので取り入れられるように考えたい。夕方、スイス人の元同僚が来所。ベルリンでインターンをした後、チューリッヒに戻ってETHを無事卒業し、二年間地元の設計事務所で働いたとのこと。三年ぶりの再会を手土産の美味しいスイスチョコレートと共に楽しむ。

 夜、六本木アクシスにて「More Trees」展のオープニングに参加。地下の写真をチャリティーとして展示している様子、また小鳥のさえずりがスピーカーから聞こえたりするきめ細かいデザインに共感。ご一緒した『Forest Among Us』のメンバーとその後打ち合わせ。

 深夜、メールなどの雑務。今後のことを考えたりして頭を整理する。ニュースレターの原稿に手を入れる。読書を少々。

10月25日(月)
 午前中、メールなどの雑務。昼、たまプラーザに出かける。大学時代の親友が建てた新築のRCの住宅を内覧させてもらう。キューブの空間に正方形の開口部が特徴的な彼らしいエッジの効いた住宅になっていた。

 午後、U邸の立面をチェックして夕方から金箱構造設計事務所にて構造の打ち合わせ。屋根の形状から杉の使い方までしっかりと打ち合わせする。夜、構造の打ち合わせ内容を京都美山町の木こりの小林さんと電話で報告。

 深夜、デスクワークに読書をして寝る。

10月24日(日)
 午前中、ゆっくり過ごす。外は雨。模型作業にデスクワークをもろもろ。夕方、七里ケ浜に行って、「aosola/青空空間」に展示中の作品を差し替える。久しぶりに来たら、とても綺麗に使ってくれていて、空間が少しずつ息づいていた感じが心地よい。『スペインドローイング』を梱包して、『ワンダーシティー』を展示。残りの一ヶ月間はまた違った作品をヨガ教室のみなさんにも楽しんでもらいたい。

 白金に住む施主さんに『スペインドローイング』を返還し、彼らのリビングルームに絵をかける。続けて友人が来月代官山にてスタートさせるキャンドルスタジオに購入してもらった銅版画作品を納品。三枚の白黒の銅版画が色鮮やかなキャンドル達と空間に良いバランスを作り出していた。

 深夜、これからの予定を整理してゆっくり読書。アマゾンから三冊の本が届いたので早速パラパラ目を通す。残り一週間で十一月か。

10月23日(土)
 午前中、メールなどの雑務。U邸の平面図と展開図を仕上げていく。床や壁の仕様も検討する。カタログ請求や問い合わせの電話に追われる。

 午後も終始U邸の設計作業。立面図と断面図で屋根の修正を決める。開口部のデザインも微調整。まだやることは多いが少しずつまとめていくしかない。模型のチェック。

 夜、『Forest Among Us』のニュースレター用の原稿に取りかかる。このプロジェクトに参加することのきっかけ、マニフェストを端的な文章にしたい。思考の言語化作業の大変さと大切さを知る。来週の締め切りまで何度も練り直そう。面白いことをやろうとしているので、ぜひ興味を持たれた方はサイトにてご登録してください。

 最高の秋晴れにベルリンの夏を思い出す。こうした日々がせめて二週間でも続いてくれたら気持ちいいのに。安部公房の小説片手に芝生の広がる公園でピクニックがしたい。もうすぐ紅葉のシーズンか。

10月22日(金)
 午前中、メールなどの雑務。昼、所用で品川区役所、司法書士さんとあれこれ相談する。午後、U邸の立面図をスケッチ検討。夕方、ワイス・ワイスの担当者が来所。書斎の本棚について打ち合わせ。この建物のコンセプトと知的集中モードに入る為の書斎を説明する。デザインと素材についても話せた良いキックオフミーティングとなった。椅子のデザインも考えてみたい。

 夜、『梅棹忠夫語る』(聞き手小山修三、日経プレミアシリーズ、2010)を読み始める。関西弁の言葉が強度をもって迫って来る。気分転換に録画していた松本人志のプロフェッショナルを観る。何だか笑いに対する姿勢がアイデアを出しては壊し、孤独な戦いであるのを観て建築家のそれと似ているように感じた。

 深夜、U邸のコンセプトスケッチをあれこれと描きなぐる。手を動かして、頭を働かすのが一番良いのは体が一番分かっている。BGMは、The Album Leaf。

10月21日(木)
 朝から寒い雨。午前中、メールや電話でもろもろの対応。模型の仕上げを新しく微調整してつくる。綺麗につくればつくるほど、どこか不安になって壊してしまう。

 午後、展開図のスケッチを進める。図面もチェックしていく作業が続く。平面の細かいチェックや建具、開口部のイメージを展開図で確認する。京都美山町の小林さんと電話で打ち合わせ。杉の製材や乾燥、今後の進め方についてなど話し合う。日本の林業に対する可能性を探りたい。

 夜、模型のプロポーションなどについてあれこれ考える。夜な夜な作業していたらあっというまに深夜になっていた。

10月20日(水)
 午前中、メールなどの雑務。やっと、机の上の書類が整理できてきた。あとは、しっかり読書する時間をみつけたいものだ。読みかけの本がたまってしょうがない。

 昼、U邸の平面修正を決めて、先週の打ち合わせポイントは整理できた。早速、議事録も作成して、修正平面と共に内田先生夫妻に送信。キッチンのカタログなどの資料を見ながら検討。次は、展開図。模型に大きく手を入れる。外壁の着色を簡略化して、形の多様性を表現してみたい。続けて立面図とにらめっこ。南面の屋根の形をスケッチ。これも近く模型で検討したい。

 夜、研究室の先輩で大変お世話になった坂口恭平さんがテレビでたけしさんを0円ハウスに案内していた。お金というある種のタブーとも言える内容にストレートにぶつかった番組。恭平さんの思想が単純化された形で放送されているので、マジョリティーの視聴者にはどう映ったのだろうか。

 深夜、これからのやることリストを作成。また、来週締め切りの執筆依頼についてあれこれ考える。

10月19日(火)
 午前中、メールなどの雑務とデスクワーク。なかなか机の上の書類の整理ができない。整理しているところからまた新しいカタログやサンプルが届く。

 午後、U邸の平面を再度スケッチ。打ち合わせ事項を再度確認しながらの修正作業が続く。夕方、パナソニックの担当者らが来所。道場の空調についてあれこれと打ち合わせ。空調と換気を別物として考える。照明についても少々話し合う。夜、ビックサイトにて眼鏡の国際総合展iOFTに行って、ICベルリンのブースへ。半年前に東京でラルフ社長に出逢い、僕が4年間ベルリンに住んでいたことを始め、ICベルリンのショップの近くに住んでいて、今、建築家として東京で働いていることを話し、名刺交換。サイトを視てもらい、ドローイングをベースに眼鏡のテンプルをデザインしたいという提案にラルフ社長が共感してくれて、早速、スケッチを送った。そこからは、トントン拍子でメールのやり取りでプロトタイプ作成までいって、ついにプロダクトとして完成。"Wonder City 2010"と名付けられて限定販売される。このビックサイトでデビュー、早速、注文も幾つか入ったとのことで嬉しい限り。ラルフ社長と今後の展開について、第二弾をやることを打診され、もちろん承諾。時間をみつけて、またドローイングを約束する。シリーズとしてまとまったらどこかで展覧会をやるアイデアも出る。ラルフ社長の40歳の誕生日もみんなで祝って解散。

 夜、事務所にてU邸の平面修正を再度進める。次回の打ち合わせのスケジュールも決まったので、あれこれと頭を整理する。気がつけば10月も折り返している。夜風がすっかり冷たくなってきて、秋を感じる。もうすぐ紅葉か。

10月18日(月)
 午前中、メールなどの雑務。昼からU邸の平面修正をあれこれ進める。先週、見学させてもらった建設会社の資料を整理。夕方、早稲田大学にて山本浩二画伯と打ち合わせ。丁度古谷研究室にて演習Eの打ち合わせをしていたので参加させてもらう。今年は、「キュビズム」がテーマらしく、移動する視点という側面から造形や色彩を考えることについて興味深い話を聞く。デヴィット・ホックニーの写真を使った作品がキュビズムの延長にあるという考え方に目から鱗。途中、卒業式以来、古谷先生にも挨拶する。

 夜、日建設計の川島さんらが来所。入社4年目の社員が企画運営するフォーラムにてミニレクチャーを依頼されたのでそれの打ち合わせ。「建築×人数」というテーマで組織とアトリエの事務所を通してそれぞれの可能性を話し合うとのこと。自分の経験からの話しかできないことを確認する。

 深夜、デスクワークなどもろもろの整理する。

10月17日(日)
 午前中、のんびりして昼から銀座へ。王子ホールにて『森永一衣ソプラノリサイタル』を鑑賞。ロッシーニやベッリーニの歌に中世イタリアの時間が流れる素敵なリサイタル。アンコールの「涙そうそう」も素晴らしかった。帰り際、新橋のハブで阪神対巨人がやっていたので、一人で入るも、まさかの逆転負け。阪神タイガースの2010シーズンが幕を下ろす。色々と思いはあるが、きっと選手が一番悔しいはず。

 夜、U邸の平面修正と屋根の形態をあれこれ考える。打ち合わせ内容を考慮してあれこれと検討する。深夜、ICベルリンの眼鏡デザインをエスキース。今週、ラルフ社長に会うまでにまとめたい。しかし、まさかICベルリンと仕事ができるなんてドリームプロジェクト。頑張りたい。

10月16日(土)
 午前中、メールなどの雑務。ゆっくりランチをして実家を後にする。大きな模型の入った箱を新大阪駅の荷物預かりに預けて、阪神甲子園球場へ。父親と二人で野球観戦。クライマックスシリーズ第一戦。小学生の時以来、20年ぶりの甲子園。最近は大リーグ観戦が多いせいか、久しぶりの日本野球の応援に驚かされる。球場全体が一体感をもっていて盛り上がる。そして、何より関西弁で容赦なく繰り広げられるファンのヤジにイチイチ笑ってしまう。試合は、ブラゼルのホームランの一点のみで巨人に負けてしまう。短期決戦なので流れが重要なので、勢いをつけてほしい。

 夜の新幹線で東京に戻る。『建築美学講義』を読み進める。とても勉強になる。帰宅後、荷解きし、もろもろの書類整理とデスクワーク。この三日間の出張で設計の打ち合わせを二回、雑誌対談、建設会社の実例見学など多くの収穫があった。引き続き、身を引き締めて進めたい。

10月15日(金)
 朝から電車に乗って御影へ。設計の打ち合わせ、キッチンや水洗、風呂のタイルなどを話し合う。二時間弱、細かいところを話し合う。昼前、建設会社さんと合流し、実作例を案内して頂く。杉の集成材で作った木造の教会を見せて頂き、続けて古建築の修復作品とモデルルームを見学。実にトータルで丁寧なものづくりの考え方をしていて共感する。

 夜、奈良に帰って来て、無事三日間の出張行程完了。帰宅し、風呂に入ってブリを食べたら、ソファーでうたた寝してしまう。深夜、『建築美学講義』(上松佑二、中央公論美術出版、2008)を読み進める。

10月14日(木)
 朝、チリの岩盤落下事故で70日間もの間、地下に閉じ込められた33人の鉱山員が無事救出される映像をリアルタイムで見る。「フェニクス(不死鳥)」と名付けられたカプセルは地下600mもの深さから33人を救出し、世界中に感動を与えた。フィクションを超えたノンフィクションの物語。
日建設計から社内の設計フォーラムで話してほしいとの依頼を難波研究室OBの方から受け、それがこのeveryday notesを読んでいたのがきっかけとの事。ありがたい、こうした縁を大切にしたい。

 電車に乗って京都へ。建設会社さんと合流し、学校建築と個人住宅を見学させてもらう。木造建築とRCの住宅を見させてもらう。午後、梅田にて内田樹をかたち作った本たち「いいから黙って読みなさい」コーナーを物色。それをツイッターでつぶやいたら、140Bの大迫さんから返信があり、近くということで事務所に呼んでもらってエネファームなどについておしゃべり。その後、カフェで昨日の打ち合わせ内容の設計修正をスケッチ。夜はなんばで両親と合流し、焼き肉を食して帰宅。再度、U邸の平面修正をあれこれチェックする。深夜、読書して寝る。

10月13日(水)
 午前中、新幹線に乗って京都へ。大きな模型の荷物を持って嵐山へ。建設会社さんの案内で木造建築の見学をさせてもらう。時間を感じる新旧のデザインが印象的。棟梁の方も参加して頂き、あれこれ興味深い話を伺う。

 夕方、ライターの長井さんとカメラマンの大倉さんと合流し、「住まいの設計」ムック本のための取材。内田樹先生と敷地にて模型を持って写真撮影。その後、御影にて二時間半、みっちり設計の打ち合わせ。夜は、近くのレストランでフレンチ料理に舌鼓を打ちながら、内田先生とこれまた三時間弱、住宅を設計する事について対談させて頂く。僕は建築家として心がけているスタンスなどを中心に話させてもらう。

 終電に飛び乗って奈良の実家に帰る。長くて充実した一日が終わる。iPHONEでメールチェックしていたら、来年の東京マラソンの抽選にまた漏れたことを知る。三年連続の落選。いつになったら東京を走れるのだろう、どこかのハーフでも走ろうかな。

10月12日(火)
 午前中、メールなどの雑務とプレゼンテーション資料の準備。模型のポイントも確認。昼、ドガ・カードルの担当者と銅版画のフレームについて打ち合わせ。午後もひたすら資料の準備を進める。展開図のスケッチも進めて、CGもチェック。パナソニックの担当者も来所し、資料を頂く。夜、日韓戦をBGMに最後の詰めをする。本田はやはり良い動きをしていたようだ。

 深夜、細かい作業を進め無事完了したのは二時すぎ。さくさく荷造りをしてベットに倒れ込む。

10月11日(月)
 午前中メールなど雑務。集中してプレゼン資料をつくる。午後、あまりの天気の良さに誘われて目黒川を散歩して、本を片手にカフェでじっくり読書。プリヤ・ヘメンウェイの『シークレット・コード』と九鬼周造の『「いき」の構造』を拾い読む。

 夜もプレゼン資料と模型チェック。深夜、読書もほどほどに就寝。もうあっという間に10月も中盤に差し掛かる。本当に、光陰矢のごとしである。

10月10日(日)
 久しぶりの日曜日をゆっくり過ごす。体調を少し崩しかけていたのでたっぷり寝る。天気はイマイチで、昨日からの雨が残っていて寒い一日となる。午後、部屋を掃除して、本棚からタピエス/ピラネージ/クレー/エリアソン/サシャ・ヴァルツの作品集を引っ張り出してページをめくる。こうしたのんびりした自由な時間はいつぶりか。あれこれと想像を膨らませる。幾つかの本も拾い読みする。

 夕方、恵比寿のナディフアパートで本を物色。パントンの展覧会カタログが半額になっていたので、即購入。ジェームズ・タレルの作品集に見入る。分厚い雨雲が抜けて、とても奇麗な夜空をしていた。事務所に戻ってU邸の展開図を進める。それぞれの部屋のイメージを明確にしていく。

10月9日(土)
 午前中、所用で恵比寿。昼からスタッフが来て仕事。展開図と模型製作を進める。内部の仕上げが床から出来てきて、覗き込みながら想像力をかきたてる。この模型も幾度となく手が入りながらどんどんリアルなものになっていく。夕方まで集中して、豪雨の中、西麻布にて友人夫妻の結婚パーティーに参加。完成したばかりのウェルカムボードが飾られていた。新郎新婦にも喜ばれ、こちらも幸せをもらったような嬉しい気分になる。ベストフレンズによる、二次会のサプライズビデオの出来が感動的だった。思えば土曜日は、三周連続のウェディング・パーティー、それぞれに個性的で幸せな時間が流れていた。

 深夜、U邸の展開図のスケッチを試行錯誤する。なかなか突破口が見えない。やることはまだ山ほどある。資料もろもろを整理して就寝。

10月8日(金)
 午前中、メールなどの雑務。U邸のキッチン/照明/CG製作の指示や確認作業に追われるも色々とまとまって来たのでしっかり頭の中を整理していく。模型製作を指示、屋根の設計変更を作り直し、仕上げを貼っていく。展開図を再度整理して、収納の使い方などを考え直す。放射冷暖房のPSの配置も決めていく。

 夜、日本対アルゼンチンのサッカーを見る。岡崎らしいゴン中山を彷彿とされるゴールを守り切ってザッケローニ監督の初陣は歴史的勝利として語り継がれるだろう。WCも終わり、燃え尽き症候群らしきに陥りやすい中、これだけの盛り上がりを見せたのは、チームの新陳代謝がしっかりと行われ本大会でエースの座を獲得した本田のまわりに香川/内田/森本といったメンバーがよく機能していたからだろう。長友/川島もいい自信をつけて立派にアルゼンチンを封じ込めていた。楽しみなチームだし、まだまだサプライズ選手が出て来そうな予感もある。来週の韓国戦もアウェーだが頑張ってほしい。監督の試合後インタビューのキーワードは「成長」。

 代官山でキャンドル教室を来月オープンする友人が来所。そのキャンドルスタジオに僕の銅版画を三枚、購入して飾ってくれるとのことで作品選び。手彩色を施していない初期の白/黒作品を選んでもらった。すぐに準備に取りかかり、オープンに間に合わせることを約束する。こうした広がりを大切にしたい。しかし、手彩色をした新作がよく売れる中で白/黒の初期の作品を三つ選んでくれたのも何だか嬉しい。

 深夜、ここ数日の寝不足もあり、読みたい本が沢山溜まっているが、ベットに倒れ込むように寝る。難波先生より、退官記念を祝う会の招待状が届き、もちろん参加させてもらいたい。今週末本屋で退官記念本を二冊とも買ったばかりなので、当日までに読んでおこう。

10月7日(木)
 午前中、メールなどの雑務と打ち合わせ用の図面チェック。放射冷暖房の打ち合わせで見積もりも含めてまとまった資料を頂く。昼、U邸の平面/立面/断面を再度確認。午後、雨樋のメーカーさん来所、打ち合わせ。屋根の形状に合わせて神戸の降雨量に基づいた計画を相談する。

 ドガ・カードルから友人夫妻の結婚式の為に描いたウェルカムボードのドローイングが素敵なフレームに入って届く。納得のでき、明後日の結婚式に滑り込みで間に合った。夕方、金箱構造設計事務所にて構造の打ち合わせ。設計変更にて屋根の形状を更に検討してもらい、細かい納まりや木拾いに結果報告等の相談。金箱先生の素早い解答のおかげでまた沢山のことがクリアになった。

 夜、今日の打ち合わせのもろもろのフィードバックに追われる。来週の内田先生との雑誌対談の詳細が分かり、あれこれ頭を整理する。深夜、再度メールなどの雑務とデスクワーク。

10月6日(水)
 午前中、メールなどの雑務。U邸の平面図の修正と細かいチェックを進める。

 午後、富士フィルム本社にて『Forest Among Us』の企画プレゼンの打ち合わせに同行させてもらう。写真の本来の力というものを再度考えようではないかというコンセプトを一つの軸にギャラリー21のキュレーターである太田菜穂子さんが企画を提示。ぜひ多面的な展開を試みたい。

 夕方、ICベルリンの東京事務所へ行く。僕のドローイングから起こしたデザインでつくった眼鏡の完成サンプルを見る。実に素晴らしい精度で、丁寧な仕事に感心する。再来週のIOFTに向けて来日するラルフ社長と打ち合わせを取り付ける。何より、初めての眼鏡デザインが進んだばかりなのに、既に二つ目のデザインを打診される。これまた違ったニュアンスで面白くまとめられそうなので、もちろん快く承諾する。それからNIDショップに顔を出し、DUNE社長と近況報告。展示会のシーズンとあって相変わらずの忙しさの中、時間を作ってもらった。夜、U邸の図面チェックと明日の打ち合わせの資料作成等に追われる。

 深夜、『合気道とラグビーを貫くもの』(内田樹×平尾剛、朝日新聞社、2007)を読み終わる。タイトルに書かれているように、合気道とラグビーという一件脈絡のない様に思える二つの共通点が身体性の中から沢山掘り出されていて面白かった。トレーニングしても筋肉がつかないことが理想的であるとか、西洋医学では手術するしかないといわれた右膝の痛みが実は膝の性能が良過ぎて体全体の補正をしていた結果であるとかといった部分に目から鱗が出た。何より、現在設計をしている内田邸/道場が現代における寺子屋、それも「OSのバージョンアップ」とか「ブレークスルー」など「身体運営の快楽」を教える寺子屋を目指していることを知り、また建築のイメージが明確に見えてくる。あとがきに平尾さんが内田先生のことを「手前勝手に先生と呼ばせて頂いて」と述べているが、全く僕も同じ感覚を抱いているので、すうっと共感することが多かった。

10月5日(火)
 早起きして、八時半から赤坂にて『Forest Among Us』の打ち合わせ。コアメンバーによる、ブレスト会議。言語化していく過程で賛同者を引き連れられる様な強度のあるメッセージをみつける作業。そのためにメンバーがいかに共通認識に立つかが大切になって来る。

 昼前には事務所に戻って、模型を手伝ってくれる学生が来所。内部の仕上げを進めてもらう。メールなどの雑務に追われる。午後、屋根の打ち合わせ。複雑な屋根に流れる雨の処理についてもあれこれ話し合う。模型のチェックをしながら、展開図のスケッチを進める。

 夜、出張中の父と合流して、新宿ピットインにて日野皓正のジャズライブ。トランペットの力強い演奏をライブハウスというスケールで聴くと体に響いてくる。深夜、デスクワークでもろもろの整理をしながら、頭の中の整理もする。

10月4日(月)
 午前中、メールなどの雑務。昼、U邸の打ち合わせ準備。汐留のパナソニックにて照明計画/換気・空調設備などについてみっちり三時間ちょっと打ち合わせ。それぞれの専門家の話を聞くことで新しい可能性を展開する。

 すぐに地下鉄で都庁前。新宿OZONEにて石山修武による「幻庵をつくらせたもの」と題したDOCOMOMOの企画したセミナーに連動したレクチャーを聞く。新鮮な新しい話も学生時代から聞いてるおなじみの話も共に建築家になってから聞くと話の引っかかり方が全く異質なものであることを認識する。学生としての教育と社会に出てからの教育の質の違いについて考える。多くの示唆に富んだ話を自分に照らし合わせて聞くことができたのが収穫。「クライアント論」らしきものにたどり着くのもある意味当然なのかもしれない。そして、それこそが学生にとってリアルさをもって想像することが難しいのだろう。

 深夜、夜な夜な仕事。一日の整理と明日の打ち合わせの準備。YouTubeで色んな音楽を聴きながら、深い夜のゆっくりした時間を過ごす。音楽が頭の中をグルグル回る。寝られなくなって、起業する友人のためのロゴデザインも考えていたらすごい時間になって電気付けたままソファに倒れ込む。

10月3日(日)
 朝から天気が良く、掃除と洗濯を済ませてのんびりした日曜日を過ごす。午後、U邸の展開図のアイデアを整理したりしてスケッチ。そろそろ内部の模型の作り込みも進めねば。幾つかの本を拾い読みして
『Forest Among Us』についてあれこれ考える。今週からコアメンバーでのミーティングが再開される。

 夕方、渋谷で友人たちと合流し文化村のオーチャードホールへ。キース・ジャレット/ゲーリー・ピーコック/ジャック・ディジョネット「Japan Tour 2010」コンサート最終日。僕が三人のライブを聴くのは2001年の来日以来九年ぶり。一曲目からキースは柔らかい表情で三人の息の合った演奏が繰り広げられる。言葉でなくピアノ/ベース/ドラムの三つのシンプルな音がそれぞれに対話する。音楽がエロティックに絡み合って、可視化されるように立ち上がって胸がこみ上げる。最近のキースの真骨頂ともいえるメロディックな曲目が多く、後半二曲目の「Things Aint What They Used To Be」でエンジン全開。普通、ピアニストは指と鍵盤が接点となり音楽が生まれる訳だが、キース・ジャレットは指どころか体全体を使ってピアノと踊っているようだ。普段生でジャズを聴く時は目をつぶりながら音楽に誘われる心象風景を覗くのが習慣になっていたが、昨日に限っては、三人のステージ上での動きや表情を逃さないように見入ってしまった。もはや、キース/ゲーリー/ジャックの醸し出す貫禄に空間が音楽と共に無限に広がる感覚に襲われる。何と言ってもアンコール二曲目で絶頂へ。「Answer Me, My Love」はのっけからピアノと抱き合うような佇まいでキースは演奏する。オーチャードホールにいた何人の人が涙したことか。亡きピナ・バウシュもそうだったが、キース・ジャレットという偉大な人と同時代に生まれて来て良かったと思わせる濃厚で至福の時。

10月2日(土)
 午前中、メールなどの雑務。屋根の新しいアイデアを早速模型で確認。CG製作を依頼するための図面チェックなど。

 午後もU邸の平面/立面/断面を進める。来週は、展開図にもう一度赤を入れて一気に仕上げて模型も作らねば。やることが次から次へと湧いて来る。夕方、代官山にて友人夫妻の結婚パーティーに参加。二人の人柄もあって大勢の素敵な人々に囲まれたハッピーな宴。元気をもらって帰る。さて、来週も友人夫妻の結婚式、ウェルカムボードも間に合うだろうし、三週連続、秋の結婚式もいよいよフィナーレだ。

10月1日(金)
 午前中、メールなどの雑務。溜まった名刺などを整理し、来週のスケジュール調整。午後、ドガ・カードルの担当者に来てもらい、昨日完成したばかりのウェルカムボードの額装を打ち合わせして発注。何とか来週末の結婚式に間に合いそうで一安心。

 U邸の立面図をチェックし、アイデアを練る。渋谷の印刷屋で打ち合わせと青山で用事を済ませて、ときの忘れものギャラリーへ。『マン・レイと宮脇愛子展』のオープニングに行くも、ギャラリー内は身動きが取れないほどの大賑わい。それも右を向けば三宅一生氏、左を向けば小池一子さん、後ろを向けば妹島和世さんといったメンバー。石山先生とオーナーの綿貫さん、工房の白井さんと挨拶し早々と展示を後にする。しかし、マン・レイに撮られた宮脇さんのポートレートを使って磯崎新氏がデザインしたメタリックなポスターに見入ってしまう。

 夕方、青山の東洋キッチン・ショールームへ。担当者が丁寧に対応してくれて、たっぷり一時間ほどあれこれと説明して頂く。早速、いくつかをピックアップし見積もりを依頼する。

 夜は、事務所に戻ってU邸の図面チェック。赤を入れて、微調整を進めていく。深夜、『合気道とラグビーを貫くもの』(内田樹×平尾剛、朝日新聞社、2007)を再読。僕は、子供の頃から少年野球と中高はバスケで育ったので武道もラグビーも実体験としては分からないが、この文章を読むと示唆に富んだ内容に感心、共感する。時間を割る/時間をフライングするという箇所が特に印象に残る。しかし、いよいよ残り三ヶ月、2010年の第四コーナーに差し掛かった。これまで通り全力で走り抜けたい。

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